加曽利EⅠ式土器8点の観察の学習締めくくりとして2020.01.27記事「「加曽利EⅠ式土器らしさ」の評価」を書きました。
同様に加曽利EⅡ式土器23点観察の学習総括として「加曽利EⅡ式土器らしさ」を評価してみます。評価と称する知的遊戯をすることにより加曽利EⅡ式土器観察体験を少しでも頭に定着させることにします。
1 「加曽利EⅡ式土器らしさ」について
もっとも加曽利EⅡ式土器らしい土器、EⅡ式土器の理想形として「H30年度加曽利E式企画展(千葉市内編) No.9加曽利EⅡ式連結渦巻文対向土器(有吉北貝塚)」を設定することにします。
H30年度加曽利E式企画展(千葉市内編) No.9加曽利EⅡ式連結渦巻文対向土器(有吉北貝塚)
H30年度加曽利E式企画展(千葉市内編) No.9加曽利EⅡ式連結渦巻文対向土器(有吉北貝塚) 実測図
発掘調査報告書から引用
この土器の特徴は加曽利貝塚博物館の資料で説明される加曽利EⅡ式土器の特徴を備え、パンフレットに代表例として採用されています。
「加曽利EⅡ式土器らしさ」はこの土器の特徴に似ているか似ていないかという視点で評価することにします。
2 評価の指標と評点
評価は次の指標による評点の合計値で行うことにします。評点10点は最も「加曽利EⅡ式土器らしい」とし、評点が下がるにしたがって「加曽利EⅡ式土器らしい」程度が減じると考えます。
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●評価指標と評点
・器形
1 キャリパー形
ラッパ形 0点
キャリパー形 1点
2 胴部ふくらみ
胴部ふくらみ無 0点
胴部ふくらみ有 1点
3 口唇部の独立
口唇部が独立しないもの 0点
口唇部が独立しているもの 1点
4 口縁部の平坦性
口縁部が波状のもの、把手があるもの 0点
口縁部が平坦なもの 1点
・段構成
5 段構成
1段・3段構成、口縁部を欠いた2段構成 0点
口縁部と胴部の2段構成 1点
・文様
6 渦巻文
口縁部に渦巻文が無いもの 0点
口縁部に渦巻文があるもの 1点
7 区画文・円文
口縁部に区画文・円文が無いもの 0点
口縁部に区画文・円文があるもの 1点
8 磨消懸垂文
胴部に懸垂文、磨消懸垂文のないもの 0点
胴部に懸垂文(磨消無)があるもの 0.5点
胴部に磨消懸垂文があるもの 1点
9 口縁部の強調
縄文の方向が口縁部と胴部で同じもの 0点
縄文の方向が口縁部と胴部で異なるもの 1点
10 連弧文系要素
連弧文系の文様要素を持つもの 0点
連弧文系の文様要素を持たないもの 1点
※連弧文系文様要素…刺突文、波状周回沈線、胴部唐草文(渦巻・棘)
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3 評価の結果
23土器の評点-順位グラフを示すと次のようになります。
加曽利EⅡ式土器らしさ 評点-順位グラフ
10点のものから2点のものまで分布します。
評点の分布は10点~7.5点、6点~4点、3点~2点のものに群的に分布しています。そこでこの区切りで土器を分級し、それぞれA群、B群、C群とします。
この分級は土器の直観的評価分級とよく対応していますので、次のように表現することにします。
A群:加曽利EⅡ式土器本流
B群:連弧文系土器
C群:異系統土器
加曽利EⅡ式土器らしさ 評価分級
この結果を図示すると次のようになります。
加曽利EⅡ式土器らしさ 評価分級 図示
加曽利EⅡ式土器らしさ 評価分級 一覧表
加曽利EⅡ式土器23点を「加曽利EⅡ式土器らしさ」という観点から評価するという知的遊戯を楽しむことができました。
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参考 加曽利E式土器観察の視点
加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準
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