花見川流域の小崖地形 その49
1 下総台地の地形面区分と活構造
「日本の地形4 関東・伊豆小笠原」(貝塚爽平他編、東京大学出版会)に「下総台地の地形面区分と活構造」という図面が掲載されていますので紹介します。
下総台地の地形面区分と活構造
隆起軸、沈降軸、伏在断層の塗色は引用者がおこないました。
本文中では次のような説明が行われています。
「下総台地の高度分布を詳細にみると、緩やかなうねり構造-波状の地形(貝塚、1961)-が認められる。これらは活褶曲による地形面の変形と考えられ、これらの変形が分水界の位置や水系パターンだけでなく下総台地の輪郭を決定している。」
この図面の中の活褶曲「①下総台地西部隆起帯」が花見川流域の中央部を横断していて花見川流域の地形を特徴付けていますので、次に拡大表示してみます。
2 下総台地西部隆起帯と小崖地形(断層地形)との関係
次の図は「下総台地の地形面区分と活構造」をGISにプロットしたものです。
GIS上での位置合わせ
この位置合わせに基づいて、花見川流域の下総上位面分布図に下総台地西部隆起帯をプロットすると次のようになります。
花見川流域における下総上位面分布と下総台地西部隆起帯
参考 花見川流域における下総上位面分布と下総台地西部隆起帯
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)
このオーバーレイ図から次の重要な結論を導きます。
ア このブログで検討してきている柏井小崖(柏井断層)、花島小崖(花島断層)、犢橋小崖(犢橋断層)の存在と下総台地西部隆起帯という概念が整合すること。
イ 従って、柏井小崖(柏井断層)、花島小崖(花島断層)、犢橋小崖(犢橋断層)を下総台地西部隆起帯の細部における具体的姿として位置付けて捉えることができること。
つまり、下総台地西部隆起帯という活褶曲は、柏井小崖(柏井断層)、花島小崖(花島断層)、犢橋小崖(犢橋断層)等の具体的事象から構成されているということです。
3 下総台地東部隆起帯の影響
下総台地西部隆起帯(という概念の図示)は四街道検討面に入ったところで終わっています。
そしてその付近の地形面高度は南東に行くに従って高くなっています。
30m以上の地形面分布と下総台地西部隆起帯
四街道検討面の高さが高くなるのは下総台地西部隆起帯というよりも、下総台地東部隆起帯の影響によると考えると、いろいろなことが説明できそうです。
柏井検討面・花島検討面・犢橋検討面・長沼検討面と四街道検討面は異なる地殻運動によって変形したから、つながらないのではないかと仮想します。
もしそうだとすると、長沼(古長沼)の成因仮説をより豊かな情報で合理的に再構成できる可能性が生れます。
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