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2025年8月17日日曜日

技術資料 勝坂式土器(柏市大松遺跡)(半裁)の渦巻文と三叉文の分布3Dモデル

 Technical Data: 3D Model of the Distribution of Spiral and Trident Patterns on Katsusaka-style Pottery (Omatsu Site, Kashiwa City) (Half-section)


I had fun creating a 3D model that simulates the distribution of spiral and trident patterns on Katsusaka-style pottery (Omatsu Site, Kashiwa City) (Half-section). I previously attempted the same thing with the wild boar line engraving on Kasori EIV-style pottery.


勝坂式土器(柏市大松遺跡)(半裁)の渦巻文と三叉文の分布だけを疑似的に抽出した3Dモデルを作成して楽しみました。以前同じ試みをイノシシ線刻画加曽利EⅣ式土器でしたことがあります。

1 勝坂式土器(柏市大松遺跡)(半裁)の渦巻文と三叉文の分布3Dモデル

勝坂式土器(柏市大松遺跡)(半裁)の渦巻文と三叉文の分布3Dモデル


3Dモデルのテクスチャ画像

3DF Zephyr v8.017でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

2 参考 イノシシ線刻画3Dモデル

イノシシ線刻画3Dモデル


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2023.02.11記事「イノシシ線刻画がある加曽利EⅣ式深鉢(市川市権現原貝塚) 観察記録3Dモデル v2」

3 感想

この記事は下記記事の続きです。

2025.08.16記事「技術資料 フォトグラメトリ生成3Dモデルのテクスチャを画像編集ソフトで直接編集可能にする方法」

フォトグラメトリ生成3Dモデルのテクスチャを画像編集ソフトで直接編集可能にすると、分析や表現の可能性が大きく広がる一端をこの記事で確認しました。


2025年8月11日月曜日

勝坂式土器(柏市大松遺跡)文様の観察

 Observing the Patterns of Katsusaka Pottery (Omatsu Site, Kashiwa City)


The Katsusaka pottery (Omatsu Site, Kashiwa City), on display at the special exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars" (Kashiwa City Local History Exhibition Room), features two distinct patterns. I observed the patterns on this pottery by comparing the GigaMesh Software Framework unfolded diagram with a 3D model.


企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)で展示されている勝坂式土器(柏市大松遺跡)は2つの趣の違う文様を共存させて所持しています。この土器の文様をGigaMesh Software Framework展開図と3Dモデルを照らし合わせて観察しました。

1 勝坂式土器(柏市大松遺跡)展示の様子


勝坂式土器(柏市大松遺跡)展示の様子

観察記録3Dモデルを作成してGigaMesh Software Framework展開図を作成しました。

2025.08.10記事「勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル」


GigaMesh Software Framework展開図

2 GigaMesh Software Framework展開図による観察


GigaMesh Software Framework展開図による観察

三角区画文優勢範囲と渦巻文優勢範囲を図示しました。それぞれの文様優勢範囲の特徴が際立っていると感じた部分の色を濃くしました。

三角区画文優勢範囲には粘土紐のジグザグ配置による文様がありますが、これは渦巻文優勢範囲にはありません。

渦巻文優勢範囲には粘土紐表面を細かく刻む装飾があります。この装飾は三角区画文優勢範囲にはありません。また土器文様最下段の区画文をみると、渦巻文優勢範囲の直下だけに刻みがみられます。


三角区画文優勢範囲の装飾


渦巻文優勢範囲の装飾

3 感想

・土器の2つの半面にそれぞれ異なる趣の文様を、意図して、造形していることを確認できます。

・しかし、三角区画文と渦巻文はそれぞれの半面で使われています。三角区画文優勢かそれとも渦巻文優勢かという違いは程度の違いであるように感じます。

・縄文人社会の何らかの2つの集団の共存関係を表現したものかもしれません。例えば三角区画文はA集団をイメージしていて、渦巻文はB集団をイメージしていて、A集団とB集団の共存共和の象徴としてこの土器を作成したのかもしれません。より具体的にはA家とB家の婚姻関係成立を寿ぐツールだったのかもしれません。

・土器製作縄文人の心境は、文様の新しい組み合わせと装飾に関する創作意欲、創造意欲にあふれていたと想像します。


2025年8月10日日曜日

勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Observation Record Model of Katsusaka Pottery (Omatsu Site, Kashiwa City)


I created a 3D model of the observation record of Katsusaka pottery, which is currently on display at the historical exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars" (Kashiwa City Local History Exhibition Room). This is a rare piece of pottery, with spiral patterns and triangular compartment patterns covering half of each side. I was able to create a 3D model with minimal difficulty. I plan to analyze the GigaMesh Software Framework expansion diagram in the future.


開催中の歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)で展示されている勝坂式土器の観察記録3Dモデルを作成しました。渦巻文と三角区画文が半面ずつ占める珍しい土器です。難の少ない3Dモデルができました。GigaMesh Software Framework展開図を今後分析予定。

1 勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル

勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)

撮影月日:2025年7月29日


展示の様子

3DF Zephyr v8.011 で生成 processing 207 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの動画(カラー無効化バージョン)


3Dモデルの画像(渦巻文がメインの面)


3Dモデルの画像(渦巻文がメインの面、カラー無効化)


3Dモデルの画像(三角区画文がメインの面)


3Dモデルの画像(三角区画文がメインの面、カラー無効化)

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開1


GigaMesh Software Frameworkによる展開2


GigaMesh Software Frameworkによる展開(カラー無効化)

3 資料 西川博孝著「柏市小山田・大松遺跡の縄紋中期土器-多様で華麗な紋様を楽しもう-」(2023.02.19講演会資料)抜粋

「2番目に感動したのが今回展示している大松遺跡SK096から出土した土器です。高さは道訓前と同じ62㎝で、重くて一人で持てない重量があります。上記、縄紋土器の三つの特徴で見ると、

  ①口縁部、体部の2帯に分かれ、最下段にも狭い区画帯がある

  ② 見る位置でまったく紋様が異なる二面性を持つ。一面は多数の渦巻紋様が目立つ(13 ~15個)が、その裏面は三角形を基調とした区画紋様が際立つ。

  ③ 個々の紋様、三角形区画は勝坂式の特徴だが、口縁部・体部とも紋様区画は不統一で、そうした構成を持つ勝坂式は西関東にはない。だが、見ていて違和感はない。 

 ②のとおり、この土器は異なった角度から見るとまったく別の土器に見えるのです。しかし、ぐるりと回りながら見ると、渦巻が基調となる紋様から三角基調へと次第に移り変わっていることが理解できます。いわば、一つの土器で二度楽しめ、かつ二つの世界を回り灯篭のように見ることができるすぐれた作品と言えるでしょう。また、③の特徴によりこの土器を制作したのは大松遺跡の縄紋人と考えられます。袋状土坑内に完形品として立った状態で埋納されていたので、当時の縄紋人もこの土器を特別なものと見ていたに違いありません。」(webからダウンロード引用)

4 メモ

4周をガラスで覆うショーケースに展示されているので周回撮影が可能で、難の比較的少ない3Dモデルができました。


カメラ配置の様子

一部ガラス面反射がテクスチャに焼き付いてしまっています。

引用資料のとおり、この土器は1面は渦巻文がメインで、1面は三角区画文がメインという珍しい文様となっています。

別記事でGigaMesh Software Framework展開図に色をつけて塗り絵を楽しむことにします。さらに別記事で、3Dモデルそのものの色塗りにチャレンジして遊んでみることにします。

3Dモデル色塗り技術の記事 2023.01.25記事「縄文土器3Dモデルの色塗り遊び」など




2019年7月27日土曜日

勝坂式土器と中峠式土器の分布

縄文土器学習 215

縄文土器形式毎にその出土遺跡の千葉県分布図を作成しています。この記事では中期中葉の勝坂式土器と中峠式土器の分布を観察します。
この記事で2019.07.05記事「縄文土器形式別遺跡分布図作成」からはじめた縄文土器形式別千葉県遺跡分布図作成が完結です。

1 千葉県 勝坂式土器出土遺跡分布図

千葉県 勝坂式土器出土遺跡分布図
132遺跡がプロットされています。

千葉県 勝坂式土器出土遺跡分布ヒートマップ
遺跡密集域が松戸市川付近に存在します。


2 千葉県 中峠式土器出土遺跡分図

千葉県 中峠式土器出土遺跡分布図
19遺跡がプロットされています。

千葉県 中峠式土器出土遺跡分布ヒートマップ
遺跡密集域が松戸市川付近にあります。

3 参考 中期中葉の貝塚分布とその記述 「千葉県の歴史 資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」引用
次の図は「千葉県の歴史 資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」掲載図から中期中葉貝塚だけを抽出したものです。 

中期中葉貝塚分布
赤丸…貝塚を伴う集落
青丸…貝塚を伴わない主な集落
ピンク四角…低地貝塚

図書説明文
Ⅵ期とともに県内に大規模な集落・貝塚が最も多く形成された時期である。
分布図をみると、矢切低地から海老川低地付近と、都川低地・村田川低地付近の2つの極が存在し(図5)、奥東京湾沿岸や古鬼怒湾中央部から湾口部には、ややまばらだが一定の距離をおきながらまとまっている。
分布図には貝塚を伴わない大規模な広場集落、またはそれを含む遺跡群も示している。
この時期の遺跡群は、広場集落がひとつないし2つあって、その周辺にのみ小規模な集落が点在して遺跡群を形成するのが特徴である。
この状況は、これまで説明されてきた大規模な貝塚集落の周囲の広域に多数の小規模集落や包含層が分布するというものとはかなり違っている。
いわゆる「加曽利E式期」は,Ⅳ期とⅤ期というまったく居住様式の異なる時期にまたがっており、両者を一括した分布図や説明によって誤解を生んできたといえる。
広場集落の大半は貝層を形成しており、ほぼ阿玉台Ⅲ期ないし中峠期から加曽利EⅢ式土器の成立前後まで、という集落の継続期間や、広場と群集貯蔵穴をもつ集落形態、多数の遺構内貝層、イボキサゴや小型ハマグリ中心の貝層、多量の土器片錘、石器組成など共通点が多く、きわめて均一性が高い。
Ⅲ期の広場集落には定住的な特徴と、頻繁な移動を想定させる特徴を併せもっていたが、Ⅳ期の集落は長期にわたる通年定住型の集落とみてよいだろう。

東京湾沿岸の大型貝塚の意味については、これまでに幾つかの説明が与えられてきたが、現在に至るまで長い間中心的な理論となってきたのは、「大型貝塚=干貝加工場説」である。
要約すると、大規模な貝層は、春の大潮などに複数の集落が共同で干貝加工を行ったために形成されたものであり、計画的で恒常的な食料の確保が集落の定着・集中・大型化をもたらしたとするものである(文献2)。
しかし、ほぼ全体の様子が判明している千葉市緑区有吉北貝塚の分析結果から、別の意見も提示されている(文献13)。
さまざまな分析結果から、生業や食事のバランスは魚貝類に偏ってはおらず、堅果類・イモ類等の植物、陸獣などを含めた多種の食材を運び込む点に特徴があると考えられた。
また、貝類の採取は一年中、日常的に行われた可能性が高い。
これは、干貝加工場とみられる東京都北区中里貝塚とはまったく異なっている。
このような点から、大規模な貝層は長期間にわたる貝類の日常的な利用によるとする見解である。
イボキサゴや小型ハマグリは保存加工が容易であることも確かであるが、むしろ一年中毎日のように生の貝が入手できる点に価値があったと考える。
さらに、植物質食材を使った鍋料理が安定化・日常化したことに伴って、うまみや塩味が加えられる調味食材として貝の需要が高まったのではないか、というものである。
今後議論していく段階にあるので、2つの論を併記しておく。


参考 房総貝塚集落

4 メモ
・勝坂式土器、中峠式土器の時期が中期中葉貝塚盛期のはじまりにあたります。加曽利EⅠ式期、EⅡ式期に社会は発展します。
・加曽利EⅢ式期、EⅣ式期、称名寺式期の社会衰退期を経て堀之内式期の発展期を迎えます。
・中期中葉の貝塚盛期には加曽利E式土器の時代に入り、2つの土器形式の併立共存関係が解消します。諸磯式と浮島式に端を発する2文化共存関係がどのような契機で止揚して加曽利E式文化に統一されたのか、そのあたりの学習を今後深めたいと思います。

5 参考 千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

2019年5月14日火曜日

阿玉台式土器の千葉県域分布

縄文土器学習 122

阿玉台式土器の千葉県域分布を参考までに見てみました。

1 阿玉台式土器出土遺跡の分布

阿玉台式土器出土遺跡
私家版千葉県遺跡データベースで「阿玉台」は527レコード(遺跡)がヒットします。
この分布図から密度を見やすくするためにQGISの内挿機能(カーネル密度推定)を使ってヒートマップを作成しました。

阿玉台式土器出土遺跡ヒートマップ
色が濃いほど遺跡密度が高くなるように表現しています。
市川付近と千葉付近に高遺跡密度域が分布しますが、千葉付近の方がより遺跡密集程度が高く観察できます。

2 参考 勝坂式土器出土遺跡の分布
阿玉台式土器と勝坂式土器は共伴出土する場合が多いので、参考までに勝坂式土器出土遺跡の分布図を作成してみました。

勝坂式土器出土遺跡
私家版千葉県遺跡データベースでは「勝坂」は132レコード(遺跡)がヒットします。
ヒートマップは次のようになります。

勝坂式土器出土遺跡ヒートマップ
市川付近に色の濃い場所があります。分布は千葉県域全体に広がりますが、分布の中心はあくまでも奥東京湾岸沿いにあるといえます。
奥東京湾岸沿いでは阿玉台式土器圏内に勝坂式土器影響圏が重なりますが、千葉付近は阿玉台式土器圏主部であり、そこに影響する勝坂式土器の影響は微弱であると捉えることができます。