2015年10月3日土曜日

墨書土器GISデータベースのプロトタイプ完成

2日間の作業を経て、鳴神山遺跡の墨書土器データベースのGISデータベース化を実現しました。

墨書土器データベースには1158件のデータがありますが、GISデータベース化できたのは(位置情報を付加出来たのは)994件で全体の86%にとどまりました。

その理由は発掘調査報告書の詳細地図に発掘位置が最初から掲載されていないデータがあること、及び地図の不備や誤記等により位置が読み取れない情報があること、さらにデータベースサイドにも不備があることなどがあるようです。

残念ながら手元に発掘調査報告書がありませんからこれ以上のことは直ぐにできませんが、近々発掘調査報告書を閲覧してGISデータベース化のカバー率を向上させたいと思います。

しかし、恐らく発掘調査報告書を精査しても位置情報を加えることができるデータ数は限られると思います。


一旦墨書土器データベースをGISデータベース化すると、あとはExcelの操作(正確にはcsvファイルの操作)をすれば各種分布図を自動で作成することができます。

例としてに文字「大」、「大加」、「依」の分布図(出現頻度グラフ分布)を作成しました。

鳴神山遺跡 墨書土器文字「大」分布
白点は墨書土器が出土した遺構

鳴神山遺跡 墨書土器文字「大加」分布
白点は墨書土器が出土した遺構

鳴神山遺跡 墨書土器文字「依」分布
白点は墨書土器が出土した遺構

分布図を作成する前までは「大」と「大加」の分布は恐らく似ていると予想していましたが、「依」の分布が「大」「大加」の分布と比べてどうなのか、全くわかりませんでした。

結果は「大」と「大加」の分布は良く似ており、強い関連をもって分布していることがわかりました。

一方、「依」は「大」「大加」の分布と異なり、「大」「大加」と棲み分けしているように観察できます。

詳しい検討は別記事で行いますが、「大」「大加」系統と「依」系統は別集団であると予想できます。

また、「大」「大加」はその分布位置から北方に広がる台地面との関わり(農業開発?、輸送?)が推察され、「依」は掘立柱建物群の傍に分布していることから、当初から推定している被服廠関係の集団であるとする考えの合理性が感じられます。

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