花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 13
1 「大日本地名辞書」そのものの基本情報
「大日本地名辞書」は吉田東伍が明治40年に完成させた日本で最初の地名辞書で、約41000項目に達します。その後北海道、樺太、琉球、台湾を追加して、約53600項目となり、現在に至るまで刊行されています。
WEB検索をしたところ、次のサイトに「大日本地名辞書」そのものの基本情報が詳しく掲載されていましたので、参考としてリンクします。
2 吉田東伍著「大日本地名辞書 坂東」の諸元
【諸元】
書名:大日本地名辞書 坂東
著者:吉田東伍
発行:冨山房
発行日:明治40年10月17日 第二版
縮刷影印本の体裁:A5判 2645頁~3748頁(正味1104頁)
【目次】
相模、武蔵、安房、上総、下総、上野、下野、常陸の地名について記述しています。
下総千葉郡三枝郷、同山家郷の項に花見川流域に直接係る地名が掲載されています。
吉田東伍著「大日本地名辞書 坂東」における下総千葉郡三枝郷、山家郷掲載地名
国
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郡
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郷
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地名
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関連地名
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下総
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千葉郡
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三枝郷
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三枝(サクサベ)郷
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作草部
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萩(ハギ)台
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六方(ロクハウ)野
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稲毛(イナゲ)
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黒砂(クロスナ)
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黒砂浜
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検見川(ケミカハ)
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気見川
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花見(ハナミ)川
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犢橋(コテハシ)
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柏井(カシハヰ)
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花島
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横戸(ヨコト)
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印旛沼古堀
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大和田(オホワダ)
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萱田
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高津(タカツ)
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習志野(ナラシノ)原
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三山(ミヤマ)
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寒川(サムカハ)神社
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二宮、薬園台、飯山満
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山家郷
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山家(ヤマベ)郷
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浮嶋(ウキシマ)
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馬加(マクハリ)
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幕張
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馬加城址
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武石(タケイシ)
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鷺沼(サギヌマ)
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谷津
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吉田東伍著「大日本地名辞書 坂東」
写真は縮刷影印本(昭和49年7月20日発行、発行所:関東史料研究会)
3 この図書の特徴
谷川健一はその著書「独学のすすめ」の中で、大日本地名辞書について次のように説明しています。
「よく地名辞書はたんに地名の辞書だといわれますが、吉田東伍は「大日本地名辞書」の序文で「本書は地誌にして」「其名辞の索引に便利なる体裁をとり」と書いています。体裁は地名辞書で、項目は地名であるけれども、しかし本当は地誌だ。だから本当は「大日本地誌辞典」でもいいのです。しかし、地名というものはその土地の歴史をもっとも鋭く端的にあらわす。そこで吉田東伍は「地名辞書」という名をとったと思います。本当は地誌なのです。地誌というのは風土が書いてある。」
単に入手できる資料情報の転写物という側面の強い現代地名辞典と異なり、「大日本地名辞書」は土地の歴史風土を解明して記述したいという一人の独創力の巨人の問題意識が貫かれている類書のない地名辞書です。
現代にあっても、土地の歴史風土を解明しようとする時、「大日本地名辞書」はその価値を失っていないと考えます。
このブログでは、次例など多数の記事で「大日本地名辞書」を参考として利用、引用させていただきました。
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