2020年10月11日日曜日

皿形ミニチュア土器の観察

 縄文土器学習 482

2020年8月末まで加曽利貝塚博物館で開催されていた「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されていた皿形ミニチュア土器を3Dモデルで観察します。

1 縄文後~晩期皿形ミニチュア土器(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文後~晩期皿形ミニチュア土器(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

発掘調査報告書記載:口径(8.2)×7.1㎝、器高2.1㎝、皿形、2個の穿孔(焼成前)

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編 

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影 

ハイパス調整画像

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.008 processing 47 images


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

ア モデルとした実用物原品の想定

このミニチュア土器がモデルとした実用物原品を次のように想定しました。


皿形ミニチュア土器がモデルとした実用物原品の想定

木製あるいは瓢箪底を使ったお玉杓子の玉部分が出土物に該当するのではないかと想定しました。

2穴は玉と木製柄を固定するヒモの通し穴として利用されたと考えます。

柄だけを持って液体をすくうことは力学的に無理なので、柄の役割はお玉を持つときの添えであると考えます。卓球のラケットを握るようにこのお玉杓子を持ち、中指、薬指、小指でお玉の底を支えたと考えます。

イ ミニチュア土器の意義

この皿形ミニチュア土器は竪穴住居跡SI-004から出土し、同じ場所から異形台付土器、石棒、土製耳飾など多量の祭祀系遺物が出土しています。このような状況から皿形ミニチュア土器も祭祀道具として使われたと考えます。

祭祀のなかで液体を汲み取り別の容器に入れる所作が求められたとき、この皿形ミニチュア土器(お玉杓子)を手に取って、その所作の真似をして儀式を進行したのではないだろうかと想像します。

ミニチュアを使って祭祀環境をつくることは現代でも継続しています。


現代の神棚

https://kamidananosato.jp/?mode=f2から引用

現代の家庭内神棚は神殿、灯篭、神鏡、酒・水・塩・米等の容器もすべてミニチュアです。

ミニチュアを使って祭祀環境をつくる点では縄文人も現代人も同じ心性を有していて、それは縄文人の心性が連綿と現代人にまで伝承してきているからだと考えます。


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