2014年8月23日土曜日

旧石器時代の谷津形状の検討

シリーズ 花見川地峡の利用・開発史
第1部 縄文弥生時代の交通 その15

2014.08.16記事「旧石器時代遺跡密度について考える」で、旧石器時代の地形は現在と全く異なっていて、深い谷が発達していて、その間に存在した開析の少ない台地が旧石器時代人の主な生活場所であることを地図で示しました。
その場所は追考で「東日本で有数の狩場」であることが判りました。

さて、旧石器時代人や当時の草食獣の移動や生活の障壁となっていた深い谷の形状を断面図で検討しましたので、情報として追補しておきます。

1 断面図位置
検討した断面図位置を次に示します。

旧石器時代谷津形状検討のための横断面位置

AB断面は現在の北印旛沼付近です。
CD断面は利根川を横断する断面です。

2 参考資料
AB断面については「楠田隆・楡井久(1994):印旛沼の成因と性格、印旛沼-自然と文化創刊号」掲載の地質断面図を参考として利用しました。

「楠田隆・楡井久(1994):印旛沼の成因と性格、印旛沼-自然と文化創刊号」掲載地質断面図

CD断面については「遠藤邦彦・小杉正人・菱田量(1988):関東平野の沖積層とその基底地形、日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要23」掲載の沖積層層厚分布図を参考として利用しました。

「遠藤邦彦・小杉正人・菱田量(1988):関東平野の沖積層とその基底地形、日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要23」掲載沖積層層厚分布図

3 旧石器時代の谷津形状
次に、AB断面、CD断面の旧石器時代(最終氷期最盛期)の谷津形状検討結果を示します。

AB断面

AB断面では沖積層基底高度が-34mであることを主要な情報として示しています。
AB断面付近では地形の起伏が現在の2倍であったことが判ります。

CD断面

CD断面では沖積層基底高度が約-55mであることを主要な情報として示しています。
CD断面付近では地形の起伏が現在の3倍近くあったことが判ります。

4 メモ
現在このブログでは、寄り道として、時代別に市町村別遺跡密度図を作成して、各時代の特性を考察しています。
そのなかで、人の生活の大前提となる地形が旧石器時代と縄文~現代の二つ時代について、全く異なることを確認しました。

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次の記事から古墳時代、奈良時代、平安時代と検討を進める予定です。

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