ラベル 展開写真 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 展開写真 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年4月30日木曜日

縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 405

長野県茅野市の尖石縄文考古館で観覧した縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

1 縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2020.03.13
5面ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 84 images

展示の状況

縄文中期前半顔面装飾付深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡)観察記録3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開写真
GigaMesh Software Frameworkを利用して展開写真を作成しました。

GigaMesh Software Frameworkによる展開写真

3 感想
「顔面装飾付」と名付けられていますが、自分には顔面をイメージして作られたという考えに確信を持てません。鼻にあたる部分が双眼の一部ですから顔として違和感を感じます。また「頭」にあたる部分にかんざし状の長円模様がありますが、この長円模様と「目」にあたる長円模様が同じです。
展開写真をみると全体文様構成が縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)とよく似ています。また、藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)ともよく似ています。顔面装飾付土器の把手と対向する双眼から斜め下に伸びた腕?(足?)状の部分が抽象絵画文土器や藤内式土器の菱形に対応するような印象を持ちます。
単なる土器表面を飾る文様というよりも、未解読文字のような印象を受けます。

参考 縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)展開写真
GigaMesh Software Frameworkにより作成
2020.04.29記事「長野県茅野市で出土した抽象絵画文深鉢形土器」

参考 伊那市創造館で観覧した藤内式深鉢形土器の展開写真 GigaMesh Software Frameworkにより作成
2020.02.02記事「藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)の展開写真」



2020年2月28日金曜日

紡錘状の円形意匠を有する意匠充填系土器

縄文土器学習 360

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展の展示土器について学習しています。この記事では紡錘状の円形意匠を有する意匠充填系土器として加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5土器を観察します。(後5はこのブログにおける整理番号です。)

1 加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」後半展示
撮影月日:2020.01.21
整理番号:後5
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 79 images

展示の状況

2 3Dモデル展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから展開写真をつくりました。この土器は文様の分布が観察しにくいので調整の異なる4種の展開写真をつくり、比較しながら隆帯の正確な分布を把握しました。

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5 展開写真 1

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5 展開写真 2

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5 展開写真 3

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5 展開写真 4

3 文様の分布
文様(隆帯及び縄文)の分布は次の通りです。

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5の文様(隆帯及び縄文)の分布

4 観察及び感想
・紡錘状の円形意匠を有する意匠充填系土器として加納実先生論文に紹介されている土器と文様構成が瓜二つです。

加納実先生論文掲載図(紡錘状の円形意匠を有する意匠充填系土器)
加納実(1994):加曽利EⅢ・Ⅳ式土器の系統分析-配列・編年の前提作業として-、貝塚博物館紀要第21号(千葉市立加曽利貝塚博物館) から引用

・紡錘状の円形意匠は渦巻文から変化したもので、この土器がEⅢ式新期のものであることを示しています。
・下段の文様からは渦巻の要素は消失して懸垂文だけになっています。
・この土器を真上からみると土器がいびつであることがわかります。展開写真に表現されている口唇部突起3つのうち右側のもの付近が立面で平状になっています。もしかしたら、この部分が土器「正面」かもしれません。
・文様はいびつな土器に合わせて歪んでいます。

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5の「上から」3Dモデル写真(オルソグラフィック投影)

5 注
この土器(加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5)は加曽利貝塚博物館主催の縄文時代研究講座「県内他地域からみた加曽利貝塚の様相-印旛地域との比較-」(講師 学芸員米倉貴之先生)で横位連携弧線文土器として紹介された土器です。
2019.12.15記事「縄文時代研究講座 米倉貴之先生講演の聴講」

この土器(加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5)が横位連携弧線文土器として紹介されている様子
この情報に基づき、このブログでは次の記事でこの土器(加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市吉見台遺跡)後5)を横位連携弧線文土器の代表例として紹介しました。
2020.02.23記事「加曽利EⅢ式土器学習のポイント」
しかし、この土器をよく観察すると、上記のように本質は意匠充填系土器であると言わざるを得ません。
縄文時代研究講座資料に土器写真の入れ間違い(錯誤)等があったものであると考えますので、米倉先生に確認をとったうえで2020.02.23記事を訂正する予定です。
 

2020年2月27日木曜日

我孫子市湖北郷土資料室の意匠充填系土器

縄文土器学習 359

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展の展示土器について学習していますが、この記事では関連参考として、以前我孫子市湖北郷土資料室で観覧した意匠充填系土器を観察します。

1 加曽利EⅢ式深鉢形土器 鹿島前遺跡 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式深鉢形土器 鹿島前遺跡 観察記録3Dモデル
撮影場所:我孫子市湖北郷土資料室
撮影月日:2019.08.14
ガラスショーケース越し撮影のため難点多
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.506 processing 24 images

展示の状況
4面ガラス張のショーケースに天井の蛍光灯が激しく反射していました。

2 3Dモデル展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから展開写真を作成しました。

加曽利EⅢ式深鉢形土器 鹿島前遺跡 展開写真 1

加曽利EⅢ式深鉢形土器 鹿島前遺跡 展開写真 2
隆帯の連続性等をより正確に観察するために色合いは無視して、1と異なる調整により作成したものです。

3 観察と感想
・上段と下段に2本隆帯による渦巻文がつなげられて配置していますが、復元されていない最下段部にも隆帯による区画文(?)があるようで、その一部がみえます。
・個別渦巻文の変形度合いが強い土器であるという印象を受けます。下段中央の渦巻文は渦巻になっていないといってもよいほどです。
・上段渦巻文は隆帯でそれを描いた後、最後に隣の渦巻文と1カ所で繋いでいる様子が見えますが、下段の渦巻文と区画文は連続して充填されています。意匠充填の仕方(手順)が上下で少し違うようです。
・渦巻の先端が少し膨らんでいます。つる草の先端が丸まって伸びている様子をイメージしているようです。膨らんで表現しているものは、さらに小さくクルクル渦をまいている様子であると想像します。
・意匠充填系土器といってもその文様は土器1つ1つで違い、見ていて飽きが来ません。

2020年2月26日水曜日

意匠充填系土器 その3

縄文土器学習 357


加曽利貝塚博物館E式土器企画展の展示土器について学習しています。
この記事では意匠充填系土器として加曽利EⅢ式深鉢(成田市長田雉子ヶ原遺跡)企25土器を観察します。(企25はこのブログの整理番号)

1 加曽利EⅢ式深鉢(成田市長田雉子ヶ原遺跡)企25 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式深鉢(成田市長田雉子ヶ原遺跡)企25 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企25
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 39 images

展示の状況
次の理由からこの土器展示は企画展の中では最も劣悪な観覧環境(撮影環境)に置かれています。
・ショーケースの一番奥の角に置かれ、手前の土器に視線がさえぎられ撮影視野が狭い。つまり死角が多い。
・土器固定用透明アクリル環が照明遮断・反射・影などの効果を生み、土器中段の観察が希薄になる。
・土器固定用底面円形アクリル板が赤色反射光を土器下部に投射し、土器下部の観察が希薄になる。
・土器固定具の透明足が視界を遮る。
・ガラス面越しであり室内反射光の影響がある。
このような劣悪な環境の下でも多数写真を撮影すれば個人学習用とはいえ3Dモデルができることは素晴らしいことです。

2 3Dモデル展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから展開写真を作成しました。

加曽利EⅢ式深鉢(成田市長田雉子ヶ原遺跡)企25 展開写真 1

加曽利EⅢ式深鉢(成田市長田雉子ヶ原遺跡)企25 展開写真 2
隆帯連続性等をより正確に観察するために色合いは無視して、1と異なる調整により作成したものです。

3 観察と感想
・上段、下段ともに渦巻文が繋がって配置されています。
・渦巻文は1本の隆帯で描かれ、隆帯の両側には幅が狭いナゾリが観察できます。

上段渦巻文が繋がっている様子と、隆帯とその両側のナゾリ
・上段渦巻文は8、下段渦巻文は4配置されている様子です。上段2に対して下段1という渦巻文の位置関係配列がみられます。
・渦巻文とその間を埋める副文様を抽出するために隆帯をトレースしてみました。

隆帯のトレース
・上段は口唇部の隆帯によって渦巻が閉じていて、それによって充填され、副文様はありません。
・上段と下段の間には「地」(無紋)が広がり、隆帯はありません。
・下段は渦巻文と渦巻文の間が副文様(中央部が狭い長楕円文)で充填されています。

・意匠充填系土器という名称とその実態をこの企画展で初めて知りましたが、文様のあり様を観察すると興味が強く湧いてきます。
・展示されている土器は「露天」展示土器1点を除いて全てショーケースに入っていますから、表面積の半分ほどしか観察できません。すべての土器が模様や器形について対向対称とは限りませんから、残念です。ある特定の正面がある土器もあり得ます。
・この企画展はプロ、セミプロ向け企画展であり、スルメのようです。一般素人から見ると難解です。口に入れただけでは固いだけです。噛めば(意匠充填系土器の意味などを学習すれば)味がでます(興味が深まります)。
・この企画展は、一言でいえば意匠充填系土器とか横位連携弧線文土器などの展示会ですから、それらのわかりやすい説明がパネルであればよかったと思います。

2020年2月25日火曜日

意匠充填系土器 その2

縄文土器学習 356


加曽利貝塚博物館E式土器企画展の展示土器について学習しています。
この記事では意匠充填系土器として加曽利EⅢ式深鉢(成田市新山台遺跡)企27土器を観察します。(企27はこのブログの整理番号)

1 加曽利EⅢ式深鉢(成田市新山台遺跡)企27 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式深鉢(成田市新山台遺跡)企27 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2020.01.07
整理番号:企27
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 53 images

展示の状況

2 3Dモデル展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから展開写真を作成しました。

加曽利EⅢ式深鉢(成田市新山台遺跡)企27 展開写真 1

加曽利EⅢ式深鉢(成田市新山台遺跡)企27 展開写真 2
1と異なる調整により作成したものです。

3 観察と感想
・上部に渦巻文(逆J字状)と中央部が狭まる矩形文が交互に並びます。下部には砲弾型の懸垂文が並びます。
・渦巻文と矩形文の配置と下部懸垂文の位置関係は揃えられています。
・渦巻文、矩形文、懸垂文ともに隆帯と幅が狭いナゾリで縁取りされた縄文施文部です。
・上部と下部の間には幅の広い無紋部(磨消部)が存在するため、縄文施文の渦巻文、矩形文、懸垂文が「図」として浮彫になっています。逆に磨消部分が「地」であることがわかります。
・同じ意匠充填系土器といっても、この土器はわざと意匠を完全に充填しない例であり、個々意匠の存在感増幅効果を狙ったものだと思います。

2020年2月24日月曜日

加曽利EⅢ式のキャリパー形土器例

縄文土器学習 354

加曽利貝塚博物館E式土器企画展の展示土器について学習しています。
2020.02.23記事「加曽利EⅢ式土器学習のポイント」で加曽利EⅢ式土器が次の3種から構成されていることを知りました。

加曽利EⅢ式土器の3つの種類
ア キャリパー形土器
イ 意匠充填系土器
ウ 横位連携弧線文土器

このうちキャリパー形土器として例示して、3Dモデルも掲載した加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市内田端山越遺跡)企2について観察します。(企2はこのブログの整理番号、以下同様)

1 加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市内田端山越遺跡)企2の展開写真
土器が黒く3Dモデルでも詳しく観察することに苦労します。そこで3Dモデルから展開写真を作成して観察しました。展開写真はそれを作成する専門ソフトであるGigaMesh Software FrameworkとPhotoshopの機能を利用して立体性を読み取りやすくしたものを特別に作成しました。

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市内田端山越遺跡)企2の展開写真

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市内田端山越遺跡)企2の展示状況写真

2 比較のためのEⅡ式キャリパー形土器展開写真の作成
比較のために加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19の展開写真を作成しました。

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19の展開写真
企19土器の3Dモデルは2020.02.02記事「加曽利EⅡ式土器観察 企19 内面展開写真も」に掲載しています。

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19の展示状況写真

3 EⅢ式(企2)とEⅡ式(企19)の比較
加曽利EⅢ式土器としてのキャリパー形土器の特徴は加曽利EⅡ式土器と対照して、次のように整理されています。
1 口縁部文様帯と胴部文様帯を区別する明瞭なヨコ一次区画効果(稲田1972) の減少
2 口縁部主文様(渦巻文)と副文様(区画文)の一体化
3 胴部懸垂文と口縁部文様の癒着
4 胴部の縣垂文効果を有する無文部が拡大し、本来‘‘地”の部分であった縄文部に懸垂文効
果が移行
5 懸垂文を描出する沈線が縄文部の上端で連結し、懸垂文効果が完全に縄文部によって描出される。
(加納実(1995):下総台地における加曽利EⅢ式期の諸問題-集落の成立に関する予察を中心に-、千葉県文化財センター研究紀要16 から引用)

このうち加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市内田端山越遺跡)企2は次のような特徴を観察することができます。
1 口縁部文様帯と胴部文様帯を区別する境界部(隆起線)が折れ曲がり、同時にその隆起線が不鮮明になり半ば消失しているように観察できます。EⅡ式に見られる明瞭なヨコ一次区画効果が減少しているといえます。
2 渦巻文が退化して口唇部に小突起としてその名残をとどめているようです。渦巻文が退化して区画文に吸収されているような状況として観察できます。

この観察をEⅡ式(企19)との対照で示すと次のようになります。

EⅢ式(企2)とEⅡ式(企19)の比較



2020年2月10日月曜日

加曽利EⅡ式土器観察 企6 渦巻文区画文土器

縄文土器学習 342

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企6」について観察します。(注 「企6」はこのブログにおける整理番号です。)

30 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企6
30-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企6

30-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企6 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企6
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 69 images

30-3 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡D地点)企6 展開写真
3DモデルからGigaMesh Software Frameworkで作成

30-4 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・口唇部は口縁部から独立しています。
・土器下部欠落のため胴部下部に想定されるふくらみの存否や程度は不明です。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成と考えられます。
文様観察
・口縁部は渦巻文と楕円区画文から構成されています。2つの渦巻文がつながり、それが楕円区画文を支えているように見える個所が特徴的です。
・胴部は3本の直線沈線垂下と2本波動沈線垂下の繰り返しの文様となっています。沈線の間には磨消は無いようです。
・口縁部と胴部の縄文の方向は同じです。

文様構成

30-5 感想
・キャリパー形、口縁部渦巻文、沈線の垂下などから加曽利EⅡ式土器として判別されているものと考えます。
・波動沈線が垂下することと直線沈線垂下に磨消が見られないことから加曽利EⅡ式土器の最盛期より古いものにあたると考えます。

……………………………………………………………………
参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり

2020年2月3日月曜日

加曽利EⅡ式土器観察 企18 双環把手付深鉢

縄文土器学習 335

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18」について観察します。(注 「企18」はこのブログにおける整理番号です。)

27 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18
27-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18

27-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企18
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 83 images

27-3 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市上野遺跡)企18 展開写真
3DモデルからGigaMeshで作成

27-4 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・双環把手が1つ残存、2つ欠落、1つ不明で合計4つが付いていたと考えられます。
・把手を除いてみると口唇部は平です。口唇部は口縁部から独立しています。
・土器下部欠落のため胴部ふくらみの状況はわかりません。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成です。
文様観察
口縁部は左から「楕円区画文-渦巻文-楕円区画文-双環把手」というパターンがみられ、そのパターンが4つ存在していたように観察できます。

口縁部文様のパターン
・渦巻文は左のパターンから続いてくる隆起線の最後になります。
・胴部には沈線2本の間が磨消になっている懸垂磨消帯が配置されています。口縁部の文様パターン1つに対して懸垂磨消帯3本が対応しているように見えますが詳細は確認できません。
・観察できる範囲では懸垂磨消帯の幅は上部下部でほとんど変わりません。
・口縁部縄文と胴部縄文の向きが異なります。

27-5 感想
・キャリパー形、口縁部渦巻文、懸垂磨消帯などから加曽利EⅡ式土器として判別されているものと考えます。
・双環把手が4つ付いた土器であり、実用上はそれがないものと比べると使いにくかったと思います。把手がないもの…実用重視・集団業務用、把手があるもの…家庭向け・祭祀関連のような使い分けがあったと思います。把手があり調理実務上は使いにくくても、把手があれば料理が美味しくなり、食事が楽しくなったのだと思います。

……………………………………………………………………
参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり

2020年2月2日日曜日

藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)の展開写真

縄文土器学習 334

2019.12.12記事「藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡) 観察記録3Dモデル」で伊那市創造館で観察した藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)の3Dモデルを掲載しました。

藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡) 観察記録3Dモデル

同時に興味深い土器4区画文様を詳しく観察するために4枚の写真を並べてみました。

土器文様を詳しく観察するための4枚の写真
しかし、4枚の写真を並べるだけでは物足りなさが深まりました。

その後縄文土器大観にこの土器の展開写真を発見し、すばらしいと思いました。
2019.12.15記事「縄文土器大観にみる藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)」

縄文土器大観の藤内式深鉢形土器(伊那市西箕輪 金鋳場遺跡)写真 一部拡大
縄文土器大観から引用
このような展開写真を3Dモデルから自ら作成できれば学習になんと役立つだろうとかなわぬ願いとおもいつつ考えていました。
ところが2か月もたたないうち、その展開図が即座にできるようになったのですからラッキーです。
2020.01.30記事「GigaMeshによる縄文土器展開写真の効率的作成」

早速この土器の展開図を作成して、予備的な検討をしてみました。

3Dモデルから作成した藤内式深鉢形土器(伊那市金鋳場遺跡)展開写真

展開写真による検討
口縁部区画A~DはAとB、CとDが楕円環をまたいでそれぞれ区画隆線がつながっています。A・BとC・Dは対向していてつながっていません。
AとBは文様イメージが大きく違います。またCとDも文様イメージが大きく異なります。
しかしAとCは何かイメージに共通性があります。BとDには共通性がありません。
胴部は4つの区画の外側区画線が土器下部でつながっています。
aとc、bとdの文様が似ていて、aとbが対、cとdが対になっていてその対が対向しています。
このような対応関係からA-a、B-b、C-c、D-dがそれぞれ対応していて、A-a→B-b→C-c→D-dあるいはC-c→D-d→A-a→B-bのように(あるいは逆方向で)土器を回りながら文様が少しずつ変化して元に戻るような仕組みになっている考えられます。
無意味に模様を配列したとはとても思えません。
4場面の変化に合わせて物語や神話が語られたり、四季の変化が表現されたり、思考・感情プロセスの変化が表象されたりしていたものと想像します。

この1つの土器の模様を眺めているだけでは結論はでませんが、類似土器の展開写真を多数そろえて観察し、出土状況とか共伴遺物とか遺構・遺跡環境とかの諸条件との対応を分析すればなにかヒントが生まれるに違いないと思います。

加曽利EⅡ式土器観察 企19 内面展開写真も

縄文土器学習 333

この記事では加曽利博今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19」について観察します。(注 「企19」はこのブログにおける整理番号です。)

26 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19
26-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19

26-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企19
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 56 images

26-3 参考 3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像

3Dモデルを正立させてオルソグラフィック投影した画像
器形を確認するための3DF Zephyr Lite画像

26-4 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19 展開写真 外面(一部のみ切り抜き表示)
3DモデルからGigaMeshで作成

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市南作遺跡)企19 展開写真 内面(360度表示)
3DモデルからGigaMeshで作成

参考 展開写真作成のための企19土器近似円錐体の設定状況
GigaMesh作業画面

26-5 観察
器形観察
・キャリパー形をしています。
・欠落のため胴部にどれほどのふくらみがあるかは確認できません。
・口唇部は深い沈線で口縁部から独立しており、かつ水平にしつらえられています。
段構成観察
・口縁部と胴部の2段構成です。
文様観察
・口縁部は渦巻文と円文がつながり、その間に楕円区画文が挟まるというセットがあるようです。欠落部分が多いためそれ以上は不明ですが、他の土器の事例では渦巻文・円文・楕円区画文が構成するセットが4つあるものが多いようです。
・胴部は沈線2本と沈線3本の2種の懸垂磨消帯が施されています。3本→2本→2本→3本→2本→2本というリズムがあるようです。
・懸垂磨消帯の幅が上下方向で同じであり、典型加曽利EⅡ式土器のように上部に行くほど磨消帯の幅が広くなっていません。この土器は加曽利EⅡ式期初期の土器のようです。
・懸垂磨消帯の配置リズムと口縁部の渦巻文・円文・楕円区画文配置リズムが調和していないようです。胴部の文様施行には注意が払われず、口縁部文様施行に意識を集中したのかもしれません。
・口縁部と胴部の縄文方向が異なり、口縁部文様に意識を集中していたことが垣間見られます。
裏面観察
・黒い部分が口縁部と胴部の間付近で帯状に広がっていて、土器利用によってできた炭化物(注)であると推察できます。
注…調理や煮沸におけるおこげ、調理後のカビ発生予防のための加熱(余熱による横置空焚き)によるおこげなど。

26-6 感想
・キャリパー形、口縁部渦巻文・円文・楕円区画文、懸垂磨消帯などから加曽利EⅡ式土器として判別されているものと考えます。
・口唇部が独立し水平である様子から実用性を重視した土器であると感じます。
・内面黒色部の帯状分布から口縁部付近まで液体調理物を入れて煮沸していた状況が推察できます。
・GigaMeshでは3Dモデルの外面のみならず内面の展開写真もつくることができます。内面展開写真からはあまり着目されていない情報を引き出すことが可能であるとわかりました。

……………………………………………………………………
参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり