2014年2月26日水曜日

千葉県千葉郡誌 紹介

花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 16

1 千葉県千葉郡誌の諸元、内容、目次等
【諸元】
書名:千葉県千葉郡誌
編纂兼発行者:千葉県千葉郡教育会
発行日:大正15年(1926年)211
体裁:A5判、1077

【内容】
千葉県千葉郡教育会が御大典記念事業(大正天皇即位記念事業)として郡誌を企画編集発行したものです。

千葉郡を対象とした地誌であり、18章からなり、古代から大正10年(1921年)の千葉郡千葉市分離までを一段落として、別にその後の情報を補遺で収録しています。

序文(千葉県内務部長)には次のような記述があります。
「惟フニ自治ノ効果ヲ収メ教化ノ実績ヲ挙ケルニハ先ツ其ノ郷土ニ於ケル山川風土ノ状勢ヲ知リ民情風俗ノ推移ヲ察知シ之ニヨリテ愛郷心ヲ涵養スルコトカ根本ノ要諦デアル、本書ハ此ノ点に付キ絶好ノ資料ヲ提供スルモノテ為政者ハ之ヲ基礎トシテ地方ノ開発自治ノ振興ヲ図ルコトカ出来、教育者ハ之ニ依ツテ適当ナル施設ヲ講シ薫化ノ実ヲ挙ケルノ資料ヲ得、一般家庭亦又之ニ依リテ各種ノ方面ニ裨補スルトコロ多カルヘシト思フ。」

[ずいぶん上から目線の記述ではありますが、この図書の目的が端的に述べられていて、良いか悪いかは別に、当時の社会状況の中で、この図書の社会における位置づけは明確だったと思います。
それに引き替え、最近の大著の千葉県地誌の目的は明確とは言えないと考えています。
2013.06.12記事「花見川流域地誌のイメージ」参照]

【主要目次】
1章 土地
2章 沿革
3章 郡の行政及財政
4章 産業
5章 教育
6章 兵事
7章 衛生
8章 警察
9章 交通運輸
10章 官衛公署並特殊団体
11章 神社
12章 寺院
13章 人物
14章 風俗言語
15章 名勝旧跡及墓碑
16章 詩歌文章
17章 余録
18章 補遺

千葉県千葉郡誌
写真は影印本(昭和47年、崙書房発行)

【参考】
千葉郡の位置 大正10年(1920年)

千葉郡の位置
「角川日本地名大辞典12千葉県」掲載図による

2 この図書の特徴
90年程前に、人々が千葉郡に関して、どのような情報について興味を持っていたかということを知る上で興味が尽きない図書です。

情報が限られていた時代にあって、この図書は百科事典としての役割があったものと推察します。

この図書が対象とする千葉郡に現在の花見川流域がすっぽりと入るので、花見川流域の地物事象が過去において、人々にどのように認識されていたか知る上で参考となる資料です。

私はこの図書から、戦後埋め立てられ失われた長沼がどのように認識されいてたか知ることができました。
2012.03.22記事「長沼の既往記述」参照

この外、私は、花見川流域やその周辺の神社、地名、名勝旧跡などについて、現代の情報を補足するための調べ事に、この図書を利用しています。



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