2013年10月8日火曜日

旧版1万分の1地形図を使った谷津地形横ずれの詳細検討

花見川流域の小崖地形 その35

2013.10.07記事「千葉北インター付近の花島断層横ずれ」で、谷津地形の横ずれを示し、それが花島断層の横ずれを表現している旨話しました。

その検討における横ずれを示す谷津筋線の対応について、旧版1万分の1地形図を使った詳細の検討を事前にしてありましたので、記録しておきます。

次の図に示すように、a谷津はb谷津に接続するのか、あるいはc谷津に接続するのか、どちらしかないのです。
そして、既に得ている知見(印旛沼水系谷津は横ずれしている)ではない別の情報からc谷津に対応することを決めることができれば、横ずれ仮説の確からしさをさらに補強できますので、検討しました。

横ずれを示す谷津筋線

この図に書き込んだ枠線内について旧版1万分の1地形図を示します。

旧版1万分の1地形図
「三角原」、「六方野原」図幅、大正6年測量

この図の中の枠線で囲んだ部分を抜き出し、a谷津がb谷津と接続するのか、c谷津と接続するのか、次の検討をおこないました。

谷津接続の検討図

●谷津筋平面形状の単純性
b谷津イとc谷津エを比べると、b谷津は蛇行していて、複雑な平面形状をしています。一方c谷津はほぼ直線であり単純な平面形状をしています。
a谷津は下総上位面が離水した直後にできた谷津であり、最大傾斜の方向に流れる原始谷津(必従谷津)ですから、単純な平面形状をしていたはずです。
・したがって、a谷津はb谷津よりc谷津に接続していた可能性が強いと言えます。

●谷津の深さ
b谷津イとc谷津エを比べると、b谷津の方がc谷津より深く掘られていて、その谷形状が下流に続きます。
・一方c谷津は浅い形状となっています。
・この二つの情報から、b谷津とc谷津を比較すると、b谷津は侵蝕作用のフレッシュな姿を示していますが、c谷津は侵蝕から取り残された化石化した谷津であることが判ります。
・侵食作用のフレッシュな影響を受けていないという点でa谷津とc谷津は共通し、接続する可能性が強いと言えます。

●崖の形状
b谷津アとc谷津ウを比べると、b谷津アは断層崖に生じた、切り立ったV字谷のような等高線表示になっています。
・一方c谷津ウは谷底を示す等高線を含め等高線が3本書かれていて、谷津を截頭してつくられた崖が表現されています。
・以上から、b谷津アは断層崖に生じた通常のガリーであり、c谷津ウで見られる谷津截頭部の断層崖とは異なることから、a谷津はc谷津に接続する可能性が強いと言えます。

以上の3点(谷津筋平面形状の単純性、谷津の深さ、崖の形状)からa谷津はb谷津ではなくc谷津に接続すると考えることができます。

b谷津はa-c谷津と比べると地史的に新しい時代に新たに発達した谷津であると結論づけることができます。

なお、E地区で検討した横ずれを示す谷筋線の概略の横ずれ量は平均約150mでした。


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