2014年2月3日月曜日

高崎川・南部川流域の水系パターン分析

花見川流域の小崖地形 その113

1 分析用段彩図の作成
高崎川・南部川流域の水系パターンを分析するために、標高30mから標高48mまでを1mピッチで刻んだ段彩図を作成しました。この流域の下総上位面の標高域を最も精細に捉えることができるようにするためです。

高崎川・南部川流域の下総上位面分析用地形段彩図

2 谷津筋線の抽出
この地形段彩図を使って、谷津筋線を抽出しました。

谷津筋線抽出図

3 水系パターン分析
谷津筋線の方向の類似性に着目して、谷津筋線を5つのグループに区分し、それぞれの分布域を区分1域~区分5域としました。

そのように区分すると、区分1域→区分5域が最上流部→最下流部に対応することが判りました。つまり区分1域→区分5域は下総上位面の離水時期の早い時期→遅い時期に対応していると言えます

区分域毎の谷津筋線の方向は次の通りです。

区分1域の谷津筋線方向

区分2域の谷津筋線方向

区分3域の谷津筋線方向

区分4域の谷津筋線方向

区分5域の谷津筋線方向

区分1域(最上流部)の谷津筋線方向はSW-NEであり、千葉県北部の原始谷津の多くがこの方向となっていて、下総上位面が形成された原初の最大傾斜の方向と考えることができます。花見川流域の原始谷津の方向もこの方向です。

区分2域を除いて、区分3域、区分4域と反時計回りに最大傾斜の方向が変化し区分5域ではNNE-SSWとなり、沈降軸(向斜軸)にほぼ直角になります。

この事実は、エピソード(区分2域が示す最大傾斜の方向の大きな変化)を挟みますが、最大傾斜の方向が原始谷津の元来の方向から徐々に沈降軸に直角に交わるように離水の経過とともに変化しており、地殻変動(沈降軸の運動)が下総上位面離水途中に継続的に生起していたことを示しています。

高崎川・南部川の沈降軸(向斜軸)形成が下総上面形成中(離水中)に同時に進行したことがこれでわかりました。

-佐倉の向斜軸や勝田・高津の向斜軸の形成時期を考える上で、貴重な参考情報を得たことになります。

なお、谷津筋線の方向と地殻変動が対応していることを確認できましたので、他の流域で、谷津筋線の方向から地殻変動の様子を類推する思考をこれまでより、より本格的に行いたいと思います。


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