2020年12月22日火曜日

縄文晩期土版(印西市馬場遺跡第5地点)入組文の解釈

縄文土器学習  514 

2020.12.21記事「縄文晩期土版(印西市馬場遺跡第5地点) 観察記録3Dモデル」で印西市馬場遺跡第5地点出土土版を観察しました。土版中央にとても印象的な入組文が描かれていて、特段に考えることも無かったのですが、気が付くと次のような印象(空想)が生まれていて、自分にはもっともらしく直観できるのでメモしておきます。

1 土版の3Dモデルオルソ画像


縄文晩期土版(印西市馬場遺跡第5地点)3Dモデルオルソ画像


縄文晩期土版(印西市馬場遺跡第5地点)3Dモデルオルソ画像(加工)

2 入組文の解釈 その1

入組文はもともと2本の糸やヒモを撚る状況をデザインした象形であると直感しました。その直観の主な根拠は渦を巻く中心で2本の糸(ヒモ)が最後まで絡み合うのではなく、揃う形状になっているからです。この様子は2本の糸(ヒモ)を撚る状況そのものです。


入組文と2本糸を撚る状況

3 入組文の解釈 その2

2本の糸(ヒモ)を撚ると1本の強い糸(ヒモ)になります。その変化から入組文という象形は結合・結束・縛るなどの意味をそなえていたと想像します。

次の君津市三直貝塚出土耳飾りの入組文もよく観察すると渦の中心は最後まで絡み合いするのではなく、揃います。この文様は2つの結合を意味し、男女が出会い家族を構成する(=結婚)を意味するものかもしれません。


君津市三直貝塚出土耳飾

4 入組文の解釈 その3

土版入組文は殺された女神が木に縛り付けられた様子を表現しているものと空想します。木に縛ったヒモの結び目を入組文で暗喩しています。この女神は眼窩の上半分から上の頭蓋骨が切り落とされた恐ろしい状況に置かれていますが、その女神が木に縛り付けられ、衆人の眼に晒されて辱められている状況がこの土版のテーマです。

千葉市内野第1遺跡出土の晩期土版も愛くるしい顔をしていますが、テーマは同様で、背面に描かれた入組文が木に緊縛されている様子を表現していると空想します。


千葉市内野第1遺跡出土の晩期土版 実測図

内野第1遺跡発掘調査報告書から引用



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