2020年12月8日火曜日

有吉北貝塚学習のための分析インフラ整備

 縄文社会消長分析学習 54

有吉北貝塚発掘調査報告書を対象にして、その内容を自分なりに深く分析して加曽利EⅡ式頃をピークとする中期縄文社会消長分析学習を行うこととします。折に触れて近隣遺跡との関係を対比することにしますが、まずは有吉北貝塚の情報を深く分析することに主眼を置くことにします。

1 有吉北貝塚遺構配置図


有吉北貝塚遺構配置全体図

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用、塗色。

有吉北貝塚は谷津に刻まれてできた細長い尾根にある狭い台地面に立地しています。台地斜面には貝層が発達しています。解析された狭小台地尾根の特性を巧みに活用して立地していると考えられます。したがって有吉北貝塚の分析学習では遺構と地形との関係が重要なポイントの一つになります。

例えば、斜面貝層の北貝層はガリーを埋めるような立体形状で発達していることから、人口急増期の裸地化に伴うガリー発達とその拡大防止工事としての不要物投棄が貝層発達の要因ではないだろうかと仮想しています。このような観点から分析学習を深めるためには遺跡周辺の地形情報が大切であり、それは単に等高線等の2次元情報ではなく、数値標高モデル5mメッシュ等を活用した地形3Dモデルを使って分析を深めることが重要であると考えます。

2 復元地形3Dモデルの構築

有吉北貝塚周辺は開発により地形が完全に改変されています。したがって国土地理院によって整備された数値標高モデル5mメッシュによる地形3Dモデルは考古事象分析には全く使えません。

そこで開発前の情報から有吉北貝塚周辺の数値標高5mメッシュを生成し、それにより復元地形3Dモデルを構築することにします。


有吉北貝塚分析用の復元地形3Dモデルを構築する必要性と実現性

復元地形3Dモデル構築は考古事象分析そのものではなく、いわば効果的分析を効率的に行うための分析インフラ整備に該当する活動です。急がば回れのたとえにより、まずはエネルギーを集中注入して有吉北貝塚付近の復元地形3Dモデルを作成し、それが成功すれば他の遺跡にもそのテクニックを適用して各遺跡の学習で復元地形3Dモデルを使えるようにしたいと思います。

縄文遺跡で有用な情報が得られた遺跡とは、つまり開発により地形が完全に失われた遺跡であるといっても過言ではありません。したがって、復元地形3Dモデル構築テクニックが完成すれば、それは学習効率化に大きく寄与します。


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