2020年12月5日土曜日

縄文後期土偶(有髭土偶)(銚子市余山貝塚)の観察

 縄文土器学習 506

千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」で展示されている縄文後期土偶(有髭土偶)(銚子市余山貝塚)の3Dモデルを作成して観察しました。

1 縄文後期土偶(有髭土偶)(銚子市余山貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文後期土偶(有髭土偶)(銚子市余山貝塚) 観察記録3Dモデル

吉野長太郎旧蔵、東京国立博物館蔵

撮影場所:千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」 

撮影月日:2020.12.03 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.014 processing 61 images


展示の様子


展示の様子


展示説明パネル


3Dモデルの動画

2 観察メモ

・この土偶は女神ですから顎鬚はあり得ません。顎鬚ではないという問題意識をもって全体をよく観察すると次のような特徴があり、拷問具を被っていると仮説できました。

・頭に大瘤1つと小瘤多数あります。頭の模様は頭髪とは観察できません。何かを被っているようです。

・顎・頬の「髭」部分が実際の髭より広く、同時に鼻下の髭がありません。これから「髭」はマスクのようです。

・耳下の様子から頭部と顎・頬の部材が縫い合わされ、それがほどけつつあるような状況を看取できます。

・以上の観察から、この女神は内部に大石1つと小石多数を縫い込まれた革製頭巾を被り、頭が重く、各所が傷付き痛くなっているとともに、顎と頬に被る革製マスクの内側に多数の小突起があり、そこも痛く血だらけになっている様子が見て取れます。拷問頭巾・マスクを着装させられているのです。

・この土偶は、縄文後晩期の地母神殺害再生神話に基づいてつくら、むごたらしい方法で人々によって殺される(壊される)地母神土偶です。

・壊されて破片となった土偶が投げられた場所から幸福が芽生えていたと考えられます。


仮説 拷問具着装の女神

なお、このような拷問具はその当時の空想の産物ではなく、実在した拷問具であると考えることは当然です。

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