2015年7月13日月曜日

メモ 地名として残る事象と残らない事象

小字地名データベース作成活用プロジェクト 20

古代社会の事象で地名として残るものと残らないものの違いがうっすらとわかるような気がしてきましたので、白幡前遺跡を例に、その感想をメモしておきます。

●地名として残った事象(地名が発生した年代の想像)
例1 白幡前…渡来人の集落があり、製鉄などで周辺地域との交流があった。(古墳時代?)
例2 牛喰…殺牛祭神の風習が行われた会場の場所。(古墳時代?)
例3 寺谷津…寺院脇にある谷津。(奈良時代?)
例3 堂ノ後…寺院がかつて存在していた場所。(平安時代?)

●地名として残らなかった事象(想像)
例1 軍事兵站・輸送基地を取り仕切る機能・権力・支配者
例2 集落内の各ゾーン(基地内の機能)
例3 陰陽師活動

地名として残った事象とは、地域社会に幅広い影響を与えた事象であると考えます。
地域社会とは奴婢・俘囚・一般人・官人・支配者を含む社会です。

一方、地名として残らなかった事象とは、官人や支配者だけで完結してその場所の周辺地域社会とは隔絶した事象です。

軍事兵站・輸送基地機能は、奈良時代から平安時代初期にかけて150年くらい活発な事象であったと考えますが、すぐ近くの地域社会とは隔絶していたのだと思います。国家規模で広域的で重要な機能を果たしていたのですが、地名には残りません。

しかし、基地機能の一環として作られた寺院は基地機能の不要化とともに廃絶していますが、多くの地名を残しています。
鎮護国家の寺院が一般民衆にも影響力を持っていたことが判明します。特段に注目すべき事象です。

陰陽師活動は国家的秘事であり、地名には残りません。

軍事兵站・輸送基地の名称(地名)や集落内の各ゾーン(基地内の機能地区)に地名があったことは確実ですが、その地名は基地機能の不要化とともに廃絶したと考えます。


花見川風景

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