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2025年5月28日水曜日

すばらしい最新イラン体験記(雑誌「地理」2025年4月号特集)の学習を始める

 Start studying the wonderful latest Iran experience (feature in the April 2025 issue of the magazine "Geography")


Iran is an interesting country, but I have not been there yet. The author sent me a magazine in which a group of geography experts traveled to Iran and summarized their experiences in numerous articles. Although I am two months late, I will start studying Iran and enjoy it.


イランは興味深い国ですが、自分はまだ行ったことがありません。そのイランを地理専門家集団が旅行して、その体験を多数の論説にまとめた雑誌を著者から贈っていただきました。2ヵ月遅れとなってしまいましたが、イラン学習を開始し、楽しむことにします。

1 雑誌「地理」2025年4月号特集ペルシャからイランへ


雑誌「地理」2025年4月号特集ペルシャからイランへの表紙


雑誌の裏表紙(イラン地図と旅行ルート図になっている)


雑誌の目次(特集部分)

シルクロード旅行家の中家惠二さんから雑誌を3月末に贈っていただきました。4月5月と貝塚研究に熱中していたため、学習開始が2ヵ月遅れとなってしまいましたが、これから期間限定で大いにイラン学習を楽しむことにします。

中家惠二さんとは50年以上前に、日本最初の応用地理を主要技術とする建設コンサルタント会社で一緒でした。これまでも中国西方辺境域旅行記である図書「シルクロード1万5000キロを往く」(上下)やウズベキスタン旅行記(地理別刷り多数)をいただき、自分の学習材料にさせていただいています。

ウズベキスタンは自分も旅行したことがあるので、ブログ記事を8編書いて、楽しみました。

この度贈っていただいた雑誌には中家さんはじめとする旅行団の論説が全部で13編掲載されています。

イランは自分にとって興味深い国であるので、全部の論説について学習を深め、それぞれの感想を独立記事に書き楽しむことにします。この活動は熱中している貝塚研究とは異質なので、頭の硬直性を揉みほぐるような効果も秘かに期待することにします。

この記事ではイラン地形3Dモデルをつくり、イランの地理地形を頭に叩き込み、その過程を楽しむことにします。同時に、自分が過去にイランの地形について興味をもったことがあるので、それを思い出すことにします。読書感想は次の記事から始めることにします。

2 イラン地形3Dモデル

イラン地形3Dモデル

地理院地図3D機能で作成

垂直比率:×30

国境線はGADMからKMLファイルとして取得して表示


地理院地図作業画面


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

3 イランのヤルダン地形

2018.07.09ブログ世界の風景を楽しむ「イランにある地球最大規模のヤルダン地形

ヤルダン地形とは乾燥地帯の風食地形です。イランのルト砂漠のヤルダン地形は世界最大規模です。


Geomorphology from spaceの画像


ヤルダン地形の様子

4 イランの砂海

2018.07.13ブログ世界の風景を楽しむ「イランの砂海


Geomorphology from spaceの画像


イランの砂海の様子


ヤルダン地形と砂海の位置

5 感想

イラン地形3Dモデルを作成して、また過去の自分のイラン興味から、イランに対する自分の印象は複雑な地形をなす山岳地域と乾燥地形など過酷な自然環境を強く意識します。

このような自然環境と人々がどのように関わって生活しているのか、これから雑誌地理4月号を紐解いて読んで、頭に浮かぶ感想や思考を楽しむことにします。



2025年1月13日月曜日

有吉北貝塚学習 作業日誌(2025.01.13) ポットホール・ミニ滝

 Ariyoshikita Shell Mound Study Work Journal (2025.01.13) Pothole Mini Waterfall


I am currently working on inputting elevation points to create a 3D model of the ground plan of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound. I have made notes of my impressions and thoughts that have arisen during this work.Potholes and mini waterfalls have been unearthed.


有吉北貝塚北斜面貝層の地山平面図の3Dモデル化のための標高点入力作業を進めています。作業のなかで生まれた感想・思考をメモしました。ポットホールやミニ滝が出土しています。

1 標高点入力作業の状況


標高点入力作業状況(QGIS画面)

ガリー谷中上流の約2500標高点を入力し、残りは下流約1000標高点くらいのようです。


標高点入力作業状況の3Dモデル表示(QGISプラグインQgis2threejs画面)

2 3Dモデル試作


3Dモデル試作(QGIS画面)


3Dモデル試作(QGISプラグインQgis2threejs画面)

「谷底」の微地形だけが表現されている3Dモデルです。

3 感想・メモ

3-1 作業上の感想・メモ

・標高点分布が「谷底」部分に限られていて、斜面にはないので、自分が知りたい谷地形を知るためには、セクション図から(貝層断面図から)斜面の高さ情報を汲み取り、補充する必要があることがわかりました。

・QGISの仮想地形生成機能利用が順調に展開しています。(現実の地理地形とは無関係に、QGISの機能だけを利用しています。)

3-2 地形に関する感想・メモ

・「谷底」に凹地(閉じた穴)が多数存在していて、ポットホールと同じ原理で生成したものではないかと想定します。ガリー侵食の過程で生まれたもので、貝殻や土器片がその生成に大きな役割をはたしているかもしれないと想像します。この想定、想像の検証が一つの検討課題となります。

・「谷底」に段差が多数あり、ガリー侵食の特徴を表現していると考えます。オーバーハングしている段差もあり、ガリー侵食の過程で生まれたミニ「滝」です。貝層で保存され縄文時代のミニ「滝」が出土したことは、面白いことだと思います。ミニ「滝壺」から貝殻や土器片が出土します。

・北斜面貝層が収まっている箱形谷地形の成因がわからないと、北斜面貝層の特質もわからないことが直観されます。貝殻や土器片投棄が無垢の斜面に崩壊やガリー侵食を誘発促進したと考えるからです。谷地形の形成に縄文人の人為が関わっていたのではないだろうか?


2024年10月12日土曜日

沼澤豊「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」学習

 Learning about "The so-called land division line of Ningyozuka Tomb in Chiba City" by Numazawa Yutaka


Based on the 24-part tumulus design principle elucidated by Numazawa Yutaka, the dimensions of Ningyozuka Tomb in Chiba City were revealed one after another. Based on this design principle, the design reference surface elevation was theoretically clarified from the excavated foot line topography. Numazawa's paper is an astonishing research result.


沼澤豊さんが解明した24等分値古墳設計原理に基づき、千葉市人形塚古墳の諸寸法が次々に明らかになりました。またこの設計原理に基づき、出土裾線地形から設計基準面標高が理論的に明らかになりました。沼澤論文は驚愕に値する研究成果です。

1 沼澤豊「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」について

沼澤豊「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」は千葉県教育振興財団文化財センター 2008 『研究連絡誌』に掲載された論文(ダウンロード可)です。千葉市人形塚古墳の地割線を学習する上で、発掘調査報告書に次いでもっとも重要な資料と考えられます。そこで、この論文についてじっくり学習することにします。なお、沼澤豊さんの次の著書・論文も随時参考にしながら学習を進めます。

沼澤豊「前方後円墳と帆立貝古墳」(2006、雄山閣)

沼澤豊「日本古墳の構造研究」(2011、早稲田大学博士論文)(早稲田大学リポジトリサイトからダウンロード入手)

2 古墳の概要と地割線

【概要】

・人形塚古墳は前方部を南西面させる前方後円墳で二重の周溝を伴う。周溝は例の少ない長方形周溝である。

・墳丘規模は、墳長は内溝下端でとらえると42.6m、上端では41.8m、後円部径は下端で27.2m、上端で26.6m、前方部前幅は復元推定28.4mと報告されている。

・いわゆる地割線(報告書※では「墳丘計画線」)は墳丘封土を除去後の黒色の旧地表面上に、幅20cmほどの黄褐色土面が帯状あるいは小ピット連続で検出された。深さは1~5cmで、黄褐色土は意図的に充填された可能性も考えられるという(報告書292頁)。

・後円部では2条の同心円状の地割線が確認され、内円は直径14.4m、外円はくびれ部にのみ残された円弧から25.2mと推定された。

・調査概要(※※)と報告書では、内円は墳丘第2段(上段)の基底(裾)を画し、外円は周溝(内溝)の掘り込み開始線、すなわち内溝の上端船を示す見解で一致している。

・くびれ部から前方部方向には4本の直線状の地割線が確認された。4本とも内円の外側を起点とし、内円には接しない。

・調査概要では、「前方部側面にそって走る直線状の地割線は前方部上段墳丘の上端稜線と一致する」として、「前方部上段墳丘の盛土作業と密接な関係があることは間違いない」と評価する。

・一方、報告書では、「前方部の墳丘構築に関わると考えられるが、現状の測量図とは合致していない」として、「盛土範囲を画する線とは考えにくい」(報告書294頁)と結論している。

※「千葉県教育振興財団調査報告544集 千葉県東南部ニュータウン35 -千葉市椎名崎古墳群B支群-」(平成18年3月、独立行政法人都市再生機構、財団法人千葉県教育振興財団)

※※ 笹生衛(1987):椎名崎古墳群・人形塚古墳発掘調査概要-人形塚古墳旧地表面上の地割線について-、千葉県文化財センター研究連絡誌第19号

【メモ】

・後円部の2条の地割線の意義は解明されていることが述べられています。

・前方部の4本の地割線が測量図と合致せず、発掘関係者の間でもその意義が定まっていないことがのべられています。

・地割線の意義検討という点では、前方部4本が課題となります。

3 後円部の地割線と当初プラン

3-1 主丘部直径について

【概要】

著者は主丘部(後円部)の直径はヤマト王権により規格体系が定められていることを明らかにしています。最初の基準である奈良県箸墓古墳の120歩(164.4m、一歩=1.37m)を基準に6歩(8.22m)刻みの規格値を序列に従い設け、中小規格ではさらに3歩(4.11m)刻みで微調整していたと明らかにしています。

著者は、報告書で記載された外円直径25.2mは径18歩(24.7m)の規格値に近いので、本来は径18歩に設定されてた可能性が高いことを述べています。

【メモ】

ヤマト王権により、当時辺境であった房総の首長層も王権にたいする貢献度が査定され、それにより3歩(4.11m)刻みで中小古墳も序列化されていたことは驚きです。

3-2 設計の基準単位

【概要】

著者はこれまでの研究で、古墳は主丘部直径の24分の1の長さ(24等分値)を基準単位として設計されていることを明らかにしています。

半径を12単位に分割し、墳丘格段の裾や肩の線の半径を単位数で決定し、前方部長や幅、周溝の幅なども同じ基準単位によって決定していることを明らかにしてきています。

【メモ】

古墳主丘部規格が決定されると、その規格の24等分値が設計全ての基準になるとことが明らかにになったことは驚愕に値することです。

現代人の感覚でいえば、土木設計はmとかcmとかのスケールを利用して行うものと考えます。しかし、古代にあっては、社会的序列により古墳規格序列が定まると、その規格の24等分値がスケールになります。古墳築造現場の人々は歩とか尺というスケールではなく、24等分値がスケールになっていたということです。尺と歩の煩雑な換算(6進法)も不用になります。

人形塚古墳の24等分値(=1単位)は0.75歩(1.0275m)になります。この長さを基準として、1倍、2倍、3倍、5倍などの棒や板や紐がつくられ、現場での位置決めに使われたのだと思います。現場では単位の整数倍だけが使われるのですから、人夫に対する指示も効率的にできます。

3-3 人形塚古墳企画図

【引用】


人形塚古墳企画図

【メモ】

24等分値で古墳各部が設計された様子がわかる企画図です。図面の24等分値は後円部径を18歩(24.7m)としたとき設定です。なお、本来は半径を12等分するべきところですが、そうすると図面が煩雑になるので、この図では半径を6等分で示しているのだと考えます。

外円は半径12単位目の円周に一致し、内円は半径7単位目の円周によく一致しています。横穴式石室は半径8単位目と12単位目の円周間に収まっています。

3-4 沼澤豊作成人形塚古墳企画図の3Dモデル投影

【自作】

沼澤豊氏作成人形塚古墳企画図の3Dモデル投影

古墳等高線図からQGIS(GRASSプラグインのv.surf.rstツール)でDEM(0.5m×0.5m)を生成し、それにより作成した3Dモデルに、テクスチャとして沼澤豊作成人形塚古墳企画図を貼り付けたもの

垂直比率:×3.0

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

沼澤豊氏作成人形塚古墳企画図を3Dモデルに投影して、沼澤豊「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」の学習を深めることにします。高さ関係を理解・計測しやすくするために、垂直比率を3倍にデフォルメしています。

3-5 内円の意義

【引用】

「地割線の内円に関しては、報告者の見解のとおり墳丘第2段の裾線を示し、封土を高く盛り上げる範囲を明示していることは間違いない。

まず中央墳丘を高く盛り上げ、次いで墳丘第1段を横穴式石室設置後に積み上げるという構築手順がとられたのは明らかである。

石室天井石は、奥壁の上に載った部分がわずかに残り、その上面は旧表土より50cmほと高いから、これを被覆するための墳丘第1段は1単位(1.03m)程度の高さに仕上げられたものと思われる。前方部の横断面図からも墳丘第1段の高さがこの程度だったことが納得される。

第1段の斜面幅を推定する情報はないが、あまり急勾配に仕上げられていなかったとみて2単位の幅と考えておくのが無難であろう。テラスの幅は3単位となり、埴輪群像をおくには十分な幅が確保されていると言えよう。」

【検討】

●後円部付近の裾線の標高と古墳設計基準面

墳丘第1段が1単位(1.03m)程度の高さに仕上げられたということは理解できますが、沼澤さんが理解した標高は違っているようです。

沼澤さんは基準面を36.5m(報告書で36.5m付近に旧地表面があると記述しているによる)と捉え、それに1単位を足すと37.5mになります。ところが後円部の内円の高さは37.2m付近です。0.3m程足りません。しかし、前方部でテラスが終わる付近では墳丘第2段の裾線高さは37.5m付近になります。その様子をみて、沼澤さんは「前方部の横断面図からも墳丘第1段の高さがこの程度だったことが納得される。」と書いたのだと思います。

沼澤さんは横穴式石室設置付近を含めて、後円部でも墳丘第2段の裾線高さは37.5m付近と考えています。しかし、現実の後円部における墳丘第2段の裾線高さは37.2m付近です。この0.3mの差は作図等の誤差ではなく、有意な差であることは明白です。

私は、沼澤さんが古墳設計基準面を発掘調査報告書が記載した旧地表面標高36.5m付近を利用したために間違ってしまったと考えます。


参考図 等高線の値

図面に表示される後円部における墳丘第2段の裾線高さ37.2mは間違いの少ない数値といえます。それはこの地形が埋没することはあっても削られる可能性がほとんどないことによるからです。


墳丘第2段の裾線が築造時形状を保っている理由

この古墳における施工基準面(※)は墳丘第2段裾線高さを出発基点として復元されるべきものと考えます。

墳丘第2段裾線高さ37.2mから出発すると、1単位下の36.2m付近が施工基準面となります。

前方部墳丘第2段の裾線が37.5m付近にあるのは、3Dモデルでの検討で、裾線が完全に水平ではないことに起因していると考えられますが、それは追って検討を深めることにします。

※施工基準面 著者は施工基準面(掘り込み開始面)と墳裾面(墳丘規模が示される面)を分けていて、人形塚古墳は施工基準面と墳裾面が一致する新たな類例としています。しかし、地割線が描かれた旧表土(36.5m)と墳裾面(36.2m)は30㎝の差があり、有意の差と考えられます。施工基準面と墳裾面は一致しません。

●第1段斜面幅とテラスの幅

3Dモデルを観察すると、第1段斜面幅2単位、テラス幅3単位がものの見事に当たっていることが理解できます。

【感想】

沼澤さんはこれまでの研究で古代における24等分値古墳設計原理を明らかにしました。その古墳設計原理に基づき、千葉市人形塚古墳の諸寸法が次々に明らかになりました。またこの設計原理に基づき、出土した墳丘第2段裾線地形から設計基準面が理論的に明らかになったことは驚愕に値することです。

沼澤さんの24等分値設計理論の秀逸さに驚き、また古墳平面形状の合理的理解が進むので、感謝の気持が湧いてきます。


つづく


2024年9月6日金曜日

谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年)学習

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 18


Studying "Circular Settlements and Tribal Society"  (2002) by Yasuhiro Taniguchi


Study 18 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I studied "Circular Settlements and Tribal Society" (2002) by Yasuhiro Taniguchi. It was very interesting and I read it all the way to the end in one go. It made me think a lot about why Jomon circular settlements were based on two large groups. I understood that the two groups were in a joint guarantee alliance from the perspective of securing mutual interests.


谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年)を学習しました。とても興味深く、最後まで一気に読みました。縄文環状集落がなぜ二大群を基本とするのか、大いに考えさせられました。二大群は相互権益確保観点からの連帯保証的同盟関係にあると理解しました。

谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年、「縄文社会論(上)」、同成社)は谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」の引用文献に掲載されています。

1 環状集落の分節構造

「一、環状集落には対向する二大群が存在する。もっとも基本的な分節単位はこの大群である。墓域における埋葬区や住居の配置場所は大群ごとに規制され決定されている。

二、環状墓群の分節構造がしばしば勝坂式期あるいは加曽利E式期を通じて踏襲されていることなどからみると、大群への帰属は世代を超えて継承されていたと推定される。

三、二大群を対比すると相互に異質性を発揮している場合が認められる。それは墓坑数・住居数などの数量的な不均衡や、住居型式・炉形態・埋甕の相異などに顕著に表れる。

四、墓坑に副葬された玉類などの装身具の保有量を比較すると、二大群の間に明確な格差は認められず、むしろ平均的になっている。三で指摘した二大群の異質性は、ただし優劣・主従のような階層的な区分とは考えられない。

五、集落の変遷過程で二人群は足並みを揃えた変化をするとは限らず、片方の一大群のみが住居型式を刷新したり戸数を増加させるケースなど、 一大群が独自の動きや変化を見せる場合がある。二大群が必ずしも同質でないことがここにも表れている。

六、二大群の片方が単独に存在する半分構造がある。墓群や住居群が半環状を呈するのは、各大群がもつ独自性の半面を表し、他の半分の使用が留保されている状態を表す。

七、大群内部にさらに複数の分節が入子状に内在する場合がある。とくに二大群のそれぞれに二小群が内在し、全体が四群に分節化している構造が明確である。さらに多数の小群が含まれる場合も見られる。

八、分節構造は墓群や住居群に表れるばかりでなく、廃棄帯にも認められる。分節構造は埋葬区や居住区の区分であるだけでなく、環状集落の空間全体を区分する空間のシンボリズムと見なした方がよい。」「谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年)」から引用

2 分節単位と出自集団

二大群の分節を出自集団の区別と仮説する解釈は妥当である。仮説は環状墓群人骨から血縁関係を確認して証明できる見通しが生まれている。

3 出自集団の機能

出自集団による環状集落の出現は、領域や資源に対する利権の問題と深く関係する。

4 人口密度と環状集落

環状集落分布は遺跡分布密度と強く相関する。

遺跡分布密度の増減に即応して環状集落が発達したり逆に解消したりする運動が繰り返されている。これを環状集落の「点滅」と呼ぶ。

5 環状集落の解体

後期中葉から後葉には不平等化の拡大により環状集落構造の基本原理が変化する。社会内部の変化が暗示される。

6 感想

・環状集落の基本が何故二大群なのか考えました。一大群や三大群でないのは何故かということです。この考えをあれこれこねくり回している中で、環状集落二大群の意義を次のように考えました。

・領域・資源の権益を自分で(家族で、身内集団で)確保するのは、「しんどい」。動物集団が縄張り争いをするのと同じである。

・領域・資源の権益を隣接する2人で(2家族で、2集団で)同盟関係を結んで確保するのは、「しやすい」。権益に侵入する外来者(集団)は通常1人(1家族、1集団)であるから、それに対抗するに2人(2家族、2集団)なら必ず優越できる。

・同盟関係を結んだ2人(2家族、2集団)の権益が複数存在し、それが広域空間的に配置されれば、広域空間の権益が安定する。外部からの侵入を広域的に予防できるようになる。

・つまり、二大群同盟とその同盟関係の空間連続配置は、社会全体を俯瞰的に統制する組織が発明されていない状況下で、縄文社会が発明した最良の社会安定継続装置である。

・三大群の同盟関係は不安定であり、実現しない。

・二大群の同盟関係とは、すなわち権益面における対侵入者対策での相互連帯保証同盟関係(契約関係)である。

・侵入者からみると、二大群の同盟関係は単なる力の同盟関係ではなく、現代風に言えば、法的な契約が支配する風景が存在することになり、侵入を諦めざるをえない状況だったと考えられる。

・二大群契約による環状集落発達区域、時期とは、狭い範囲にひしめき合って生活しても、食っていけるだけの資源が存在していたことの証である。あるいは資源利用の効率を高める制度的発明であるために、より多くの人口を養えた区域、時期である。

・環状集落を構成する二大群の後背地(領域、資源)は隣接して区画されていたと考えられる。

・以上のような感想(環状集落理解のための思考)がどれだけ適切であるのかどうか、今後の学習で確かめて行くことにします。


千葉市大膳野南貝塚後期集落の様子


2024年6月23日日曜日

「儀礼行為とコンテクスト」の学習

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 7


Learning about “Ritual Actions and Contexts”


Study 7 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I am deepening my understanding of the term “context” in “DOGU & SEKIBOU” which is the central concept of Yasuhiro Taniguchi's book. Context is explained as the physical circumstances of a ritual act. However, to understand a ritual act from its physical circumstances, advanced knowledge of rituals and interpretations (hypotheses) are required.


谷口康浩著「土偶と石棒」の中心概念ともいえる「行為とコンテクスト」の用語コンテクストの理解を深めています。コンテクストとは儀礼行為の物的状況と説明されています。しかし、物的状況から儀礼行為を喝破するには高度な儀礼知識と解釈(仮説)が必要です。

序章 儀礼考古学の現代的意義

2 儀礼考古学の研究法一モノ・行為・コンテクストー

(3)儀礼行為とコンテクスト

・この小節では儀礼考古学の4つの方法の中で著者が最も重視する「モノ・行為・コンテクストによる方法」のうち「行為とコンテクスト」について説明しています。

・著者は儀礼行為の再現性・反復性は考古学研究の重要な手がかりになるとして、石棒と石皿を対にした性交穏喩表現の儀礼行為などのパターンや形式を捉えて、同一石棒文化を共有する社会・集団を識別して、その時間的・空間的広がりを明らかにできると述べています。

「遺構・遺物に形跡をとどめる行為的側面についても、研究手続きを検討する方法論の深化が必要である。儀礼祭祀の一般的特徴として、形式を整えておこなう反復性と再現性をもった行為や所作がある。儀礼行為の再現性・反復性は、考古学研究においても重要な手がかりとなる。

再び石棒を例にいうと、石棒に残る人為的痕跡の観察、ならびに遺跡での出土状況やコンテクストの検討から、多くの事例に共通する現象上のパターンを抽出することができる(谷口2012b・2015)。石棒と石皿を対にして用いる性交の隠喩表現とみられる儀礼行為や、住居内で石棒を火にかけ破砕する行為などが確認されている。石棒が最終的に放棄されるまでの行為の流れや遺跡形成過程を検討し、儀礼行為のパターンや形式を捉えることにより、同一の石棒文化と儀礼祭祀を共有する社会・集団を識別し、時間的・空間的な広がりを明らかにすることが可能である。行為に着目したこうした研究手続きは、石棒の研究にかぎらず儀礼祭祀の考古学の基本的な研究法となり得る。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・次いで、著者は「「コンテクスト」とは、遺跡の中に残された儀礼行為の物的状況を指すが、それはある儀礼の場面が瞬間的に埋没した状況を必ずしも意味しない。」として、「コンテクストの解釈よりも前に、まずタフォノミーの研究をおこなう必要がある。」と述べて、タフォノミー研究の重要性に触れています。タフォノミー研究は、自分が現在作業している有吉北貝塚北斜面貝層の遺物3D分布見える化にも大いに関連するので、改めて検討することにします。

・さらに著者は儀礼行為と身体との関係も重要な研究視角になると述べて、その重要性と、それが儀礼研究の一つのアプローチになることを述べています。儀礼行為と身体との関係はイレズミなどの学習を過去に行ったことがあり、とても興味があるので、改めて検討することにします。

……………………………………………………………………

【用語「コンテクスト」に関する感想】

1 用語「コンテクスト」が使われる異なる文脈

・この小節では「「コンテクスト」とは、遺跡の中に残された儀礼行為の物的状況を指す」と定義されています。また「遺跡での出土状況やコンテクストの検討から、多くの事例に共通する現象上のパターンを抽出することができる」ともかかれています。コンテクストという方法概念(ツール)を使えば現象研究が進むという文脈のようの感じます。

・一方、8ページでは研究手順として、コンテクスト解釈が目的のように書かれています。

「本書でもっとも重視するのはこのうちエ)の方法である。宗教や信仰には、意識的側面・行為的側面・物質的側面がある。先史時代の人々の意識的側面を考古資料から直接復元することは困難だが、考古資料の分析から行為的側面と物質的側面を把握することは可能である。

①多くの事例に共通する現象上のパターンから、

②儀礼的行為の型と認定できるものを捉え、

③その行為の背景にあつた観念形態を読み取り、

④遺跡に残されたコンテクストを解釈していく、

という研究手順が、筆者の基本的な接近法である。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・この二つのコンテクスト用語法が異なるように感じます。

・「コンテクスト」という用語(概念)が指す対象に、通常能力で扱えるものから、解釈能力(仮説設定能力)が必要なものまで、階層性があるのかもしれません。学習をさらに進めることにします。

2 コンテクスト解釈の困難さと魅力

・本書55ページには「コンテクスト」のより詳しい定義がかかれています。

「「コンテクスト」とは一般に出土状況を指すが、それは遺物・遺構の表面的な分布ではなく、遺跡に残るモノ・行為・空間の関係であり、ある行為の状況をとどめる資料群全体の機能的関係・脈絡として理解すべきである。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・石棒の形態的分析だけでは大いに限界があり、儀礼行為を知るためには「コンテクスト」検討が必須であるという著者の言い分はよく理解でき、大切です。

・「ある行為の状況をとどめる資料群全体の機能的関係・脈絡として理解する」とさらりと書かれた活動は、物的状況から儀礼行為を喝破するという活動であり、それには高度な儀礼知識と解釈(仮説)が必要です。とても困難な活動であり、それだけに魅力的活動であるのだと思います。


石棒展示(千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」2020.10)

画像は本文とは関係ありません。



2024年6月18日火曜日

欧米考古学の新概念「物質性」の学習

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 6


Learning about the new concept of “Materiality” in Western archaeology


Study 6 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


In “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi, I learned about the new concept of “Materiality” in Western archaeology for the first time. It was confusing, difficult, and I had a strong feeling that I would become interested and passionate about it. “Materiality” is not the physical properties of an object, but the force that an object exerts on people. As a side trip, I learned about the outline of “The Materiality of Stone” by C. Tilley on ChatGPT.


谷口康浩著「土偶と石棒」の中で、欧米考古学の新概念「物質性」をはじめて学習しました。戸惑い、難解、そして強い興味と熱中しそうな予感。「物質性」とはモノの物質的特性ではなく、モノが人に働きかける作用力です。寄道学習として、ChatGPTでC.Tilley著「The Materiality of Stone」の概要を知りました。

序章 儀礼考古学の現代的意義

2 儀礼考古学の研究法一モノ・行為・コンテクストー

(2)モノと物質性

・この小節では「物質性」への研究視覚の大切さを述べています。「物質性」といっても「モノ自体に備わる物質的特性ではなく、モノが人・社会・文化に働きかける作用力に目を向ける考え方である。」という点で、私には、難解です。

・石棒と土偶について次のように「物質性」について説明しています。

「たとえば、「石棒」は縄文中期に盛行した大形の棒状石製品であるが、なぜそれが木や土ではなく石で作られなければならなかつたのか、なぜそこまで大きく作る必要があったのか、なぜ特定の色調の石にこだわつたのかは正面から問われたことがない。これまでの石棒研究では主に頭部の形態による分類と型式編年が進められてきたが、その性格については、男根からの連想のような飛躍的解釈が起こりがちであつた。こうした限界を克服するための一つの方法が物質性の分析である。同時代の人々の石に対する意識や態度を問題に組み入れることで、形態からではわからない意識を読み取れる可能性がある。縄文人が石に特別な意識・感情を抱ぃてぃたことは、中期以降に顕著となる環状列石や配石遺構の発達ぶりからも窺い知ることができる。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

「物質性の点で石棒と対照的な性格をもつのが土偶である。土偶は縄文土器と同じく土で造形されるのが普通である。第5章で詳しく取り上げるが、土偶と土器はしばしば造形上で融合する関係にある。これは土器と土偶の製作者が同一であった可能性を示すだけでなく、土偶の象徴性が「土」という物質性に合致していたことによるものと考えられる。土偶の造形を軟質の石に写した岩偶も一部にあるが、土偶に比べれば数はきわめて少ない。縄文人たちの土に対する意識や観念形態を考察しなければならない。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・つぎの記述が著者の「物質性」に関する概念を端的に述べているものと推察します。

「どのような素材を選び、それにどのような姿態を与えるのか。そこに人々の意識や観念が凝縮される。だからこそ、そのモノが人の心を動かす作用力をもつことになるのである。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・この小節の最後では、物質性の問題は欧米の現代考古学で主題化され研究対象になっている様子が記述されています。

「遺跡景観の現象学的な解釈を目指すC.テイリーは、巨石モニュメントなどの遺跡景観を単なる物理的空間としてではなく、それに関わった人々が身体を通して感じ取った経験や感情を物質化したものと捉え、巨石やある種の石材、あるいは特別な石斧などの「石」が人々の心にある知覚を喚起する力を内在させていたという見方を提示している(Tilly 2004)。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

(図書のTillyは誤で正はTilleyです。)

【Christopher Tilley著「The Materiality of Stone: Explorations in Landscape Phenomenology」(2004)の寄り道学習】

参考文献に出ているChristopher Tilley著「The Materiality of Stone: Explorations in Landscape Phenomenology」(2004)の寄道学習(というか基礎情報収集)をしてみました。

1 webにおける図書の確認


web画面

出版社の説明文(翻訳)

ウェイン・ベネットとの共著 石英メンヒルの表面の絹のようなワックスのような質感から、他のメンヒルの木目調の質感、マルタ島の金色の蜂の巣状の石灰岩、スウェーデン南東部のカンブリア紀砂岩の凍った波のように冷たい質感まで、この本は石の感覚的な材質特性を調査します。触覚、音響特性、色、視覚的印象はすべて、先史時代の記念碑が持つ風景との関係における力と重要性を理解する上で重要な役割を果たしていることが示されています。『The Materiality of Stone』で、クリストファー・ティリーは、先史時代のヨーロッパの風景における「文化的」石と「自然」石の両方の重要性を分析する根本的に新しい方法を提示しています。ティリーの画期的なアプローチは、人間の経験を抽象的な分析的視線ではなく、多次元的で感覚的な人間の方法で解釈することです。研究対象は、先史時代のブルターニュのメンヒルからマルタの新石器時代の寺院、そして南スウェーデンの青銅器時代の岩の彫刻やケルンまで多岐にわたります。ティリーは、内部空間や景観設定が、そこに住んでいた人々にとって深い意味を持ち、今日でも同様に刺激的な遺物、物質、および関連する場所との関係でどのように解釈されるかについても検討し、徹底的な調査を行っています。私たちの過去の具体的な岩や石を通して人間の経験を理解するという革新的なアプローチにおいて、『石の物質性』は、物質文化研究の分野とヨーロッパ先史研究への理論的かつ実質的な大きな貢献です。

2 ChatGPT-4oからの情報

[質問]

図書

The Materiality of Stone

Explorations in Landscape Phenomenology

By Christopher Tilley

の概要や論旨の特徴について教えてください。

[回答]

Christopher Tilleyによる『The Materiality of Stone: Explorations in Landscape Phenomenology』は、ランドスケープ・フェノメノロジー(景観現象学)の視点から石の物質性を探求する学術書です。この本は、石がどのようにして人間の経験や文化に深い影響を与えてきたかを考察しています。以下に、本書の概要や主要な論旨の特徴を紹介します。

●概要

『The Materiality of Stone』は、物質性と景観が人間の感覚や意識にどのように影響を与えるかを分析することを目的としています。Tilleyは、石が持つ物理的特性とその文化的・社会的意味を探ることで、人々がどのようにして景観を経験し、解釈したかを明らかにしようとしています。本書は、フィールドワークや理論的考察を交えて書かれており、石が単なる物理的な存在以上のものであることを示しています。

●論旨の特徴

・フェノメノロジーのアプローチ

Tilleyは、現象学的手法を用いて、石と人間の関係を探求しています。彼は、人間がどのようにして石を知覚し、その物質性をどのように経験するかに焦点を当てています。これにより、石が持つ象徴的・文化的な意味が浮き彫りになります。

・景観の物質性

本書は、景観を単なる背景としてではなく、能動的な要素として捉えています。Tilleyは、景観の中の石がどのようにして人間の行動や思考に影響を与えるかを考察し、景観が社会的・文化的実践において重要な役割を果たすことを示しています。

・石の象徴性と社会的役割

石は、様々な文化において象徴的な意味を持ちます。Tilleyは、メガリスや墓石、道標などの事例を通じて、石がどのようにして記憶、アイデンティティ、儀式などに関与しているかを分析しています。石の物質性は、個人や集団のアイデンティティ形成や社会的関係の構築において重要な役割を果たします。

・フィールドワークと事例研究

本書は、具体的なフィールドワークに基づいています。Tilleyは、ヨーロッパの先史時代遺跡や現代の景観における石の使われ方を詳しく調査し、それらの事例をもとに理論的な考察を展開しています。これにより、理論と実践が結びつけられています。

・物質性の再評価

Tilleyは、物質文化研究における物質性の再評価を提唱しています。彼は、物質が人間の経験に与える影響を軽視せず、むしろその中心に置くことで、新たな理解を促進しています。

●結論

『The Materiality of Stone: Explorations in Landscape Phenomenology』は、石の物質性と人間の経験の関係を深く掘り下げた重要な学術書です。Tilleyの現象学的アプローチは、石がどのようにして文化的・社会的意味を持つかを明らかにし、景観の物質性に対する理解を深化させています。考古学や人類学、文化地理学など、さまざまな分野で参考にされる重要な研究です。

【感想】

「物質性」という概念はここで文字通りはじめての学習となり、戸惑いを禁じ得ません。しかし、とても面白そうな、そして重要であり、さらに自分が熱中しそうな概念です。このような欧米考古学を紹介した著者に感謝します。

欧米の情報はChatGPTが得意とする分野であり、実際に『The Materiality of Stone: Explorations in Landscape Phenomenology』の概要を詳しく知ることができました。ChatGPT恐るべしです。

ChatGPTの回答で「物質性」概念が少し身近になり、咀嚼できそうな予感が産まれました。

この図書電子版を即座に購入する衝動にかられましたが、自分の英語力をかんがみてやめました。パソコン機能による翻訳でも十分学習できる可能性があるので、将来状況が変化してどうしても読みたくなれば、購入することにします。

【参考】

ChatGPT-3.5による同質問に対する回答は次の通りです。内容基本は似ていますが、ChatGPT-4oの方がより詳細でわかりやすく、差別化されているようです。

[回答]

Christopher Tilleyによる「The Materiality of Stone: Explorations in Landscape Phenomenology」は、風景の現象学における石の物質性を探る重要な著作です。Tilleyは、考古学や人類学の視点から、石がどのように先史時代の人々の生活や文化に影響を与えたかを考察しています。この本の概要や論旨の特徴について詳しく説明します。

●概要

この本は、石の物質性とその文化的および社会的な意味を探るものであり、特に風景の中での石の役割に焦点を当てています。Tilleyは、物質文化に関する現象学的アプローチを用いて、石がどのように人間の経験や認識に影響を与えたかを分析しています。

●主な論旨の特徴

・現象学的アプローチ

Tilleyは、現象学の哲学的枠組みを用いて、石の物質性がどのように人間の意識や経験に影響を与えるかを探求しています。彼は、石を単なる物質としてではなく、人間と自然の関係を理解するための媒体として考えます。

・風景と物質性の関係

風景の中での石の存在が、どのように人々の認識や行動に影響を与えたかを詳細に分析します。石の配置や形状、質感が、儀式や社会的行動にどのように影響を与えたかを考察しています。

・文化的および象徴的な意味

石の物質性が持つ象徴的な意味や文化的な役割についても深く掘り下げています。Tilleyは、石が単なるツールや建築材料としてだけでなく、信仰やアイデンティティの象徴として機能していたことを強調しています。

・具体的な事例研究

Tilleyは、ヨーロッパ各地の具体的な遺跡や風景を取り上げ、それぞれの場所における石の役割や意味を詳細に分析しています。これにより、一般的な理論を具体的な実例で裏付けています。

・時間の流れと石の役割

石が時間を超えてどのように機能し続けるか、つまり長い歴史の中でどのようにその重要性が変わってきたかを考察しています。古代から現代に至るまでの石の持つ意味の変遷を追跡しています。

・重要な結論

物質と人間の相互作用:

石は単なる受動的な存在ではなく、人間の行動や文化を形成する能動的な要素であるという結論に至ります。

風景の動的な性質:

風景は静的な背景ではなく、常に変化し、人間の活動と相互作用する動的な存在であると述べています。

象徴的な力:

石の物質性は、その物理的特性だけでなく、象徴的な力によっても人々の生活に影響を与えることを示しています。

●結論

Christopher Tilleyの「The Materiality of Stone: Explorations in Landscape Phenomenology」は、石の物質性が先史時代の人々の文化や社会に与えた影響を現象学的視点から深く探求したものであり、風景考古学や物質文化研究における重要な文献です。石が物質としてだけでなく、象徴的な存在としても重要な役割を果たしていることを明らかにし、現代の私たちが過去の文化を理解する上での新たな視点を提供しています。


石棒の展示 尖石縄文考古館

この写真は本文記事と関係ありません。


2021年6月17日木曜日

有吉北貝塚北斜面貝層学習の進め方

 縄文社会消長分析学習 102

有吉北貝塚北斜面貝層学習を5月25日からスタートしていますが、それをふりかえるとともに、今後の学習ステップをメモします。

1 中間ふりかえり

北斜面貝層学習をふりかえると、●で示すような学習上の成果・画期を継続して体験することが出来てきています。学習の深化に自信を持つことができ、学習意欲が増大しています。

2021.05.25 有吉北貝塚 北斜面貝層の学習計画

●北斜面貝層学習計画

2021.05.27 有吉北貝塚北斜面貝層断面図の3D表示

●貝層断面図の3D表示実現


貝層断面図の3D表示

2021.05.28 斜面貝層3Dモデルの改良

2021.05.30 有吉北貝塚 基底部土器出土状況図の3D表示

2021.05.31 有吉北貝塚 北斜面貝層 土器出土状況の予察観察

●土器出土状況平面図・投影断面図の理解


土器出土状況平面図・投影断面図の理解

2021.06.04 有吉北貝塚 北斜面貝層断面図及び周辺地形の3D表示(試作1)

2021.06.06 有吉北貝塚 北斜面貝層 情報図 試作1

●断面図等情報の3D総合図完成

2021.06.10 有吉北貝塚北斜面貝層に関する学習問題意識

●問題意識のとりまとめ


問題意識 1


問題意識 2


問題意識 3

2021.06.11 有吉北貝塚北斜面貝層基底面高度分布図の作成

●3種の等高線図作成


等高線図 1


等高線図 2


等高線図 3

2021.06.12 有吉北貝塚北斜面貝層 発掘調査前(表土除去後)地形3Dモデルの試作

2021.06.13 有吉北貝塚北斜面貝層 基底面高度分布図3Dモデルの作成

●等高線から作成した地形3Dモデルの実用資料作成


等高線から作成した地形3Dモデル

2 これからの学習ステップ

これまでの学習成果を踏まえ、これからの学習ステップを次のように設定して、順次実行することにします。

2-1 北斜面貝層写真の分析


北斜面貝層写真 例

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用


北斜面貝層写真 例

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用

有吉北貝塚発掘調査報告書には北斜面貝層の貝層断面や遺物出土状況写真が120点収録されています。この写真を3D情報図、3D等高線図等と対応させて、発掘現場状況を紙上体験することにします。

紙上体験は写真を大型ディスプレー上で大伸ばしして、子細に観察して写真上にメモを追記して行うことにします。必要な立体位置確認、遺物個体確認などを行います。

この紙上体験(写真分析活動)が次の2-2~2-4活動の質を高めることになると期待します。

2-2 貝層断面詳細図の検討


貝層断面詳細図 例
有吉北貝塚発掘調査報告書から引用

発掘調査報告書に掲載されている貝層断面詳細図4枚を詳しく理解し、貝層構造を自分なりに解明します。

2-3 土器出土状況詳細図の検討


土器出土状況詳細図

この詳細図の番号(個別土器番号)をまず理解し(判読し)、個別土器毎の分布を貝層全体構造のなかで把握します。

2-4 出土遺物分布図の作成

北斜面貝層から出土した遺物のリストを遺跡全体の遺物種別リストから作成し、その分布図(層位…立体要素加味)を作成します。この分布図から貝層形成の様子について考察します。

発掘調査報告書に掲載されている遺物種別リスト

・土製円盤

・耳栓

・ミニチュア土器

・土製品(その他)

・ハマグリ製貝刃

・カガミガイ製貝刃

・アリソガイ製磨貝

・ハマグリ製磨貝

・貝製品(装飾品他)

・骨角歯牙製品

・散乱人骨骨片一覧表

・イノシシ上顎骨の内容

・イノシシ下顎骨の内容

・石鏃破損状況(1)

・石鏃破損状況(2)

・石鏃破損状況(3)

・石鏃属性(1)

・石鏃属性(2)

・石鏃属性(3)

・石錐・削器・異形石器・尖頭器属性

・UR-fl属性(1)

・UR-fl属性(2)

・UR-flの使用痕

・楔形石器属性

・OEF属性

・打製石斧属性(1)

・打製石斧属性(2)

・磨製石斧属性(1)

・磨製石斧(転用)属性

・磨製石斧属性(2)

・磨石類属性(1)

・磨石類属性(2)

・石皿属性(1)

・石皿属性(2)

・礫器属性(1)

・礫器属性(2)

・砥石・叩石・台石属性(1)

・砥石・叩石・台石属性(2)

・石製品属性(1)

・石製品属性(2)

・軽石製品属性(1)

・軽石製品属性(2)

・石核・原石属性

・砥石状砂岩・凝灰岩属性

・土質ブロック属性

・基盤石塊属性

・炉石属性

・石器補遺

・土器片錘計測表(4)北斜面貝層出土分(完形)


北斜面貝層メッシュ体系 2m×2mメッシュ

発掘調査報告書では、北斜面貝層出土遺物位置は全て2m×2mメッシュ単位で特定できるようになっています。遺物によっては層位が出ています。

3 感想

発掘調査報告書掲載資料を3D空間のなかで理解することによって、自分自身の遺跡理解が特段に深まりつつあります。単なる紙上学習(資料学習)ですが、肉体的体験的学習に似た感覚が生まれていますから不思議です。


2017年11月5日日曜日

短期集中学習「奈良平安時代7開発集落の生業と消長」のおもしろさ

2017.10.12記事「短期集中学習 「奈良平安7開発集落の生業と消長」の開始」でスタートした学習が想像以上に面白いので、途中経過として自分が特段に興味を持った点をランダムメモしておきます。

1 鳴神山遺跡が大結馬牧であるという仮説がいわば「向こうからやってきて」生まれました。
千葉県公式歴史書(「千葉県の歴史」)の記述(大結馬牧船橋説)と真っ向から異なるので、興味がとても深いものになります。
機会が生れれば、その筋の専門家に教えを請い、大結馬牧印西説の蓋然性を高めたいと考えます。

2 過去検討をふりかえり反芻することにより、遺跡毎の特徴が鮮明に理解できるようになりました。
例えば鳴神山遺跡の漆は馬牛の皮を素材とし、隣の船尾白幡遺跡の漆は麻を素材とした乾漆であったこと。

3 古代遺跡GIS学習は鳴神山遺跡ではじめ船尾白幡遺跡、上谷遺跡で行いましたが、白幡前遺跡をはじめとする萱田遺跡群では本格GIS学習は行いませんでした。今からふりかえると鳴神山遺跡、船尾白幡遺跡、上谷遺跡より萱田遺跡群の方がよりドラマチックな考古事象があり、もしGIS学習をすればより大きな学習成果を得られそうです。いつの日か萱田遺跡群についてGISをツールにして学習再チャレンジしたいと思います。

4 下総国台地上の古代開発集落は蝦夷戦争後大発展して9世紀第3四半頃ピークを迎え10世紀初頭頃にはほとんど衰滅します。この10世紀初頭頃の台地上開発集落消滅の理由がいままで皆目見当が付きませんでした。
ところが、7遺跡学習をふりかえると、おぼろげながらその理由がわかるような気になってきました。
9世紀末頃から10世紀にかけて律令国家の統治が弱まったのですが、その統治弱体化(現場から見れば権力空白の生起)に開発集落現場(体制、人)が対応できなかったという「対応力」の欠如が開発集落消滅の主因であると直観できるようになりました。
同じ社会情勢の変化、環境の変化があっても、ある社会はそれに対応して困難を克服して発展します。別の社会はそれに対応できないで破滅します。
開発集落現場が現代人の感覚をもっていたなら律令国家の統治が弱まってもその困難を乗り越えて平将門独立国家のようなものを形成して発展したと考えますが、当時の開発集落現場には対応力がなく、現場構成員が地道な生業を捨て逆にことごとく自由な盗賊集団に変身してしまったということです。
同じ時代水田耕作する集落は破滅せず、逆に発展していますから、牧をはじめとする台地集落構成員と水田耕作を行う低地集落構成員の気風や文化が大きく異なっていたと推定します。台地集落には強制された時だけ組織活動を行える気風の人々が多かったということです。
台地開発集落の一斉消滅の主因についてその仮説をイメージできましたので、今後検討を深めたいと思います。

風景 

2016年11月18日金曜日

上谷遺跡学習のふりかえり

上谷遺跡学習を7月29日にスタートして一昨日までに71記事を書いてきました。

最初は手探りで、少しずつ遺跡の概要が判ってきたのですが、その検討経緯全てを覚えていることは不可能です。

そこで、途中ですが、一度全部の記事を読み返し、ふりかえり、今後の学習方向を確認してみました。

1 当初の学習方針

2016年7月29日の学習方針は次の通りです。

この学習方針は今でもその通りだと思っています。

特段の変更は行いません。

……………………………………………………………………
●花見川-平戸川筋遺跡に関して深めている興味

ア 奈良・平安時代新規開発地が印旛浦に立地した理由(蝦夷戦争との関連、交通との関連)

イ 奈良・平安時代新規開発地の生業

ウ 奈良・平安時代の新規開発地が9世紀末頃に一斉に衰退、廃滅した理由

エ 墨書土器活動の新規開発地での意義(生業や「祭祀」からみた文字の意味等)

上谷遺跡学習ではこのような興味をさらに深める方向で学習したいと思います。

具体的な学習方針は次のように設定します。

●学習方針

ア 分析対象を奈良・平安時代の墨書土器及び土器以外の遺物等に絞って検討する

イ 遺構・遺物の具体情報を徹底してGISデータベース化してGIS空間上で分析検討する

ウ 既学習近隣遺跡との比較を検討の各段階で行い、奈良・平安時代新規開発地の特徴を考察する。
……………………………………………………………………

2 学習経緯

学習経緯は次の通りです。

上谷遺跡 ブログ記事一覧

ブログ記事の概要をとりまとめて確認検討しましたが、そのメモは省略します。

3 今後の課題

これまでの学習で残された主な課題、生まれた主な興味(検討課題)を次にまとめました。

上谷遺跡 ブログ記事のテーマと検討課題

今後これらの課題に順次取り組みたいと思います。

課題が有限になりましたので、また右も左もわからないことがらは課題にはなっていません。

ある程度成算の見込める課題ばかりですので、取り組みを楽しみたいと思います。

4 今後の活動

これらの課題学習が一通り終わった段階で、上谷遺跡検討(学習)の区切りをつけます。

その後、総とりまとめを行い、上谷遺跡学習をまとまったコンテンツに仕上げるつもりです。

学習方針にある近隣遺跡との比較はさらにその後、改めて行うつもりです。

萱田遺跡群、鳴神山遺跡、船尾白幡遺跡について上谷遺跡と同程度のGIS適用を伴う再検討(学習)を行い、できるだけレベルを合わせて上谷遺跡と比較検討を行う予定です。


5 感想

当初は8月一杯くらいで形を付けるつもりだった学習も、すでに5ヵ月となりました。

GIS適用により多大の知見が得られるようになり、学習が面白くなったためです。

残された課題を効率的に学習し、再びできるだけ早く萱田遺跡群に戻って、GIS適用による学習をしたいと思っています。

GIS適用学習により、過去の萱田遺跡群学習における不十分さを是正するとともに、これまでとは比較にならない深いレベルの情報が得られると考えています。