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2021年12月4日土曜日

異形台付土器2点セットの観察 Deformed earthenware 2-piece set

 Observation of 2 sets of 2-piece earthenware with a stand


Observe the deformed earthenware with a stand (Angyo 2 type)2-piece set 2 sets exhibited at the Rakugaku Jomonkan with a 3D model. 

I enjoyed thinking about the meaning of the 2-piece set.

Imagine it as a wedding ritual.


八千代市立郷土博物館特別展「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」で展示されている異形台付土器(安行2式)2点セット2組の3Dモデルを作成して観察し、2点セットの意味などに関する思考を楽しみました。

1 異形台付土器(安行2式)2点セット2組 観察記録3Dモデル Deformed earthenware

異形台付土器(安行2式)2点セット2組 観察記録3Dモデル Deformed earthenware

縄文時代後期

左2点:鎌ヶ谷市中沢貝塚

右2点:君津市三直貝塚

撮影場所:八千代市立郷土博物館特別展「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」

撮影月日:2021.11.18


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 123 images

Deformed earthenware with a stand (Angyo 2 type) 2-piece set 2 sets Observation record 3D model

Late Jomon period

Left 2-piece set: Nakazawa shell mound, Kamagaya city

Right 2-piece set: Mino shell mound, Kimitsu city

Location: Yachiyo Municipal Folk Museum Special Exhibition "Rakugaku Jomonkan-Enjoy the Manabi of Jomon Pottery-"

Shooting date: 2021.11.18

Shooting through a glass showcase

Generated by 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 123 images


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 観察

2-1-1 鎌ヶ谷市中沢貝塚

器形の全体形状、4点の突起、2つのラッパ状吸気口などはよく似ています。しかし、文様、透孔の形状配置が微妙に異なります。

2-1-2 君津市三直貝塚

器形の全体形状、文様、4点の突起、2つのラッパ状吸気口などはよく似ています。しかし、透孔の配置ば微妙に異なります。

2-2 2点1組で出土する異形台付土器の例


千葉市加曽利貝塚の異形台付土器2点1組出土例 加曽利B3式

祭祀が行われた大形住居から出土

形状、文様はほとんど同じであるが、大きさが微妙に異なります。

わたしは夫婦セットのような印象を持ちました。


佐倉市井野長割遺跡の異形台付土器2点1組出土例 加曽利B3式

「縄文時代の技と祈り」(1995、八千代市歴史民俗資料館)から引用

祭祀が行われた竪穴建物から出土

全体形状はよく似ていますが、大きさに大小があり、突起状の部分の形状が異なります。夫婦セットのような印象を受けます。


町田市広袴遺跡出土の異形台付土器2点1組出土例

「縄文時代の技と祈り」(1995、八千代市歴史民俗資料館)から引用

土器の形状や文様配置は似ていますが、高さと幅がことなり、文様も微妙に異なります。

2-3 異形台付土器が2点1組セットで出土する意義

展示異形土器2点セット2組および加曽利貝塚出土事例等から、異形台付土器が2点1組で出土する意義を次のように想像しました。

ア どの事例も完全に同じ形状や文様の土器ではなく、細部が微妙に異なる印象を受けるようになっています。類似の形状文様の中に意識して微妙に異なる細部要素を埋め込んでいます。

イ これらの土器から湯呑等の夫婦セットのような印象を受けました。

ウ アとイから異形台付土器2点1組は婚姻祭祀で使われた祭器であると想像します。縄文時代婚姻は異なる集団が新たな関係をもつ重要なイベントであり、集団間の社会経済的ネットワーク形成の重要な基礎を形成するものです。その重要な婚姻祭祀で、妻側と夫側の2集団を象徴する2つの異形台付土器から香りや覚醒作用を及ぼす煙が蒸散して式の雰囲気を醸成したのだと想像します。

2-4 異形台付土器の古と新の違い

加曽利貝塚、井野長割遺跡、広袴遺跡出土異形台付土器は加曽利B3式頃の古式といえる異形台付土器です。これらの土器はそれぞれ遺跡によって形状や文様に関して個性があります。また丁寧につくられている印象を受けます。

一方、展示されている鎌ヶ谷市中沢貝塚と君津市三直貝塚出土土器は安行2式頃の新式ともいえる異形台付土器です。これらの出土遺跡場所が東京湾の対岸ともいえるほど離れていますが、形状や文様がよく似ています。遺跡別の個性が感じられません。意匠から画一的な印象を受けます。また形状や文様は複雑で凝っていますが、古式のものとくらべると焼き方で丁寧さが感じられません。大量生産品のような印象を受けます。新式の異形台付土器は古式とくらべて普及品といえるような作り方があったと想像します。例えば社会の中にシャーマン情報共有ネットワークが根付いていて、そのネットワーク構成員が異形台付土器を専門につくって各所に供給していたということがあるのかもしれないと想像します。

2020年10月27日火曜日

堀之内式注口土器(君津市三直貝塚)

 縄文土器学習 488

2020年8月末まで加曽利貝塚博物館で開催されていた「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されていた3点の注口土器のうち48番堀之内式注口土器を3Dモデルで観察します。

1 縄文後期堀之内式注口土器(君津市三直貝塚)48 観察記録3Dモデル

縄文後期堀之内式注口土器(君津市三直貝塚)48 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編 

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.008 processing 39 images


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

ア 2つの渦が絡まる文様

2つの渦が絡まる文様が微妙に変形デザインされて描かれています。


2つの渦が絡まる文様

この文様は四角い浅鉢や土製耳飾にも描かれていました。


浅鉢、土製耳飾に描かれた2つの渦が絡まる文様

イ 把手基部に貫通する小孔

2つの把手(上部で連絡)の基部にそれぞれ1つの小孔が貫通しているようです。その機能は判りませんが、その孔に細長い棒を差し込むことによって、土器に4つの小突起をつくり、その小突起にヒモをかけて蓋を縛って固定できるようにしたのではないかと想像します。

ウ 土器表面に散見される小孔

土器表面に貫通しない丸い小孔が各所にあいています。土器完成後につけられたものですが、その意義が判りません。今後類例がないか注意することにします。


2020年10月21日水曜日

吊るされて利用されていた小型土器

 縄文土器学習 487

2020年8月末まで加曽利貝塚博物館で開催されていた「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されていた小型土器を3Dモデルで観察します。

1 堀之内式小型土器(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

堀之内式小型土器(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編 

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影 

ハイパス調整画像 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.008 processing 46 images


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

・実測図には口縁部が点線で描かれていますが、これを指標する構成土器片は展示物に欠損しています。

・手前2つの小穴の対抗位置に小穴が1つ見えますから、復元すると対抗位置に小穴が2つあったと考えられます。この小穴は二方向からヒモを通して、蓋上で結んで、蓋を固定するためのヒモ通し穴であると推察します。

・左右に胴部2カ所に太いヒモを通す大きな穴があり、底-左右の胴をめぐる太いヒモが通じ、この小型土器が横木等から吊り下げられて使われていたことが推定できます。

・現代でいえば宝石箱のような役割の土器であると推測します。

2020年10月11日日曜日

皿形ミニチュア土器の観察

 縄文土器学習 482

2020年8月末まで加曽利貝塚博物館で開催されていた「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されていた皿形ミニチュア土器を3Dモデルで観察します。

1 縄文後~晩期皿形ミニチュア土器(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文後~晩期皿形ミニチュア土器(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

発掘調査報告書記載:口径(8.2)×7.1㎝、器高2.1㎝、皿形、2個の穿孔(焼成前)

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編 

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影 

ハイパス調整画像

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.008 processing 47 images


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

ア モデルとした実用物原品の想定

このミニチュア土器がモデルとした実用物原品を次のように想定しました。


皿形ミニチュア土器がモデルとした実用物原品の想定

木製あるいは瓢箪底を使ったお玉杓子の玉部分が出土物に該当するのではないかと想定しました。

2穴は玉と木製柄を固定するヒモの通し穴として利用されたと考えます。

柄だけを持って液体をすくうことは力学的に無理なので、柄の役割はお玉を持つときの添えであると考えます。卓球のラケットを握るようにこのお玉杓子を持ち、中指、薬指、小指でお玉の底を支えたと考えます。

イ ミニチュア土器の意義

この皿形ミニチュア土器は竪穴住居跡SI-004から出土し、同じ場所から異形台付土器、石棒、土製耳飾など多量の祭祀系遺物が出土しています。このような状況から皿形ミニチュア土器も祭祀道具として使われたと考えます。

祭祀のなかで液体を汲み取り別の容器に入れる所作が求められたとき、この皿形ミニチュア土器(お玉杓子)を手に取って、その所作の真似をして儀式を進行したのではないだろうかと想像します。

ミニチュアを使って祭祀環境をつくることは現代でも継続しています。


現代の神棚

https://kamidananosato.jp/?mode=f2から引用

現代の家庭内神棚は神殿、灯篭、神鏡、酒・水・塩・米等の容器もすべてミニチュアです。

ミニチュアを使って祭祀環境をつくる点では縄文人も現代人も同じ心性を有していて、それは縄文人の心性が連綿と現代人にまで伝承してきているからだと考えます。


2020年10月7日水曜日

口縁部四角の安行3a式浅鉢

 縄文土器学習 480

8月末まで加曽利貝塚博物館で開催されていた「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されていた安行3a式浅鉢を3Dモデルで観察します。

1 縄文晩期安行3a式浅鉢(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文晩期安行3a式浅鉢(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編 

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影 

ハイパス調整画像

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.008 processing 34 images


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

ア 口縁部四角の意味

口縁部四角の浅鉢は三直貝塚では大変珍しく、2020.10.02記事「背面が丸く自立しない前浦式浅鉢」で観察した口縁部四角浅鉢とともに奉納物を入れる容器で祭祀で使われた祭具だったと想像します。

イ 二つの渦が絡まる文様

胴部には二つの渦が絡まる特徴的な文様が描かれています。二つの渦の上は磨消、下は縄文が施文されています。

発掘調査報告書をめくると、二つの渦が絡まる同じ文様が数多く見つかります。

この文様は2020.09.23記事「縄文後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)20 観察記録3Dモデル」で観察した土製耳飾にも描かれています。


二つの渦が絡まる文様

ウ ハイパス調整画像

この記事の3Dモデルは撮影写真をハイパス調整画像で作成しました。撮影写真とそれをハイパス調整した画像を較べると、撮影写真のピントがぼやけているように感じますが、ピントは正確に合っています。ハイパス調整画像が現実には存在しないクッキリ感を表現しています。


撮影写真とハイパス調整画像


2020年10月2日金曜日

背面が丸く自立しない前浦式浅鉢

 縄文土器学習 478

8月末まで加曽利貝塚博物館で「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」が開催されていました。ここで展示されていた前浦式浅鉢(背面展示)を3Dモデルで観察します。

1 縄文晩期前浦式浅鉢(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文晩期前浦式浅鉢(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編 

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.008 processing 45 images


展示の様子


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 感想

・背面(表面の底)が完全な球体となっています。自立することはできません。

・発掘調査報告書をみると類似の浅鉢の多くが自立することができない形状をしています。

・背面には沈線と縄文で模様が描かれています。

・背面の中央部はほとんど摩耗していないといっていい状態です。背面が接地する状況で利用されたり、あるいは置かれたことがほとんどないと考えられます。

・この浅鉢はその中に神様への捧げものをいれて、おそらく巫女が祭祀執行中ずっと両手で持っているという所作で利用されていたと空想します。

・この空想が正しければ、祭祀執行シャーマンには補助巫女が付き添いずっと浅鉢を両手で捧げていたことになります。

・祭壇に奉納品を置くのではなく、補助巫女が両手で捧げていたのです。

・この浅鉢は祭具以外のなにものでもありません。


2020年9月24日木曜日

縄文後晩期臼形土製耳飾(君津市三直貝塚)3点 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 472

君津市三直貝塚出土土製耳飾の観察をしています。

1 縄文後晩期臼形土製耳飾(君津市三直貝塚)3点 観察記録3Dモデル

縄文後晩期臼形土製耳飾(君津市三直貝塚)3点 観察記録3Dモデル

発掘調査報告書記載 上:グリッド出土、18番、径15.5㎜、幅9.5㎜、質量1.33g、赤彩臼形で上下面が大きく抉れる。

発掘調査報告書記載 下左:SX-038出土、1番、径(22.0㎜)、幅12.0㎜、厚さ21.0㎜、質量2.30g、赤彩:凹み部に多くのこり、外面(側面)にも少し残る。胎土精良。焼成:やや軟。臼形耳飾り。凹みの中央に凸があり、その上に刺突文。

発掘調査報告書記載 下右:グリッド出土、127番、径22.0㎜、幅12.0㎜、質量2.76g、赤彩、胎土精良。焼成:良。臼形耳飾。底の部分が盛り上がる。(両面)

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編 

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.007 processing 47 images


展示の様子


展示の様子


上(グリッド出土18番)の実測図
君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


下右(SX-038出土1番)の実測図
君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


下左(グリッド出土127番)の実測図
君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

ア 大きさの体感

直径が1.55㎝、2.2㎝と小さい土製耳飾ですが、現場での観察と3Dモデルでの観察で、何か大きさの実感が湧きません。具体的には上の土製耳飾の直径1.55㎝を基準にすると下の2つはもっと直径が大きいような気がしてきます。そこで3Dモデルで寸法を計測してみました。


実寸法を付与した3Dモデル

ショーケース手間に折尺を置いて、それが写るように撮影して3Dモデルを作成して、3つの臼形土製耳飾の直径を計測してみました。


実寸法が無い3Dモデルでの計測

実寸法を付与していないけれども精細な3Dモデルで3つの臼形土製耳飾の寸法を計測し、相対的に比較してみました。

これらの作業により、3つの土製耳飾の大きさは発掘調査報告書の調査表通りであり、自分の視覚体感に錯覚的な現象があったことがわかりました。


3つの土製耳飾のオルソ投影画像 立面

イ 少年少女用土製耳飾

3つの土製耳飾は直径が小さく、少年少女が通過儀礼として耳たぶに穴を開け最初に着装したものであると想像します。

耳たぶの穴を最初から1.55㎝とか2.2㎝にすることはできませんから、時間をかけて徐々に広げていったに違いありません。痛みに耐えて体を徐々に変形させる最初の身体変工が土製耳飾着装だったようです。

耳たぶの穴は壮年熟年では最大8㎝以上にまでなります。これ以外に抜歯、入れ墨、ペニス異形化など苦痛を伴う身体変工が少年少女達に待ち受けています。

ウ 赤彩の意味

この3点は赤彩土製耳飾を選んで展示したようです。赤彩されているものの数は少ないです。グリッド出土土製耳飾133点でみると13点が赤彩です。約1割ということになります。普通に着装される土製耳飾は赤彩されないで、特殊な場合に赤彩されることが想定されます。

その特殊な場合の例として遺体を埋葬する際の着装土製耳飾があります。

下右(SX-038出土1番)土製耳飾は頭部人骨付近から出土していて、その実例のようです。

次の記事でSX-038出土1番土製耳飾について検討を深めます。


2020年9月23日水曜日

縄文後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)20 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 471

君津市三直貝塚出土土製耳飾の観察をしています。

1 縄文後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)20 観察記録3Dモデル

後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)20 観察記録3Dモデル

発掘調査報告書記載:グリッド出土、径(64.0㎜)、内径(41.0㎜)、幅20.0㎜、厚さ12.0㎜、質量25.44g、胎土:良。焼成:良。上辺は入り組み沈線文。ミガキは入念。(外面と上面)下端は摩滅のため残っている所が少ない。

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.007 processing 39 images


展示の様子


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

・土製耳飾に表現されている文様や断面形状などは血族などの集落構成要素としての小集団毎に特定のものが使われていたのではないかと想像しています。家紋に近いものだと考えます。

・この土製耳飾の文様は次のように理解しました。


後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)20の文様理解

画像は3Dモデル正面オルソグラフィック投影

一筆書きの渦巻模様ではなく、2つの渦が絡み合っている模様のようです。

2020年9月21日月曜日

縄文後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)72 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 470

君津市三直貝塚出土土製耳飾の観察をしています。

1 縄文後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)72 観察記録3Dモデル

縄文後晩期土製耳飾(君津市三直貝塚)72 観察記録3Dモデル

発掘調査報告書記載:グリッド出土、径81.0㎜、内径41.0㎜、幅21.0㎜、厚さ18.0㎜、質量52.40g、胎土:長石、砂を多量に混入。焼成、やや不良。風化。砂粒の多い胎土。放射状に4ヶ所3条の沈線が引かれる。3つの破片が接合する。

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.007 processing 51 images


展示の様子


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

・直径8.1㎝で重さは一部欠けて52.4gですから土製耳飾では最大級です。これだけの大きさをはめ込む耳たぶ輪は長さが25㎝以上になります。ひも状になった耳たぶが実はいかに強靭であるかを物語っていると捉えられます。(そんな大きく重いものを耳たぶにはめたら耳たぶが切れてしまうと心配するのは現代人だからのようです。)身体の可塑性と強靭性は想像以上のようです。

・耳たぶに開けた穴が直径1.5㎝以下の場合、その穴は身体の自動修復機構で穴が埋まる方向で推移するそうです。しかし、直径が1.5㎝以上になると穴の自動修復機構は働かなくなるそうです。


マサイ族の耳飾り

https://www.pinterest.jp/pin/675821487826264685/

大きいですが軽そうです。

3 夢

縄文人の顔(首上の頭部)を3Dモデルでリアルに作成し、それに出土耳飾3Dモデルを埋め込んで、着装姿を3Dモデルで観察できるようになりたいと思います。2年後にはそれが見様見真似でできる程度の3Dモデル技術獲得を夢みながら学習を続けることにします。


安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 469

土製耳飾が単純な装飾品ではなく、土偶とともに後晩期縄文社会の呪術的本質に迫るようなアイテムであるとの確信を持ちました。そこで手持ち撮影写真でまだ3Dモデル化していないものを全部モデル化して、土製耳飾観察に関する場数を踏んで、その呪術的意味に少しでも近づくことにします。

1 安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデル

安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデル

発掘調査報告書記載:遺構SI-011B、径60.0㎜、内径52.0㎜、幅18.0㎜、厚さ6.5㎜、質量11.19g、薄手、沈線による変形I字文。上端に貼付文が施される。

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.007 processing 38 images


展示の様子


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

・直径6㎝の薄手土製耳飾で、内面に沈線で文様が描かれています。2種類の貼付文も付けられています。

・薄手にすることと、内面にさりげなく文様を描くことなどが縄文装飾(おしゃれ)の一端を示していると考えます。

・外面に内面の文様が浮かび上がってくるほどの薄さですから当然壊れやすく、日常で使用していたことは100%考えられません。重要な祭祀でのみ着装したものだと考えます。

・千葉市内野第1遺跡での検討(想像)結果を援用すれば、この土製耳飾は壮年熟年用、装飾性中(一般住民用…非シャーマン用、非下層民用)という性格のものだと捉えることができます。

・この土製耳飾(126番)と一緒に類似土製耳飾2点もSB-011住居址の同じポイントからに出土していて、何らかの祭祀で複数人が同時に片方の土製耳飾を廃棄したことが想定できます。千葉市内野第1遺跡での検討(想像)では、このような状況は一般住民がシャーマンと離反(シャーマン殺害、追放)する時の祭祀を意味するものだと空想しました。

3 3Dモデル作成技術メモ

安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデルはいわば失敗作です。臥薪嘗胆の意味で敢えて記事にして掲載しました。

ガラス面越しに望遠撮影する際のピントを対象物の手前に合わせたため、写真のほとんどが奥にある内面がぼやけてしまいました。したがって3Dモデルもピンボケとなり、その動画もひどいものです。

望遠撮影してもピントが合う範囲を広げる技術を習得(あるいはその機能があるカメラ購入使用)することが大切です。

それが出来なければ、手前にピントを合わせた写真と奥にピントを合わせた写真を2枚づつ撮影して3Dモデル処理して、その出来ばえを確かめる必要があります。

4 展示物観察力の虚弱性

加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編は開催期間中に3回ほど出向き、安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126も毎回観察し撮影しています。しかし、発掘調査報告書の実測図を見るまで内面に沈線文様が存在していることに気が付きませんでした。(その理由もあって、写真ピントを合わせなかったのです。)

自分の展示物観察力の現状を認識させられました。この体験は次からの展示物観察力向上の糧になると思います。

2020年7月28日火曜日

君津市三直貝塚出土の異形台付土器等5点の3Dモデル作成

縄文土器学習 439

加曽利貝塚博物館のミニ企画展示「県内縄文遺跡展」(-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編)で展示されている異形台付土器等5点の3Dモデルを作成して楽しみました。

1 異形台付土器2と3(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

異形台付土器2と3(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文時代後晩期(安行2式~安行3a式)
右2、左3
2と3はともにSI-004Bから出土しました。
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.002 processing 46 images

展示の様子

特殊モード写真

ペアで出土している様子は異形台付土器によくある現象です。

2 安行3a式異形台付土器4(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

安行3a式異形台付土器4(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.002 processing 61 images

展示の様子

特殊モード写真

3 縄文時代晩期異形台付土器5(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文時代晩期異形台付土器5(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
台部欠損
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.002 processing 53 images

展示の様子

特殊モード写真

4 人面付器状土製品6(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

人面付器状土製品6(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文時代後~晩期
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.002 processing 67 images

展示の様子

特殊モード写真

目より鼻の方が上になる様子などミミズク土偶によく似た顔つきです。

2020年7月27日月曜日

交易用特産品麻ロープについて

縄文社会消長分析学習 42

2020.07.24記事「有孔円板形土製品の感想」等で、君津市三直貝塚出土有孔円板形土製品(加曽利貝塚博物館展示では「土版」表示)が麻ロープ製品をつくる装置の一部であることを学習しました。そして、2020.07.27記事「異形台付土器の展開写真作成と考察・学習仮説」で同じく君津市三直貝塚出土異形台付土器が大麻吸引装置のフィギュアであることを学習仮説しました。

この二つの思考が大麻栽培という活動で結び付いていることに遅ればせながら気が付きました。

大麻栽培で関係する?

三直貝塚で大麻が栽培され、葉は乾燥の後に祭祀で吸引される。残った茎は麻ロープ製品作成の素材として活用する活動が遺物出土から推測されます。

有孔円板形土製品は漁網や釣り用の高品質麻ロープ生産と関係あると学習しましたが、その根拠はあくまでも民俗資料からの推測です。漁網や釣り糸用という用途にあまりこだわらない方が良い思います。高品質麻ロープは祭具としての製品になって交易に使われたと考えることも必要であると考えます。

縄文後晩期の人々は、高品質麻ロープで漁網や釣り糸をつくりそれで漁業生産性を向上させたという現代社会風の解釈が必ずしも正しいとは思えません。むしろ、高品質麻ロープをしめ縄、幣束、イナウ飾り結び用ロープなどに使った可能性が高いように感じます。現代社会に伝わる神事用品に麻を使うものが数多くあります。現代日本庭園の竹柵などの飾り結びも黒色の麻縄です。
日常生活に使う品よりはるかに高品質の品を用意して、それを祭祀に使う。それが縄文社会であったような気がします。同じ石斧でもすべてが実用品ではなく、特別優良品は祭祀用にのみ使い、普段は普及品を使っていたといわれています。

さらに余分な思考をつけ加えるとすると、交易用特産品とはそれが食料品であっても日常用品であっても、煎じ詰めると祭祀に必要な品に深く関連するものだったに違いないと考えます。
例えば、海岸で作られた干し貝や石焼鯨(イルカ干し肉)は内陸でのお供えものとして必須であり、最後は珍味として食されるのですが、その意義は神様への「お供え物」だったと想像します。

交易用特産品とはつまり祭祀に必要な品々であり、一言でいうと贅沢品・奢侈品であり、人々の食糧事情や生活環境を順次改善する現代貿易のような意義は弱かったのではないかと想像します。

縄文後晩期社会の特性イメージが自分なりに少しずつ浮かび上がってきました。

異形台付土器(君津市三直貝塚)の観察

縄文土器学習 437

加曽利貝塚博物館で開催中の「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されている加曽利B1式異形台付土器1を3Dモデルを作成して観察しました。

1 加曽利B式異形台付土器1(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

加曽利B式異形台付土器1(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.002 processing 62 images

展示の様子
赤彩の跡が明瞭に観察できます。

特殊モード写真

動画

2 メモ
ア 復元方法について
復元部分に赤い色を混ぜているのは好ましい復元方法ではないと思います。復元していない部分のかすかな残存赤彩の観察が困難になります。

イ 加曽利貝塚出土異形台付土器との比較

加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館
撮影月日:2019.12.27
許可:加曽利貝塚博物館の許可による全周多視点撮影及び3Dモデル公表
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 81 images
2020.05.27記事「加曽利貝塚出土異形台付土器の観察と検討」

三直貝塚出土の異形台付土器1は加曽利貝塚出土のものと比べると、全体の器形、模様はかなり似ています。細部では次の2点が異なります。
・土器口唇部に小突起装飾が4単位ある。(加曽利貝塚分にはない。)
・中段ふくらみ部の丸孔と丸孔の間に小さな装飾突起がある。(加曽利貝塚分にはない。)

今後加曽利貝塚出土分と三直貝塚出土分を同じ3D空間で縮尺を正確に合わせて並べた3Dモデル資料を作成してみることにします。異なる遺跡の遺物を並べることにより、より直観的観察が、かつより正確な対比・測定観察ができるようになることを期待します。その3Dモデルには3次元スケールも添えたいと思います。(Blenderで作成可能であると直感します。)

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この遺物に関する発掘調査報告書記述に関する考察、及びGigaMesh Software Frameworkによる展開写真とその分析は別記事で行います。