縄文土器学習 476
1 サンダル状土製品について
2020.09.26記事「サンダル状土製品を容器として見立てる」でサンダル状土製品(ミニチュア土製品)の原品が皮革製サンダルではなく、注口付き片口土器であると見立て変更しました。アリソガイ製ヘラ状貝製品の学習でそれが皮なめし道具との作業仮説を立てていますが、頭脳細胞が皮なめしに満たされてしまったため、サンダル状土製品がより皮革製サンダルに見えてしまったようです。
(小学生の頃、切手収集に熱中していて、街を歩いていると、路上の紙屑の多くが切手かもしれないと見えてしまい、ゴミをことごとく確認していた記憶があります。現在の縄文皮なめし興味はそれに類似した心理現象を惹起しているようです。)
千葉市埋蔵文化財調査センターの許可を得てサンダル状土製品の閲覧撮影により詳細観察ができたおかげで、それが皮革製品のミニチュアでないことが確認できてよかったです。ガラス面越し観察撮影では対象物が小さいため、この確認はいつまでたってもできなかったと思います。千葉市埋蔵文化財調査センターに感謝です。
また、この遺物の原品が特殊な用途で使われる注口付き片口土器と想定でき、それ自体に新たに大いなる興味が深まります。単なる酒器とは到底考えられない特殊性に興味が深まります。縄文後晩期呪術社会を知る上での格好の思考材料になりそうです。
2 サンダル状土製品(千葉市内野第1遺跡)容器掌握の倒位置 観察記録3Dモデル
サンダル状土製品(千葉市内野第1遺跡)容器掌握の倒位置 観察記録3Dモデル縄文時代後期~晩期前半、長口径5.8㎝、短口径3.8㎝、端部に円孔1ヶ所
撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター
撮影月日:2020.09.11
許可:千葉市教育委員会の許可による撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.007 processing 79 images
撮影の様子
撮影の様子
3Dモデルの動画
3 メモ
・上記3Dモデルはサンダル状土製品を容器として見立てた時、それが容器として掌握されるときの位置の倒位置をイメージして背面を示したものです。遺物が平面の上に漫然と置かれた状況ではこの土製品の意味があいまいになりますから、意識して掌握倒位置の3Dモデルにしました。
・背面を示す遺物を平面においた通常どおりの3DモデルのURLは次の通りです。
・3Dモデル(オルソ投影)の「上から」画像と「左から」画像を示します。
3Dモデル(オルソ投影)上から画像
3Dモデル(オルソ投影)左から画像
土製品先端部の背面の様子がよくわかります。二つの穴が見え、上の穴は内面に貫通しています。下の穴はくぼみであり、同時に先端部の欠けにつながっています。
4 技術課題
サンダル状土製品を置いて3Dモデルにし、また裏返して3Dモデルにするということは見様見真似のフォトグラメトリー技術でできます。しかしその二つを統合して完全なる3Dモデル(遺物の完全な姿が空中に浮いているような3Dモデル)をつくる方法は自分にとって未知であり、その道具もありません。今後早急にその技術を入手したいと思います。
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