2014年4月25日金曜日

花見川河川争奪(河道逆行争奪)発生の成因

シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討-
第2部 花見川河川争奪に遡る その10

花見川河川争奪に関して、このシリーズではここまでで、東京湾水系と印旛沼水系の分水界の位置、河川争奪存在の証拠提示、河川争奪の原理とタイプについて検討してきました。
花見川河川争奪は動的河川争奪という原理に因るもので、河道逆行争奪と呼ぶことにした特異なタイプの地学現象であることを明らかにしました。

この記事からはなぜ河道逆行争奪という現象が発生したのか、その成因を検討します。

この検討は複数の記事になると思いますので、検討の状況をわかりやすくするために、まず、結論を先に記述します。

現在、河道逆行争奪の主成因は次の2つに求めることができると考えています。

1 地殻変動による印旛沼水系谷津の変位
花見川河川争奪の最初の河川争奪ポイントである天戸・犢橋付近では、地殻変動により印旛沼水系谷津の勾配が逆転して東京湾側に傾くように変位しています。
印旛沼水系谷津が地殻変動により東京湾側流域に入ってしまっているのです。
そのためにこの付近一帯では、東京湾水系の頭方侵蝕が印旛沼水系谷津を対象に選択的に進んでいます。
地形をよく観察するとミニ河川争奪(河川争奪の胚)ともいえるような地形が近隣に複数箇所存在しています。
花見川河川争奪だけではなくこの付近一帯にはミニ河川争奪が多数あるのです。
この事実から地殻変動による印旛沼水系谷津の変位が河道逆行争奪の成因の1つであることが判ります。

2 花島-柏井ライン谷津の発達性と東京湾水系との地理的位置
印旛沼水系平戸川(新川)筋支川の中で花島-柏井ラインの谷津(現在の花見川筋)が周辺谷津と比べると発達がよい(谷津の規模[谷底の深さ]が大きかった)ことが判っています。そして、このこのラインと活発な頭方侵蝕をしている東京湾水系谷津との地理的位置が合った(オーバーラップした)ため、その場(オーバーラップした場所)で河道逆行争奪が生じたものと考えます。
他の発達のよい印旛沼水系ラインは、東京湾水系谷津と離れているため、結果として花島-柏井ラインの谷津でのみ河道逆行争奪が発達したものと考えます。

花見川河川争奪(河道逆行争奪)の主成因イメージ

成因の詳細検討を始めます。

つづく

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