2020年2月1日土曜日

加曽利EⅡ式土器観察 企20 刺突文垂下土器

縄文土器学習 332

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20」について観察します。(注 「企20」はこのブログにおける整理番号です。)

25 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20
25-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20

25-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20 観察記録3Dモデル 
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」 
撮影月日:2019.11.19 
整理番号:企20 
ガラス面越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 56 images

25-3 参考 3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像

3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像
器形を確認するための3DF Zephyr Lite画像

25-4 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20 展開写真
3DモデルからGigaMeshで作成

25-5 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・欠落部分に胴部ふくらみがあるかどうか確認できません。
・口唇部は波状をしています。口縁部渦巻文のところが凸になっています。
・波状は4単位のようです。
・口唇部は口縁部との間の深い沈線で独立しています。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成のようです。(欠落部分は不明)
文様観察
・口縁部は渦巻文と楕円形区画文により構成されています。
・胴部は縄文を切って懸垂磨消帯と懸垂刺突文が配置されています。
・懸垂磨消帯と懸垂刺突文は交互配置の部分と2列毎配置の部分があります。たまたまそうなったとは思えませんから、なにかの意味が隠されていると推察できます。土器正面のサインかもしれません。
・口縁部と胴部の縄文向きが同じであり、口縁部文様の強調が見られません。

25-6 感想
・キャリパー形であること、口縁部に渦巻文・区画文があること、懸垂磨消帯があることから加曽利EⅡ式土器に判別されているものと考えます。
・口唇部が波状である点と懸垂刺突文があることは典型EⅡ式から外れた要素です。刺突文の存在は連弧文土器の影響を暗示しています。
・GigaMeshにより土器展開図が即座にできます。これにより土器観察が大変容易になりました。立体物を観察しその状況を言葉にするより、平面を観察して言葉にするほうがはるかに楽であることを発見しました。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり



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