2020年2月3日月曜日

加曽利EⅡ式土器観察 企18 双環把手付深鉢

縄文土器学習 335

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18」について観察します。(注 「企18」はこのブログにおける整理番号です。)

27 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18
27-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18

27-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企18
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 83 images

27-3 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18 展開写真
3DモデルからGigaMeshで作成

27-4 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・双環把手が1つ残存、2つ欠落、1つ不明で合計4つが付いていたと考えられます。
・把手を除いてみると口唇部は平です。口唇部は口縁部から独立しています。
・土器下部欠落のため胴部ふくらみの状況はわかりません。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成です。
文様観察
口縁部は左から「楕円区画文-渦巻文-楕円区画文-双環把手」というパターンがみられ、そのパターンが4つ存在していたように観察できます。

口縁部文様のパターン
・渦巻文は左のパターンから続いてくる隆起線の最後になります。
・胴部には沈線2本の間が磨消になっている懸垂磨消帯が配置されています。口縁部の文様パターン1つに対して懸垂磨消帯3本が対応しているように見えますが詳細は確認できません。
・観察できる範囲では懸垂磨消帯の幅は上部下部でほとんど変わりません。
・口縁部縄文と胴部縄文の向きが異なります。

27-5 感想
・キャリパー形、口縁部渦巻文、懸垂磨消帯などから加曽利EⅡ式土器として判別されているものと考えます。
・双環把手が4つ付いた土器であり、実用上はそれがないものと比べると使いにくかったと思います。把手がないもの…実用重視・集団業務用、把手があるもの…家庭向け・祭祀関連のような使い分けがあったと思います。把手があり調理実務上は使いにくくても、把手があれば料理が美味しくなり、食事が楽しくなったのだと思います。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり

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