縄文土器学習 464
千葉市埋蔵文化財調査センターに展示されている4点の土製耳飾について3Dモデルをつくり観察しました。マジマジと縄文耳飾を観察し、耳飾は何が問題なのか考えたのは極端に言えば生まれて初めてです。
2020.09.11記事「縄文後晩期土製耳飾2点の3Dモデル」
2020.09.02記事「縄文後期終末土製耳飾2点の3Dモデル」
この4点の展示耳飾の実測図を発掘調査報告書で探してブログ記事に引用する作業をする中で、千葉市内野第1遺跡の耳飾実測図掲載5ページと一覧表4ページを何回も見て、スキャンなどもしました。
内野第1遺跡出土の土製耳飾は全部で119点あります。
ふと気が付くと、次のような問題意識が自分の思考に生まれましたのでメモします。
1 土製耳飾は大中小が存在する。
土製耳飾は直径1.5㎝程度の小さいもの、直径5㎝程度の中程度のもの、直径7㎝程度の大きなものまで大中小の大きさの異なるものが出土します。
おそらく小さなものは少年少女が初めて耳たぶに穴を開けてその穴にはめ込んだ最初の土製耳飾であると考えられます。
その後人々は耳たぶの穴を広げる努力をして青年期頃(結婚適齢期頃?)には中程度の土製耳飾を耳に装着していたと考えます。
そして壮年期・熟年期になると最大の大きさの土製耳飾を耳に装着していたと考えます。
つまり土製耳飾の直径の大きさはそれを装着する人の年齢に対応すると考えられます。
2 土製耳飾大中小ともに装飾性が高いものから低いものまで存在する
土製耳飾大中小ともに装飾性が高いもの、中程度のもの、低いものが存在します。
大きな耳飾(壮年・熟年用?)の装飾性
中程度(青年用?)と小さな(少年少女用?)耳飾の装飾性
3 家柄(世襲的血統)による階層の存在か
大中小の各大きさともに装飾性の差別化があるという事実から否が応でも土製耳飾に対する強い興味が生まれます。
少年少女、青年、壮年・熟年ともに3段階の装飾性差別化があるということは、家柄(世襲的血統)による明確な階層が内野第1遺跡に存在していたことを物語っているのではないかという問題意識が生まれます。
「耳飾とは家柄(世襲的血統)を示すサインであり、内野第1遺跡社会は明瞭な階層社会であった」という学習上の作業仮設を設定し、その検証を学習プロセスの中に組み込みたいと思います。
4 内野第1遺跡出土土製耳飾119点の分類
内野第1遺跡出土土製耳飾119点の分類を統計的手法を使って行い、大きさと装飾性の関係を定量的に把握してみることを当座、臨時的に寄道学習することにします。
0 件のコメント:
コメントを投稿