2019年7月5日金曜日

縄文土器形式別遺跡分布図作成

縄文土器学習 175

縄文土器学習1巡目の最後のプロジェクトとして、土器形式別遺跡分布図作成を行います。この記事では土器形式別遺跡分布図のこれまでの作成状況把握と分布図からどのように情報を汲みだすか、考えてみました。

1 土器形式別遺跡分布図の作成状況

土器形式別遺跡分布図の作成状況

土器形式別遺跡分布図の作成状況
データベースに記載がある土器形式名称は全部で43でありそのうち21の遺跡分布図をつくっていますから、約半分についてこれからの作業で作成します。
なお土器形式が1、2、3…等で細分されているもののデータベースでの記載は、そのように細分されているものが少ないので、今回の作業ではとりあえず細分を使わないで遺跡分布図を作成します。ただし、加曽利E式と加曽利B式などについては細分された情報が多ければ、細分に対応した遺跡分布図を作成することにします。

2 作成した遺跡分布図から情報を汲み取る方法
土器形式別遺跡分布図が並んでいる称名寺式→堀之内式→加曽利B式の千葉県分布図と遺跡数を並べてみました。

遺跡数と遺跡分布図(2019.07.08追記 錯誤がありこの図を正しいものと差し替えました。加曽利B式遺跡数グラフが間違っていました。分布図は正しいですがドットの大きさが図によって異なります。)
・遺跡数から堀之内式期をピークとする社会の消長(=集落数増減≒人口増減)をデータとして読み取ることができます。
・大局的にみて分布高密度域が称名寺式期は市川付近にあり、堀之内式期は市川付近と千葉付近に加曽利B式期は市川付近(副)と千葉付近(主)にあります。分布高密度域が市川付近から千葉付近に東京湾岸を東南方向に移動している様子を観察できます。
・以上の観察から遺跡分布図を土器形式時期別に並べると社会消長に関する貴重な空間情報を入手できることを確認できます。
・同時に千葉県全体の地図ではドットの大きさより遺跡間距離の方が短く、遺跡密集地の様子を正確に観察できないことが判ります。堀之内式遺跡の数は称名寺式の3倍ありますが、分布図ではそのような大きな数の違いを十分に観察できません。遺跡ドットが幾重にも重なってしまっているためです。
・千葉県全体図でその概要が判りますが、詳細情報は地図を拡大して観察することが必須であると考えます。
・地図を拡大して縄文遺跡を観察する場合には地域区分を新たに検討する必要があります。行政区域別検討は完全に無意味です。
・縄文時代の社会消長を詳しく検討するための(=地図を拡大して検討するための)合理的地域区分を最初に(仮説的にでも)獲得して、それに従って土器形式別遺跡分布図の比較を行うことが必要です。
・時期の異なる遺跡分布図の比較分析方法はヒートマップの重ね合わせなどの方法を適宜工夫する必要があります。

3 当面の活動
当面(直近に)千葉県全体の土器形式別遺跡分布図を43形式全部について作成し、遺跡数統計とともに時系列的にならべて観察し、大局的な考察を行います。
より詳細な(地図を拡大した)検討のための地域区分について予察的仮説的に検討します。

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参考 縄文草創期→早期→前期→中期→後期→晩期遺跡分布アニメ(2秒間隔無限ループ)


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