2014年2月24日月曜日

「角川日本地名大辞典 12 千葉県」 紹介

花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 14

花見川流域や千葉県北部の地名検討における基礎資料として「角川日本地名大辞典 12 千葉県」を紹介します。

1 「角川日本地名大辞典 12 千葉県」の諸元、目次
【諸元】
書名:角川日本地名大辞典 12 千葉県
編者:「角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三
執筆者・協力者:120
発行:角川書店
発行日:昭和5938
体裁:A5判、1558

【主要目次】
●総説
●地名編
●地誌編
●資料編
・小字一覧
・国郡沿革表
・藩県沿革表
・市町村沿革表
・参考地図
・千葉県参考図書目録

「角川日本地名大辞典 12 千葉県」と「8 茨城県」
印旛沼や香取の海に関わる地名を検討しようとすると、県境に囚われていては正常な思考が阻害されることに気がつきました。地名の検討では、千葉県のみならず茨城県の地名も一緒に検討するつもりです。

2 この図書の特徴
2-1 有力な参考情報源
地名について網羅的に記述している図書ですから、基礎資料として有力な参考情報源であることは間違いありません。

地名そのものの説明では、これだけ地名を網羅している類似書はないと思います。

この図書は、吉田東伍著「大日本地名辞書 坂東」以降初めて本格的に編まれた地名辞典です。

地名を冠した関連書として「郷土歴史大辞典 千葉県の地名」(平凡社)がありますが、こちらの方は地名そのものの説明や解説は無く、地名に関わる土地を対象にして、その歴史について関連資料を詳細に引用しながら記述しています。

2-2 地名説明の鵜呑みは危険
なお、この図書は吉田東伍一人で諸作された「大日本地名辞書 坂東」と異なり、120名の共同著作物です。

従って、個々の地名記述は、土地に対する問題意識を持って、その解明に向かうというような姿勢で書かれたものではありません。

この図書をつくった仕事のレベルは、割り当てられた地名について、自分が持っている知識でそれなりに解釈して、原稿用紙に空白だけはつくらないでその職責を果たそうというレベルのように感じます。

ですから、この図書の地名解釈情報は、それが無いことを想像すると、ありがたいと言えますが、だからといって特段に有用であり、価値が高いものであるとは限りません。

逆に、執筆者は意図していないとしても、その説明記述が偏見や誤った情報を世の中に垂れ流し、人々を惑わしてしまう場合もあります。

例 横戸について

例 柏井について

要は、この図書の地名解説は、そのまま鵜呑みにして利用するのは危険であり、絶えず疑いの眼で検証対象にしなければならないといういうことです。

2-3 資料編の小字一覧は貴重な情報
資料編の小字一覧はこの図書以外に掲載されている図書はなく、また千葉県等の自治体でも整備されていないため、唯一の情報源として大きな価値があります。

小字の読みも出ていて重宝です。

私はこの小字一覧をGISにプロットして地名検討を行う予定です。


なお、角川日本地名大辞典は全国DVD版が刊行されていますが、その中に小字一覧は含まれていないので、小字一覧は図書(紙)から自分で電子化して使うしかありません。



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