2019年6月17日月曜日

参考 矢柄研磨器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル

隆起線文土器、有舌尖頭器と共伴出土した矢柄研磨器の観察記録3Dモデルを作成しました。

矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27

矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵

矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土  観察記録3DモデルにおけるMatcap表示 メモ追記

矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図

1 矢柄研磨器の利用目的
矢柄研磨器は縄文草創期のこの時期にしか出土していません。弓矢が発達した段階では矢柄研磨器は出土しません。
矢柄研磨器がどのような目的で使われたのか、専門的知識を入手したいと思いますが、次のような状況のどれかであると推察します。
1 手で持って使う弓矢が既に使われていたが、矢羽根の発明前であり、矢柄の調整が命中率向上に重要であったので矢柄研磨器が存在した。
2 手で持つ弓矢はまだ存在していなかったが、仕掛弓が存在していて、その矢柄を出来るだけ直線状に調整する必要があったため。
3 投槍器を使って投槍する際の槍棒を出来るだけ直線にして命中率を高める必要があり、そのための調整道具として矢柄研磨器を使った。

いずれにしても矢羽根発明前の飛び道具としての矢・槍の棒を出来るだけ直線状に調整するための道具であると考えます。

2 矢柄研磨器の形状観察
発掘調査報告書挿図では矢柄研磨のための凹部は直線状にスケッチされています。しかし3Dモデルで観察するとわずかに湾曲しています。
曲がった矢柄を矯正するためには湾曲の反対方向の力で強制する必要がありますから、凹部が湾曲していることは合理的です。
また凹部がかなりデコボコしていてダイナミックに矯正した様子を推察できます。
この矢柄研磨器の上に矢柄を乗せ、その上に別の石を当てて押しつけ、矢柄をしごいたのではないかと想像します。

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