2020年9月21日月曜日

安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 469

土製耳飾が単純な装飾品ではなく、土偶とともに後晩期縄文社会の呪術的本質に迫るようなアイテムであるとの確信を持ちました。そこで手持ち撮影写真でまだ3Dモデル化していないものを全部モデル化して、土製耳飾観察に関する場数を踏んで、その呪術的意味に少しでも近づくことにします。

1 安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデル

安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデル

発掘調査報告書記載:遺構SI-011B、径60.0㎜、内径52.0㎜、幅18.0㎜、厚さ6.5㎜、質量11.19g、薄手、沈線による変形I字文。上端に貼付文が施される。

撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編

撮影月日:2020.08.28 

ガラス面越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.007 processing 38 images


展示の様子


展示の様子


実測図

君津市三直貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 メモ

・直径6㎝の薄手土製耳飾で、内面に沈線で文様が描かれています。2種類の貼付文も付けられています。

・薄手にすることと、内面にさりげなく文様を描くことなどが縄文装飾(おしゃれ)の一端を示していると考えます。

・外面に内面の文様が浮かび上がってくるほどの薄さですから当然壊れやすく、日常で使用していたことは100%考えられません。重要な祭祀でのみ着装したものだと考えます。

・千葉市内野第1遺跡での検討(想像)結果を援用すれば、この土製耳飾は壮年熟年用、装飾性中(一般住民用…非シャーマン用、非下層民用)という性格のものだと捉えることができます。

・この土製耳飾(126番)と一緒に類似土製耳飾2点もSB-011住居址の同じポイントからに出土していて、何らかの祭祀で複数人が同時に片方の土製耳飾を廃棄したことが想定できます。千葉市内野第1遺跡での検討(想像)では、このような状況は一般住民がシャーマンと離反(シャーマン殺害、追放)する時の祭祀を意味するものだと空想しました。

3 3Dモデル作成技術メモ

安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126 観察記録3Dモデルはいわば失敗作です。臥薪嘗胆の意味で敢えて記事にして掲載しました。

ガラス面越しに望遠撮影する際のピントを対象物の手前に合わせたため、写真のほとんどが奥にある内面がぼやけてしまいました。したがって3Dモデルもピンボケとなり、その動画もひどいものです。

望遠撮影してもピントが合う範囲を広げる技術を習得(あるいはその機能があるカメラ購入使用)することが大切です。

それが出来なければ、手前にピントを合わせた写真と奥にピントを合わせた写真を2枚づつ撮影して3Dモデル処理して、その出来ばえを確かめる必要があります。

4 展示物観察力の虚弱性

加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編は開催期間中に3回ほど出向き、安行3a式土製耳飾(君津市三直貝塚)126も毎回観察し撮影しています。しかし、発掘調査報告書の実測図を見るまで内面に沈線文様が存在していることに気が付きませんでした。(その理由もあって、写真ピントを合わせなかったのです。)

自分の展示物観察力の現状を認識させられました。この体験は次からの展示物観察力向上の糧になると思います。

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