縄文社会消長分析学習 94
有吉北貝塚北斜面貝層断面図3D表示(改良版)の3D空間に基底部土器出土状況図をプロットしました。貝層形成プロセスの理解及び廃用大型土器破壊による大形土器集積層形成実態理解のために必須の作業です。
1 有吉北貝塚 基底部土器出土状況図の3D表示
有吉北貝塚 基底部土器出土状況図の3D表示有吉北貝塚発掘調査報告書掲載資料塗色引用
3DF Zephyr v5.019でアップロード
参考 有吉北貝塚北斜面貝層下部土器出土状況
有吉北貝塚北貝塚発掘調査報告書から塗色引用
参考 有吉北貝塚北斜面貝層断面図
有吉北貝塚発掘調査報告書から引用
画面1
画面2
画面3
画面4
画面5
3Dモデルの動画
2 メモ
2-1 正確性について
・北斜面貝層下部土器出土状況図の平面図プロットは北斜面貝層グリッドに基づいていますので正確です。ただし、スキャン作業や拡大縮小作業に伴う誤差はあり得ますが小さなものです。
・立体表示はその概要を示していて、特に上流側と下流側で正確性が担保されていません。状況図は横断図4枚(3~6)と交差していますが、上流側3枚(3~5)の横断図にはその位置が描かれているので、その区間ほぼ正確です。横断図3より上流側及び横断図5より下流側はその傾斜が3~5の傾斜と同じである保証はなにもありませんからその正確性は担保されていません。
2-2 感想・問題意識
・貝層が収納されている窪地地形は全体として南から北に向かう谷地形を成しています。その谷地形の右岸側に一貫して水路があったことが堆積物から判ります。
・左岸側中下流は崩壊地形の跡に出来た緩斜面を利用してその上に貝層が形成されています。その純貝層は断面図で3層にわたっていることが確認できるので、かなり長期間にわたる集落消長に対応して貝層形成プロセスがあったと考えられます。
3層に分かれて発達する純貝層
・横断図3~6にみられる谷底土器層は10群土器~12群土器が散逸しない状況を伴って出土しているので、その期間継続した活動により形成された層であると考えられます。(加曽利EⅡ式中期~加曽利EⅢ式初期)
・次のような仮説の適否検討を念頭に学習を継続することにします。
ア 中峠式頃から北斜面貝層形成が活発化した。
イ 集落消長に応じて3層の純貝層が中下流左岸側緩斜面に形成した。
ウ 10群土器終~11群土器始頃、谷頭ガリー浸食が大規模にはじまった。
エ 新たにうまれたガリー浸食谷底で大型土器の破壊活動が行われた。近くで純貝層も形成された。(断面2)
オ ほどなく集落が消滅した。ガリー浸食地形はその後発達することなく台地面からの流入土砂で埋まった。
・左岸崩壊地形の発生→ガリー浸食の発生→その後の停止の要因について、今後合理的な作業仮説を持ちたいと思います。人口増→薪多量採取→斜面裸地化→崩壊発生・ガリー浸食というプロセスが観察できるのかどうか、興味が湧きます。
・ガリー浸食の発生→深い谷底における大型土器破壊活動→集落終焉は一連の出来事であり、因果関係で説明できる事象だと空想します。集落立地に不可欠な水場破壊が関係していると空想します。
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