2020年2月7日金曜日

加曽利EⅡ式土器 企7 口縁部無紋土器

縄文土器学習 339

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企7」について観察します。(注 「企7」はこのブログにおける整理番号です。)

29 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企7
29-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企7

29-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企7 観察記録3Dモデル (改良) 
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」 
撮影月日:2019.11.19 
整理番号:企7 
ガラス面越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 46 images

29-3 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企7 展開写真
3DモデルからGigaMesh Software Frameworkで作成

29-4 観察
器形観察
・胴部と口縁部の間でくびれています。くびれ部には2本の深い沈線が周回します。
・口縁部はラッパ形でキャリパー形ではありません。
・口唇部は特別のしつらえはありません。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成になっています。
文様観察
・口縁部は無紋となっていて大変特徴的です。加曽利EⅡ式土器の最大の特徴である渦巻文や区画文がありません。縄文もありません。
・胴部は縄文を切って2本の沈線が大きく波状して周回しています。

胴部に沈線が波状して周回する様子

29-5 感想
・胴部周回波状沈線の様子から連弧文系の土器であると考えます。
・加曽利EⅡ式土器と随伴して出土することから、その時期が加曽利EⅡ式期であるという意味で加曽利EⅡ式土器の仲間に入れられているものと考えます。
・3Dモデル及び写真で見る限り被熱による下部白色化部が見られません。また形状が全体にズングリムックリしています。水瓶として使われた他の土器例に形がにています。煮炊きにつかったのではなく水や食物の保存につかった土器かもしれません。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり

加曽利EⅡ式土器観察 企17 ラッパ形小型深鉢

縄文土器学習 338

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式小型深鉢(印西市松崎Ⅳ遺跡)企17」について観察します。(注 「企17」はこのブログにおける整理番号です。)

28 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式小型深鉢(印西市松崎Ⅳ遺跡)企17
28-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式小型深鉢(印西市松崎Ⅳ遺跡)企17

28-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式小型深鉢(印西市松崎Ⅵ遺跡)企17 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企17
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 83 images

28-3 展開写真

加曽利EⅡ式小型深鉢(印西市松崎Ⅳ遺跡)企17 展開写真
3DモデルからGigaMesh Software Frameworkで作成

28-4 観察
器形観察
・ラッパ形をしています。
・胴部に開口傾斜変換となるくびれがあります。
・口縁部(口唇部)は特段のしつらえがありません。
段構成観察
・胴部1段だけから構成されます。
文様観察
・縄文の地に粘土紐を蛇行垂下して貼り付けています。粘土紐は口唇部から胴部下部まで続きます。
・貼り付け垂下粘土紐は5本見ることができ、全部で6本あるようです。

28-5 感想
・これまで観察してきた加曽利EⅡ式土器らしさが全くない土器です。キャリパー形ではない、口縁部文様帯(渦巻文、区画文など)がない、懸垂磨消帯がない。
・加曽利EⅡ式土器と一緒にこのような非在地系土器も出土すると理解しておきます。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり






2020年2月6日木曜日

千葉市遺跡発表会(R2.2.29)と埋蔵文化財ロビー巡回展の情報

千葉市埋蔵文化財調査センターを訪れた際、千葉市遺跡発表会(R2.2.29)と埋蔵文化財ロビー巡回展の情報・パンフレットを得ました。

千葉市遺跡発表会(R2.2.29)はコロナウィルス対策のため中止となりました。


千葉市遺跡発表会は2020.02.29に千葉市生涯学習センターで午前午後にわたって開催されます。

千葉市遺跡発表会
私は講演「古代国家を支えた国境の開発-土気地区の奈良・平安時代- 千葉市埋蔵文化財調査センター所長 西野雅人」に最大関心を持って聴講したいと楽しみにしています。土気地区は旧石器時代、縄文時代、古代のいずれの時代でも、地勢上(地形上)房総の最重要地区です。いわば戦略的要衝の地です。

この発表会の2月29日は同じ会場の千葉市生涯学習センターで埋蔵文化財ロビー巡回展が開催されています。

埋蔵文化財ロビー巡回展 環状石器展
この巡回展もぜひ観覧したいと楽しみにしています。
パンフレットをみると次のような興味深いデータが掲載されています。

弥生時代の主な出来事と南関東で環状石器が出土した時期
パンフレット「令和元年度埋蔵文化財ロビー巡回展 環状石器展」から引用

2月29日に環状石器をじっくり観察することにします。(昨年の例から、おそらく人出が多く、人を押し分けて観察することになると思います。)

千葉市埋蔵文化財調査センターを訪れた際、次のしおり5種をいただくことができ、感じがとても良いので、愛用しだしました。

千葉市埋蔵文化財調査センターでいただいた特製しおり5種

千葉市埋蔵文化財調査センター展示室の観覧

縄文土器学習 337

千葉市埋蔵文化財調査センター展示室を2年か3年ぶりに訪問しました。主目的は「ちば市政だより」表紙に掲載された土版観察です。同時に、展示室が特段に充実したという情報を知っていましたので、展示室観覧も楽しみに出かけました。
以前の展示室の奥により広いメイン展示室ができ、以前とは比べ物にならない遺物展示数と内容充実が図られていて驚きました。

入り口に近い展示室には復元縄文竪穴住居、巨大な千葉市遺跡分布地形模型、実物貝層断面資料、人面付土版などが展示されています。

実物貝層断面資料

人面付土版

メイン展示室は旧石器時代から奈良平安時代までの出土遺物がわかりやすい説明資料とともに展示されていて、時間があれば一日中粘りたくなるような充実度です。

メイン展示室全景
全ての展示物を心ゆくまで観覧できる心理的・時間的余裕の持ち合わせがなかったので、縄文時代遺物のうち土器や土製品をメインに3Dモデル作成用撮影を優先しました。

縄文土器展示

縄文土器展示

部屋の中央には地割れ(断層?)によって切られた縄文土器囲炉遺構の実物資料や古代の石釧(いしくしろ)展示もあります。

地割れによって切られた土器囲炉遺構実物資料

石釧(いしくしろ)

このように展示が充実しているならばもっとはやく訪問しておけばよかったと少し後悔しました。今後千葉市埋蔵文化財調査センターに時々訪問することにして、繰り返し展示物を観察して自分の学習に役立てたいと思います。

2020年2月5日水曜日

GigaMesh Software Frameworkで紹介

FacebookのGigaMesh Software Frameworkページで当方のブログ記事を紹介していただきました。ヨーロッパからはるか離れた極東日本の考古趣味ブログ(日本語ブログ)をよく発見していただき、面白がっていただき、うれしくなります。
web時代ならではの出会いです。
当方の簡単なコメントはGoogle翻訳で英語にして発信…、chromeの翻訳機能により相手画面の理解もできます。外国語力ゼロでもコミュニケーションできる時代に…。

GigaMesh Software Frameworkページ画面

人面付土版 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 336

2020.01.28記事「ちば市政だより 2020 Chiba 2」で紹介した人面付土版を千葉市埋蔵文化財調査センターで観覧撮影し、3Dモデルを作成しました。

人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文時代晩期前葉(約3300年前)
撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター
撮影月日:2020.02.04
ガラス面越し撮影、ガラス面に撮影者がスケール添
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 63 images
※パソコンで見ていただいている方は3Dモデル画面でマウスホイールを押して移動するとモデルを移動させることができます。端の部分も拡大できます。

展示風景

展示風景

感想
ひょうきんな人面で口、耳、目がありますが最大の特徴は眉(毛)にあるように感じます。眉(毛)が特徴的な土器としてこれまでに次の観察をしています。
2019.12.27記事「縄文中期顔面付釣手土器(飯田市北田遺跡) 観察記録3Dモデル」
2019.12.18記事「縄文中期有孔鍔付土器(富士見町新道遺跡) 観察記録3Dモデル」
顔の輪郭下部が顎鬚を表現しているとすればこの人面は男性です。
展示説明ではミミズク土偶との関連に触れていますが、ミミズク土偶は女性です。土版と土偶の関連、男性女性の違いに興味が生まれます。
胴部の三角には特有の意味が込められているものと推察します。
胴部の地は縄文で図の三角は磨消で作られたようです。

撮影写真はほとんどがガラス面に邪魔な反射光が写っているのですが、3Dモデルにはそれがほとんど皆無なので不思議です。
スケールをガラス面に置いて撮影したので、3Dモデルソフトの中で精密な計測が可能です。

2020年2月3日月曜日

加曽利EⅡ式土器観察 企18 双環把手付深鉢

縄文土器学習 335

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18」について観察します。(注 「企18」はこのブログにおける整理番号です。)

27 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18
27-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18

27-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企18
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 83 images

27-3 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18 展開写真
3DモデルからGigaMeshで作成

27-4 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・双環把手が1つ残存、2つ欠落、1つ不明で合計4つが付いていたと考えられます。
・把手を除いてみると口唇部は平です。口唇部は口縁部から独立しています。
・土器下部欠落のため胴部ふくらみの状況はわかりません。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成です。
文様観察
口縁部は左から「楕円区画文-渦巻文-楕円区画文-双環把手」というパターンがみられ、そのパターンが4つ存在していたように観察できます。

口縁部文様のパターン
・渦巻文は左のパターンから続いてくる隆起線の最後になります。
・胴部には沈線2本の間が磨消になっている懸垂磨消帯が配置されています。口縁部の文様パターン1つに対して懸垂磨消帯3本が対応しているように見えますが詳細は確認できません。
・観察できる範囲では懸垂磨消帯の幅は上部下部でほとんど変わりません。
・口縁部縄文と胴部縄文の向きが異なります。

27-5 感想
・キャリパー形、口縁部渦巻文、懸垂磨消帯などから加曽利EⅡ式土器として判別されているものと考えます。
・双環把手が4つ付いた土器であり、実用上はそれがないものと比べると使いにくかったと思います。把手がないもの…実用重視・集団業務用、把手があるもの…家庭向け・祭祀関連のような使い分けがあったと思います。把手があり調理実務上は使いにくくても、把手があれば料理が美味しくなり、食事が楽しくなったのだと思います。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり

2020年2月2日日曜日

藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)の展開写真

縄文土器学習 334

2019.12.12記事「藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡) 観察記録3Dモデル」で伊那市創造館で観察した藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)の3Dモデルを掲載しました。

藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡) 観察記録3Dモデル

同時に興味深い土器4区画文様を詳しく観察するために4枚の写真を並べてみました。

土器文様を詳しく観察するための4枚の写真
しかし、4枚の写真を並べるだけでは物足りなさが深まりました。

その後縄文土器大観にこの土器の展開写真を発見し、すばらしいと思いました。
2019.12.15記事「縄文土器大観にみる藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)」

縄文土器大観の藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)写真 一部拡大
縄文土器大観から引用
このような展開写真を3Dモデルから自ら作成できれば学習になんと役立つだろうとかなわぬ願いとおもいつつ考えていました。
ところが2か月もたたないうち、その展開図が即座にできるようになったのですからラッキーです。
2020.01.30記事「GigaMeshによる縄文土器展開写真の効率的作成」

早速この土器の展開図を作成して、予備的な検討をしてみました。

3Dモデルから作成した藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)展開写真

展開写真による検討
口縁部区画A~DはAとB、CとDが楕円環をまたいでそれぞれ区画隆線がつながっています。A・BとC・Dは対向していてつながっていません。
AとBは文様イメージが大きく違います。またCとDも文様イメージが大きく異なります。
しかしAとCは何かイメージに共通性があります。BとDには共通性がありません。
胴部は4つの区画の外側区画線が土器下部でつながっています。
aとc、bとdの文様が似ていて、aとbが対、cとdが対になっていてその対が対向しています。
このような対応関係からA-a、B-b、C-c、D-dがそれぞれ対応していて、A-a→B-b→C-c→D-dあるいはC-c→D-d→A-a→B-bのように(あるいは逆方向で)土器を回りながら文様が少しずつ変化して元に戻るような仕組みになっている考えられます。
無意味に模様を配列したとはとても思えません。
4場面の変化に合わせて物語や神話が語られたり、四季の変化が表現されたり、思考・感情プロセスの変化が表象されたりしていたものと想像します。

この1つの土器の模様を眺めているだけでは結論はでませんが、類似土器の展開写真を多数そろえて観察し、出土状況とか共伴遺物とか遺構・遺跡環境とかの諸条件との対応を分析すればなにかヒントが生まれるに違いないと思います。

加曽利EⅡ式土器観察 企19 内面展開写真も

縄文土器学習 333

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19」について観察します。(注 「企19」はこのブログにおける整理番号です。)

26 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19
26-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19

26-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企19
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 56 images

26-3 参考 3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像

3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像
器形を確認するための3DF Zephyr Lite画像

26-4 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19 展開写真 外面(一部のみ切り抜き表示)
3DモデルからGigaMeshで作成

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19 展開写真 内面(360度表示)
3DモデルからGigaMeshで作成

参考 展開写真作成のための企19土器近似円錐体の設定状況
GigaMesh作業画面

26-5 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・欠落のため胴部にどれほどのふくらみがあるかは確認できません。
・口唇部は深い沈線で口縁部から独立しており、かつ水平にしつらえられています。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成です。
文様観察
・口縁部は渦巻文と円文がつながり、その間に楕円区画文が挟まるというセットがあるようです。欠落部分が多いためそれ以上は不明ですが、他の土器の事例では渦巻文・円文・楕円区画文が構成するセットが4つあるものが多いようです。
・胴部は沈線2本と沈線3本の2種の懸垂磨消帯が施されています。3本→2本→2本→3本→2本→2本というリズムがあるようです。
・懸垂磨消帯の幅が上下方向で同じであり、典型加曽利EⅡ式土器のように上部に行くほど磨消帯の幅が広くなっていません。この土器は加曽利EⅡ式期初期の土器のようです。
・懸垂磨消帯の配置リズムと口縁部の渦巻文・円文・楕円区画文配置リズムが調和していないようです。胴部の文様施行には注意が払われず、口縁部文様施行に意識を集中したのかもしれません。
・口縁部と胴部の縄文方向が異なり、口縁部文様に意識を集中していたことが垣間見られます。
裏面観察
・黒い部分が口縁部と胴部の間付近で帯状に広がっていて、土器利用によってできた炭化物(注)であると推察できます。
注…調理や煮沸におけるおこげ、調理後のカビ発生予防のための加熱(余熱による横置空焚き)によるおこげなど。

26-6 感想
・キャリパー形、口縁部渦巻文・円文・楕円区画文、懸垂磨消帯などから加曽利EⅡ式土器として判別されているものと考えます。
・口唇部が独立し水平である様子から実用性を重視した土器であると感じます。
・内面黒色部の帯状分布から口縁部付近まで液体調理物を入れて煮沸していた状況が推察できます。
・GigaMeshでは3Dモデルの外面のみならず内面の展開写真もつくることができます。内面展開写真からはあまり着目されていない情報を引き出すことが可能であるとわかりました。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり

2020年2月1日土曜日

加曽利EⅡ式土器観察 企20 刺突文垂下土器

縄文土器学習 332

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20」について観察します。(注 「企20」はこのブログにおける整理番号です。)

25 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20
25-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20

25-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20 観察記録3Dモデル 
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」 
撮影月日:2019.11.19 
整理番号:企20 
ガラス面越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 56 images

25-3 参考 3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像

3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像
器形を確認するための3DF Zephyr Lite画像

25-4 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企20 展開写真
3DモデルからGigaMeshで作成

25-5 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・欠落部分に胴部ふくらみがあるかどうか確認できません。
・口唇部は波状をしています。口縁部渦巻文のところが凸になっています。
・波状は4単位のようです。
・口唇部は口縁部との間の深い沈線で独立しています。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成のようです。(欠落部分は不明)
文様観察
・口縁部は渦巻文と楕円形区画文により構成されています。
・胴部は縄文を切って懸垂磨消帯と懸垂刺突文が配置されています。
・懸垂磨消帯と懸垂刺突文は交互配置の部分と2列毎配置の部分があります。たまたまそうなったとは思えませんから、なにかの意味が隠されていると推察できます。土器正面のサインかもしれません。
・口縁部と胴部の縄文向きが同じであり、口縁部文様の強調が見られません。

25-6 感想
・キャリパー形であること、口縁部に渦巻文・区画文があること、懸垂磨消帯があることから加曽利EⅡ式土器に判別されているものと考えます。
・口唇部が波状である点と懸垂刺突文があることは典型EⅡ式から外れた要素です。刺突文の存在は連弧文土器の影響を暗示しています。
・GigaMeshにより土器展開図が即座にできます。これにより土器観察が大変容易になりました。立体物を観察しその状況を言葉にするより、平面を観察して言葉にするほうがはるかに楽であることを発見しました。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり