2021年6月17日木曜日

有吉北貝塚北斜面貝層学習の進め方

 縄文社会消長分析学習 102

有吉北貝塚北斜面貝層学習を5月25日からスタートしていますが、それをふりかえるとともに、今後の学習ステップをメモします。

1 中間ふりかえり

北斜面貝層学習をふりかえると、●で示すような学習上の成果・画期を継続して体験することが出来てきています。学習の深化に自信を持つことができ、学習意欲が増大しています。

2021.05.25 有吉北貝塚 北斜面貝層の学習計画

●北斜面貝層学習計画

2021.05.27 有吉北貝塚北斜面貝層断面図の3D表示

●貝層断面図の3D表示実現


貝層断面図の3D表示

2021.05.28 斜面貝層3Dモデルの改良

2021.05.30 有吉北貝塚 基底部土器出土状況図の3D表示

2021.05.31 有吉北貝塚 北斜面貝層 土器出土状況の予察観察

●土器出土状況平面図・投影断面図の理解


土器出土状況平面図・投影断面図の理解

2021.06.04 有吉北貝塚 北斜面貝層断面図及び周辺地形の3D表示(試作1)

2021.06.06 有吉北貝塚 北斜面貝層 情報図 試作1

●断面図等情報の3D総合図完成

2021.06.10 有吉北貝塚北斜面貝層に関する学習問題意識

●問題意識のとりまとめ


問題意識 1


問題意識 2


問題意識 3

2021.06.11 有吉北貝塚北斜面貝層基底面高度分布図の作成

●3種の等高線図作成


等高線図 1


等高線図 2


等高線図 3

2021.06.12 有吉北貝塚北斜面貝層 発掘調査前(表土除去後)地形3Dモデルの試作

2021.06.13 有吉北貝塚北斜面貝層 基底面高度分布図3Dモデルの作成

●等高線から作成した地形3Dモデルの実用資料作成


等高線から作成した地形3Dモデル

2 これからの学習ステップ

これまでの学習成果を踏まえ、これからの学習ステップを次のように設定して、順次実行することにします。

2-1 北斜面貝層写真の分析


北斜面貝層写真 例

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用


北斜面貝層写真 例

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用

有吉北貝塚発掘調査報告書には北斜面貝層の貝層断面や遺物出土状況写真が120点収録されています。この写真を3D情報図、3D等高線図等と対応させて、発掘現場状況を紙上体験することにします。

紙上体験は写真を大型ディスプレー上で大伸ばしして、子細に観察して写真上にメモを追記して行うことにします。必要な立体位置確認、遺物個体確認などを行います。

この紙上体験(写真分析活動)が次の2-2~2-4活動の質を高めることになると期待します。

2-2 貝層断面詳細図の検討


貝層断面詳細図 例
有吉北貝塚発掘調査報告書から引用

発掘調査報告書に掲載されている貝層断面詳細図4枚を詳しく理解し、貝層構造を自分なりに解明します。

2-3 土器出土状況詳細図の検討


土器出土状況詳細図

この詳細図の番号(個別土器番号)をまず理解し(判読し)、個別土器毎の分布を貝層全体構造のなかで把握します。

2-4 出土遺物分布図の作成

北斜面貝層から出土した遺物のリストを遺跡全体の遺物種別リストから作成し、その分布図(層位…立体要素加味)を作成します。この分布図から貝層形成の様子について考察します。

発掘調査報告書に掲載されている遺物種別リスト

・土製円盤

・耳栓

・ミニチュア土器

・土製品(その他)

・ハマグリ製貝刃

・カガミガイ製貝刃

・アリソガイ製磨貝

・ハマグリ製磨貝

・貝製品(装飾品他)

・骨角歯牙製品

・散乱人骨骨片一覧表

・イノシシ上顎骨の内容

・イノシシ下顎骨の内容

・石鏃破損状況(1)

・石鏃破損状況(2)

・石鏃破損状況(3)

・石鏃属性(1)

・石鏃属性(2)

・石鏃属性(3)

・石錐・削器・異形石器・尖頭器属性

・UR-fl属性(1)

・UR-fl属性(2)

・UR-flの使用痕

・楔形石器属性

・OEF属性

・打製石斧属性(1)

・打製石斧属性(2)

・磨製石斧属性(1)

・磨製石斧(転用)属性

・磨製石斧属性(2)

・磨石類属性(1)

・磨石類属性(2)

・石皿属性(1)

・石皿属性(2)

・礫器属性(1)

・礫器属性(2)

・砥石・叩石・台石属性(1)

・砥石・叩石・台石属性(2)

・石製品属性(1)

・石製品属性(2)

・軽石製品属性(1)

・軽石製品属性(2)

・石核・原石属性

・砥石状砂岩・凝灰岩属性

・土質ブロック属性

・基盤石塊属性

・炉石属性

・石器補遺

・土器片錘計測表(4)北斜面貝層出土分(完形)


北斜面貝層メッシュ体系 2m×2mメッシュ

発掘調査報告書では、北斜面貝層出土遺物位置は全て2m×2mメッシュ単位で特定できるようになっています。遺物によっては層位が出ています。

3 感想

発掘調査報告書掲載資料を3D空間のなかで理解することによって、自分自身の遺跡理解が特段に深まりつつあります。単なる紙上学習(資料学習)ですが、肉体的体験的学習に似た感覚が生まれていますから不思議です。


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