2015年7月29日水曜日

萱田遺跡群の鉄製品出土物 その2 刀子

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.176 萱田遺跡群の鉄製品出土物 その2 刀子

萱田遺跡群から刀子が187点出土しています。種類別にみると最も出土数の多い鉄製品です。ちなみに、不明品を除くと、第2位が鉄鏃80点、第3位が鎌49点です。

刀子のイメージを次に示します。

白幡前遺跡出土刀子の例

大きなもので刃渡り15㎝程度です。柄(つか)を入れると優に30㎝以上はあったと考えます。

また鎺(はばき)が出土していることから大型刀子(刀剣)が存在し鞘に納めて所持されていたことが確実です。

白幡前遺跡出土鎺(はばき)の例

鞘や柄の木質部が残存した刀子も多数出土しています。

刀子所有者は恐らく刀子を腰に帯刀して、常時身に着けていたと考えます。

萱田遺跡群における刀子出土状況は次の通りです。

萱田遺跡群の刀子出土状況

竪穴住居10軒あたり刀子出土数を分布図にすると次のようになります。

竪穴住居10軒あたり刀子出土数

武器プロパーである鉄鏃(槍)の同じ指標の分布と比べて、刀子が4つの遺跡に拡散している様子がわかります。

これは刀子の武器としての側面が弱く(※)、その本質が切る、削ぐ、剃る等の万能道具であるためです。

※刀子に護身用武器としての側面があることは見逃せないと考えます。白幡前遺跡1A・1Bゾーンや井戸向遺跡Ⅲゾーンでの出土数が多い理由はこのためだと考えます。

参考 竪穴住居10軒あたり鉄鏃出土数

刀子の出土数から判断して、官人、将兵はもとより墨書土器を使った一般住民もかなりの割合で刀子を所持していたと考えます。

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