2020年9月7日月曜日

アリソガイの3Dモデル作成と観察

 縄文貝製品学習 12

千葉市埋蔵文化財調査センター所長西野雅人先生から借用したアリソガイの3Dモデルを作成し、観察しました。

1 現棲アリソガイ(右殻表面) 3Dモデル

現棲アリソガイ(右殻表面) 3Dモデル


撮影の様子


3Dモデルの動画

2 観察

ア 微細で凹凸のある成長線

密集する成長線によって微細な凹凸が出来ています。これはハマグリなどの平滑ですべすべした表面状況と異なります。成長線と成長線の間の微細な溝は柔らかい炭酸カルシウムになっているような印象を受けます。したがって成長線に平行に貝を皮に擦ると、皮に炭酸カルシウムが付着するのではないかと想像します。

イ 貝殻が薄く透明性が高い

貝殻が薄く、薄いだけでなく透明性が高くなっています。

貝内面の3Dモデル用撮影を何回も行い、全て満足のいかない結果となりました。そこで内面をよく観察すると内面の透明性がかなり高いことがわかりました。ちょっと見の肉眼では気が付きませんでしたが、思った以上に透明です。したがって撮影写真はガラス面を撮影したような状況になり、3Dモデルを作成することができません。思わぬ伏兵に遭遇したような印象を受けます。

貝殻の透明性が高いということはおそらく分子レベルでの特定の物質的構造に対応していて、その特性がアリソガイの有用性に深くかかわっているのではないかと想像します。


アリソガイの透明性


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