2013年10月26日土曜日

柏井小崖(柏井断層)の縦ずれ量検討の違和感

花見川流域の小崖地形 その46

1 違和感の説明
2013.10.25記事「柏井小崖(柏井断層)の縦ずれ量」の末尾にこの検討に違和感を感じた旨書きました。

その違和感がなんであるか、突き止めました。

まず縦ずれ量は横断図上で次のように計測しています。

柏井小崖(柏井断層)の縦ずれ量の計測の考え方と実際例

この図の実際の計測例でポイントaは下総上位面の高さを代表していなければなりませんが、断面線の端に位置しています。

従って、本当に下総上位面の高さを代表しているかどうか大変怪しいので、違和感を感じたのでした。

この違和感を平面図で示すと次のようになります。

違和感の説明図(分布に意味はありません)
基図は地形段彩図と旧版1万分の1地形図のオーバーレイ

柏井小崖(柏井断層)の縦ずれ量は図の「ウ」と「オ」を比較して求めました。
その発想は花島小崖(花島断層)で「あ」と「い」を比較したのと同じです。
双方ともに侵蝕地形の影響を排除することに留意しました。

しかし、「ウ」と「オ」の比較(柏井小崖)では「あ」と「い」の比較(花島小崖)と結びつきません。

地形段彩図の色の濃さを見てわかる様に、柏井小崖(柏井断層)と花島小崖(花島断層)の間の地形面(下総上位面)は一様な面ではなく、「い」と「う」に分かれることが直感できます。

つまり、柏井小崖(柏井断層)を検討するためには、「ウ」、「エ」、「オ」の検討だけではなく、「い」・「う」・「ウ」と「オ」・「お」の二者を比較して検討することが必要であるのです。

その際、「い」と「う」の関係を把握する必要があります。

「い」と「う」は地殻変動で高さが異なるようになったのか、それとも「い」が侵蝕されて「う」ができたのか、その違いによって柏井小崖(柏井断層)の計測の仕方が異なってきます。

「う」の分布をみると侵蝕作用で形成されたように直感できますが、ほんとうにそうであるのか、検討することが大切です。

2 断面線を延長して地形を予察してみる
「ウ」、「エ」、「オ」の検討だけでは近視眼的な検討になってしまう可能性が濃厚です。

そこで「ウ」、「エ」、「オ」の検討で使った断面線を延長して断面図を作成して、下総上位面(特に「い」と「う」)の高さがどうなっているのか、予察的に検討してみました。

予察のための断面線の延長

延長した断面図1

延長した断面図2

この延長した断面図の789では確かに下総上位面が明瞭に2面(「い」と「う」)に分かれるような断面になっています。

この作業から、「い」と「う」の違いがどのような理由であるのか、検討することなしに柏井小崖(柏井断層)の縦ずれ量を正確に計測できないことがわかります。

結論として、断面図で柏井小崖(柏井断層)の縦ずれ量を計測するためには、その前段として下総上位面のミクロな高さ分布(微地形分布)の検討が必須であるということが判りました。

柏井小崖(柏井断層)そのものの検討に入る前に、しばらく、下総上面のミクロな高さ分布(微地形分布)検討を急遽行うこととします。


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