2020年10月12日月曜日

称名寺式土器透視で観察できる円弧状模様の意味

 縄文土器学習 483

2020.10.09記事「称名寺式土器(千葉市餅ヶ崎遺跡)透視観察 その2」で称名寺式土器(千葉市餅ヶ崎遺跡)高密度点群3Dモデルを掲載しました。土器を透視できるとうたったのですが、肉眼では観察できない模様の透視が出来ていて、われながら驚きましたので、メモします。

1 円弧状模様


高密度点群画像とテクスチャ画像

高密度点群画像では明瞭な円弧状模様が観察できます。円弧の上は点が粗、下の点は密です。

一方テクスチャ画像をみると円弧模様はほとんどわかりません。(高密度点群画像を見ない人で円弧模様を見つけることができる人はいないのではないかと確信します。)

2 円弧状模様の意味

最初は、この円弧状模様が幾何学的であるので、土器復元調整のために現代技術に関わってつけられたものではないかと考えました。

しかし、画像を分析すると、次のような解釈に至りました。縄文人が土器製作途中につけた模様です。


円弧線(赤線)による高密度点群の密度変化の解釈

・土器概成後口縁部付近の内外面仕上げを丁寧に行うために、内面粘土を棒で上から円弧を描くように薄く削り取ったのだと思います。

・薄く削り取った部分の内外面調整を仕上げとして特に丁寧に行ったのだと思います。

・この土器は沈線がとても深く、それだけに仕上げが大切であったのだとおもいます。

Bは概成土器の内面であり、微細な起伏が密のため高密度点群が多くなっていると考えます。

Aは丁寧に仕上げた部分であり、一度棒で削っていますから、微細な起伏が粗のため高密度点群が少くなっています。

矢印はBが削り取られた跡を示しています。

3 感想

・3Dモデル分析で高密度点群データも有用であることがわかりました。比喩ではなく、真の透視ができます。

・おそらくAの部分とBの部分では手触り感覚が違うと想像します。Bの部分の方がよりザラザラすると思います。いつか触らせてもらうことをお願いすることにします。


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