2025年3月23日日曜日

3D空間における貝層大区分と遺物分布

 Shell layer divisions and artifact distribution in 3D space


The shell layer divisions and artifact distribution in the study space (3D space) of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound were observed using a 3D model. The artifacts excavated from the slope shell layer are prominent. The artifacts excavated from the collapsed layer indicate the existence of a shell layer containing artifacts from a previous era that was lost due to gully erosion.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における貝層大区分と遺物分布の様子を3Dモデルで観察しました。斜面貝層からの遺物出土が突出します。崩落層から遺物が出土している様子から、ガリー浸食で失われた前代の遺物含有貝層の存在を知ることができます。

1 貝層大区分と遺物3D分布モデル

貝層大区分と遺物3D分布モデル

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)

貝層大区分境界:青平面メッシュ

遺物:赤CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)

10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m


参考 貝層大区分

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 検討


検討メモ図

・崩落層から遺物(ほとんど土器)が出土していることから、ガリー浸食でその本体が失われた前代の土器含有貝層が存在していたことを知ることができます。崩落層からはブロックとなって崩落した貝層が数多く観察されています。

・崩落層の中央部からの遺物出土がないことから、ガリー浸食で前代の貝層が浸食流出し、さらに台地構成層(成田層)の浸食が続いたことが想定できます。この事実からガリー浸食発生以前に貝層が存在していたことがわかります。

・発掘調査報告書では崩落が始まった頃から土器投棄が始まった旨記述していますが、土器を含む貝層がガリー浸食以前に存在していたことが遺物3D分布から確認できます。

・崩落層から出土した土器の型式がわかれば、この付近のガリー浸食がいつ頃生起したのか、おおよその見当がつきそうです。

・二次堆積崩落層A(現場ではK層)からの遺物出土がとても少なくなっています。二次堆積崩落層Aの連続層を剥取断面(千葉県立中央博物館展示)で現物観察すると、水成堆積の様子を確認できます。現状では二次堆積崩落層Aは湖成堆積層の可能性が濃厚であると考えています。(ガリー侵食空間における一時的ダムアップ現象の想定。)

・二次堆積貝層(ガリー流路の運搬による堆積層)は遺物分布の粗密から、基底層(崩落層に連続)、遺物出土の少ない堆積層(二次堆積崩落層Aに連続)、遺物出土の多い堆積層(S2とS3の間の時期の堆積層)に3区分出来そうです。

・斜面貝層の遺物は貝層の細区分(S1、S2、S3)3Dモデルを作成して、別途詳しく観察します。


2025年3月22日土曜日

検討空間の全貝層3Dモデル

 3D model of all shell layers in the study space


A 3D model of all shell layers in the study space of the shell layers on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was created. The volume of the total shell layers between cross sections 10 and 11 is 61.5 m3, with 3721 artifacts excavated and an artifact density of 60.5/m3.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間における全貝層3Dモデルを作成しました。10断面と11断面に挟まれる全貝層の体積は61.5㎥で遺物出土件数3721件、遺物出土密度60.5件/㎥になります。

1 検討空間の全貝層3Dモデル

検討空間の全貝層3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層の10断面と11断面に挟まれた全貝層

断面接触面は非表示

出土全遺物表示

11断面表示

全貝層3Dモデルの体積:61.4632㎥

遺物出土件数:3721件

遺物出土密度:60.54件/㎥

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像(Blender画面)

2 メモ

・3DモデルはBlenderのBsurfaces機能を使って、10断面図と11断面図の断面線から生成しました。

・今後貝層大分類別、斜面貝層のS1、S2。S3別等の貝層3Dモデルを作成して、遺物分布との関係を考察、集計する予定です。


2025年3月20日木曜日

貝層区分

 Shell layer division


I decided to divide the shell layers in the study area of ​​the northern slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound based on the three white shell layers. The same shell layer division can be seen in nearby cross sections, so spatial continuity can be confirmed in this shell layer division. Therefore, this shell layer division can be said to indicate the state of change in the development of the shell layer.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間の斜面貝層における貝層区分を3層の白色貝層を軸に行うことにしました。近隣断面でも同じ貝層区分が出来ることから、この貝層区分に空間的連続性を確認できます。従ってこの貝層区分は貝層発達における変化の状況を指標していると言えます。

1 10断面における貝層区分

10断面における貝層区分(原写真は発掘調査報告書から引用、Photoshopでカラー化)


断面の位置

2 11断面における貝層区分


11断面における貝層区分(原写真は発掘調査報告書から引用、Photoshopでカラー化)

3 剥取断面における貝層区分


剥取断面における貝層区分(原写真は発掘調査報告書から引用、Photoshopでカラー化)

4 12断面における貝層区分


12断面における貝層区分(原写真は発掘調査報告書から引用、Photoshopでカラー化)

5 メモ

検討空間は10断面と11断面の間ですが、剥取断面、12断面でも同じ貝層区分S1、S2、S3を確認できます。ただし、12断面ではS1は隠れていて未確認です。

近隣断面でも同じ貝層区分が出来ることから、この貝層区分に空間的連続性を確認できます。従ってこの貝層区分は貝層発達における変化の状況を指標していると言えます。

S1、S2、S3は古→新の年代の違いと対応しています

S1とS2、S2とS3の間は狭い褐色貝層で区切られます。

S1→S2→S3の順に貝層が厚くなります。S3には貝層の中間に褐色貝層が挟まります。

S2とS3の間にはガリー流路における急激な堆積現象が発生しています。

有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間の貝層区分を3層の白色貝層で行うことにしました。


2025年3月19日水曜日

白色貝層に挟まれた褐色貝層の意義

 The significance of the brown shell layer sandwiched between the white shell layers


When observing the cross-section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, which is examined using on-site photographs, a brown shell layer (a layer with coarse shells) is sandwiched between white shell layers (a layer with dense shells). It is interesting to note that the brown shell layer is synchronized with the rapid development of secondary sedimentation in the gully channel.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間で、現場撮影写真を断面に投影した写真を観察すると、白色貝層(貝殻が密な貝層)の間に褐色貝層(貝殻が粗な貝層)が挟まっています。その褐色貝層とガリー流路二次堆積の急激な発達が同期していて興味が深まります。

1 発掘調査報告書における北斜面貝層11断面の発達史


発掘調査報告書における北斜面貝層11断面の発達史

発掘調査報告書では上図のように11断面発達史を説明しています。第2段階の貝層発達と第4段階の貝層発達の間に第3段階としてガリー流路二次堆積が挟まっています。

このような視点から、次の断面投影写真を観察してみました。

2 11断面投影写真の観察


11断面 白色貝層S2とS3の間の観察

白色貝層S2とS3(※)の間に褐色の細い貝層(A)が観察できます。このAが生成している期間にガリー流路の厚い二次堆積(B)が生成したと考えることができます。

Aに対応する発掘資料における分層を貝層断面図(セクション図集成図)から確認すると「C(2)層=E1層」で、その記述は「混土貝層、混貝率60%、黒褐色、小形ハマグリ主体、キサゴ多、キサゴの破砕率高い」となっています。

※ 白色貝層S1、S2、S3はこのブログ独自の仮称です。

3 隣接断面の観察

3-1 10断面投影写真の観察


10断面(左右反転) 白色貝層S2とS3の間の観察

11断面とほぼ同じ状況を観察することができます。

Aに対応する発掘資料における分層を貝層断面図(セクション図集成図)から確認すると「C2層」で、その記述は「破砕貝混黒色土、イボキサゴ破砕貝混入比較的多、小型ハマグリ、シオフキ若干、しまりなし。」となっています。

3-2 剥取断面(11断面と12断面の中間)白色貝層S2とS3の間の観察


剥取断面の観察

剥取断面(千葉県立中央博物館展示)においても、白色貝層S2とS3の間に褐色の細い貝層(A)が、明瞭さは欠きますが確実に観察できます。11断面、10断面と同じようにAが生成している期間にBが生成したと捉えることができます。

4 考察 1

AとBが同期している状況を、その前後期と比較して、次のように解釈し、当面の作業仮説とします。

4-1 S2の発達

白色貝層S2が発達した。この時期は通常の貝漁獲があった。(豊漁であった。)

4-2 AとBの同時発達

A(貧弱な褐色貝層=貝殻投棄の少ない貝層)の発達は通常の貝漁獲が損なわれたためであると想定。(不漁であった。)

B(ガリー流路二次堆積)の急激な発達は、雨量急増によるガリー流路谷頭部における浸食作用・運搬作用の急激な増大によるものと想定。

AとBから、雨量急増による東京湾汽水域の塩分濃度変化により貝生息環境が悪化し、貝漁獲量が損なわれたと想定。

4-3 S3の発達

白色貝層S3が発達した。この時期は通常の貝漁獲があった。(豊漁であった。)

5 考察 2

考察1における作業仮説が正しいとすると、S1とS2の間の細い褐色貝層も、この時期に貝が不漁であったことを物語る可能性があります。貝層における貝殻粗密が(貝層が白か褐色かの違いが)貝漁の豊漁-不漁指標となる可能性があります。


2025年3月18日火曜日

貝層写真(斜め撮影現場写真)の断面正面投影

 Cross-sectional front projection of shell layer photo (on-site photo taken at an angle)


The shell layer photo (on-site photo taken at an angle) in the study space of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was shaped into a cross-sectional front projection photo using Photoshop's perspective warp function. This frontal photo allows for a realistic observation of the shell layer. The grid boundary posts are visible in the on-site photo, which increased the accuracy of the projection work.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間における貝層写真(斜め撮影現場写真)をPhotoshopの遠近ワープ機能により断面正面投影写真に整形しました。この正面写真により臨場感を持って貝層観察ができます。現場写真にグリッド境界杭が写っているので、投影作業の正確性が増しました。

1 10断面の正面投影貝層写真


10断面の正面投影貝層写真(左右反転)


参考 10断面貝層断面図(左右反転)


参考 10断面貝層写真(左右反転)


断面の位置

2 11断面の正面投影貝層写真


11断面の正面投影貝層写真


参考 11断面貝層断面図


参考 11断面貝層写真

3 正面投影写真の作成方法

今回の正面投影写真作成方法は次の通りです。なお、現場写真にグリッド境界杭が写っているので投影作業の正確性が増しました。

3-1 断面図対応点の記入

貝層写真(斜め撮影現場写真)にグリッド境界杭やグリッド境界線上の特徴点を赤丸(グリッド線対応)、青丸(グリッド中間線対応)で記入し、写真を必要な部分だけ切り抜きました。


現場写真に特徴点を記入して切り抜いた様子

3-2 Photoshop遠近ワープ機能による投影作業

Photoshopで貝層断面図と特徴点記入現場写真(乗算)をレイヤ配置し、現場写真を遠近ワープ機能で粗々の投影を行います。


Photoshop遠近ワープ機能による投影作業

3-3 Photoshopパペットワープ機能による詳細投影

Photoshopパペットワープ機能により特徴点と貝層断面図当該場所を正確に合わせる作業を行います。


Photoshopパペットワープ機能による詳細投影

4 感想

貝層写真(斜め撮影現場写真)の断面正面投影が完成しそれを観察すると、臨場感を持って貝層観察が出来るようになりました。貝層断面図からは得られなかった幾つかの特徴も理解できて、貝層の認識が深まります。今後の記事でメモすることにします。また写真と貝層断面図の照合もできることから、貝層断面図の利用方法について考察するための貴重な情報を得ることができます。


検討空間における斜面貝層の白色貝層の把握

 Understanding the white shell layer of the slope shell layer in the study area


The white shell layer (= shell-dense layer) of the slope shell layer in the study area of ​​the north slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound (the space between cross sections 10 and 11) was understood from on-site photographs. The development of the white shell layer can be divided into three stages in both cross sections 10 and 11.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)における斜面貝層の白色貝層(=貝殻密集層)を現場写真から把握しました。白色貝層の発達は10断面と11断面でともに3段階に区分できます。

1 10断面と11断面の写真


10断面写真 発掘調査報告書から引用、Photoshopでカラー化


11断面写真 発掘調査報告書から引用、Photoshopでカラー化


断面位置図

2 白色貝層の区分と対応


10断面11断面斜面貝層における主な白色貝層(土含有が低い貝層)の略対応

写真で白色部分は土の含有が低く、貝殻主体の貝層であると考えられます。そこで白色を指標にして貝層発達とその両断面における対応を検討し、図示しました。

貝層は下から(古いものから)崩落層斜面の上部から途中まで発達している貝層、崩落層斜面の上部から最下部まで発達している貝層、崩落斜面の途中から二次堆積層を覆いつくす貝層の3段階に区分できます。

その3段階区分は10断面、11断面で共通し、それぞれの貝層対応を確認できます。

白色貝層(=貝殻が密集しているところ)を観察することによって、検討空間における斜面貝層発達の大局観を得ることができました。

3 白色貝層(写真)と貝層断面図分層との対応


10断面(左右反転)主な白色貝層(土含有が低い貝層)


11断面主な白色貝層(土含有が低い貝層)

写真における白色貝層を貝層断面図の分層にプロットしました。

4 貝層断面図に関する問題点と対応

3の作業から、次の問題点を意識し、その対応をメモしました。

4-1 貝層断面図に関する問題点

4-1-1 貝層断面図の分層区分だけから主な白色貝層を認識することが困難

貝層断面図(セクション図の集成)の分層区分には、詳細すぎることと、細長い形状で変化の激しいの分層の定義(混土率、貝種、破砕率、色などの特性)が1点の観察であるという特徴があります。そのため、貝層断面図の分層区分だけから白色貝層の認識(=貝殻密集域の把握≒斜面貝層大局観の獲得)をすることが意外にも困難です。

4-1-2 貝層断面図表現が丸まっている

貝層断面図表現(分層線の作図表現)が丸まっていて(貝層が蛇行する部分が直線的に表現されているなど詳細な分布が表現されていない)、正確性に欠ける部分が見受けられます。

4-2 対応

検討空間の貝層断面図を活用する場面では、写真があればそれを前面に出して利用することにします。写真の方が現場の様子を直観的に把握でき、分析における間違いや勘違いを防ぐことができます。


2025年3月16日日曜日

イルカ下顎骨製腰飾(船橋市高根木戸遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of waist ornament made from dolphin mandible (Takanekido site, Funabashi City)


I created a 3D model of the observation record of the waist ornament made from dolphin mandible (Takanekido site, Funabashi City) that was exhibited at the Chiba City Buried Cultural Property Research Center special exhibition "Shells and People." Since there are no perforations, which are essential for waist ornaments, and there are X-shaped marks indicating binding marks, I imagined that it was a dagger-like ritual tool, not a waist ornament.


千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」で展示されていたイルカ下顎骨製腰飾(船橋市高根木戸遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。腰飾に必須な穿孔が無く、縛り跡を示すX字状痕があるので、腰飾ではない短剣状祭具であると想像しました。

1 イルカ下顎骨製腰飾(船橋市高根木戸遺跡)観察記録3Dモデル

イルカ下顎骨製腰飾(船橋市高根木戸遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」

撮影月日:2025.02.25


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v8.002 processing 62 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 観察

2-1 紐を通す穿孔がない

腰飾として利用するために必須な穿孔がありません。

2-2 X字状痕がある


縛り跡を示すと考えられるX字状痕

3Dモデルを子細に観察すると縛り跡を示すと考えられるX字状痕を確認できます。

3 メモ

2020年12月29日記事「縄文中期箆状腰飾に関する考察メモ その3 疑問・興味・気が付いたこと列挙」で千葉市有吉南貝塚出土の同種腰飾が吊下用穿孔が製品完成後に行われた様子を確認し、かつX字状縛痕を観察して、腰飾利用以前に別のモノに縛って利用されていたことを想定しました。


吊下用穿孔が刺突文様を切っている様子


表面削剥部


短剣の柄 装着想定例

ア 直角の方向…木製柄を短剣直角方向に装着想定した例

イ 延長の方向…木製柄を短剣延長方向に装着想定した例

ウ 滑り止め機能…縄を巡らし滑り止め機能を付加して、その部分を握る柄にした想定例

有吉南貝塚出土腰飾例の検討から、イルカ下顎骨製腰飾(船橋市高根木戸遺跡)の用途は腰飾ではなく、短剣のような儀器だったと想像します。

2025年3月15日土曜日

検討空間における骨3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

 3D bone distribution model in the study space (density color expression version)


I created a 3D bone distribution model in the study space set for the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, and further created a density color expression version. By expressing bone density by color, the bone distribution structure in 3D space could be visualized.

The donut-shaped dense area in the middle of the slope is distinctive.


有吉北貝塚北斜面貝層で設定した検討空間における骨3D分布モデルを作成し、さらにその密集度色表現バージョンを作成しました。骨密集度を色表現すると、3次元空間における骨分布構造が可視化できました。

斜面中腹のドーナツ状密集域が特徴的です。

1 検討空間における骨3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

検討空間における骨3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

検討空間:有吉北貝塚北斜面貝層の10断面と11断面に挟まれた幅2m×高さ8m×長さ14mの空間

出土骨:検討空間から2833骨が出土し、そのうちXYZ座標を取得できた2622骨の3D分布を図化

遺物をCUBE(5㎝×5㎝×5㎝)で表示

骨密集度:

赤 当該骨から20㎝範囲内空間に10個以上の骨が出土しているもの

ピンク 当該骨から20㎝範囲内空間に6~9個の骨が出土しているもの

薄ピンク 当該骨から20㎝範囲内空間に3~5個の骨が出土しているもの

白 当該骨から20㎝範囲内空間に0~2個の骨が出土しているもの

11断面を表示(描画されているグリッドは1m×1m)

3DF Zephyr v8.002でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 密集度の区分

当該骨から20㎝範囲内空間(当該骨を中心とする半径20㎝球体範囲内)に存在する他の骨の数の分布を次のグラフのように区分して、色を貼り付けました。


骨の20㎝範囲内に出土する他の骨の数

3 観察メモ

Blender3D空間の中で、全体を動かしながら観察すると、斜面貝層の中腹に特段の密集度大(赤CUBE)の集中域があり、それが何かドーナツ状に見えます。この形状にはこれまでの他の遺物の分布観察から、思い当たる事柄(イノシシ、骨製装飾品、石鏃)があるので、今後詳しく観察します。

骨と土器片について11断面にオルソ投影した画像を並べてみると、骨と土器片のそれぞれの密集域が「棲み分けている」ような関係にあるように見えます。時期と環境(斜面の中腹か、下部か)を「棲み分けている」ように見えます。詳しく検討する価値のある事象です。


骨と土器片

4 参考 検討空間における骨3D分布モデル

検討空間における骨3D分布モデル

検討空間:有吉北貝塚北斜面貝層の10断面と11断面に挟まれた幅2m×高さ8m×長さ14mの空間

出土骨:検討空間から2833骨が出土し、そのうちXYZ座標を取得できた2622骨の3D分布を図化

遺物を赤色CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)で表示

11断面を表示(描画されているグリッドは1m×1m)

3DF Zephyr v8.002でアップロード


3Dモデルの画像

2025年3月13日木曜日

アワビ(千葉市大膳野南貝塚)パラパラ動画

 Abalone (Daizennominami Shell Mound, Chiba City) Flip-Paper Video


I had fun creating a flip-paper video of the abalone on display at the Chiba City Buried Cultural Properties Research Center's special exhibition "Shells and People." Since the beautiful interference color light cannot be expressed in a 3D model, I lined up the images taken to create the 3D model to reproduce the interference color light.


千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」で展示されているアワビのパラパラ動画を作成して楽しみました。美しい干渉色の光は3Dモデルで表現出来ないので、3Dモデル作成用に撮影した画像を並べて、干渉色の光を再現しました。

1 アワビ(千葉市大膳野南貝塚)パラパラ動画


アワビ(千葉市大膳野南貝塚)パラパラ動画

縄文時代後期

殻長17.8㎝、殻幅14.0㎝、殻高5.4㎝、マダカアワビ

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「貝と人」

撮影月日:2025.02.25

ナチュラル写真(ハイパス処理)


展示の様子

ガラス面越し撮影

Premiere pro  117 images

2 感想

同じ写真で3Dモデルを作成して、Blenderで光沢を与えたのですが、干渉色再現という点に関しては満足できる代物にはなりませんでした。


3Dモデル画像

2025年3月12日水曜日

検討空間における土器片3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

 3D pottery fragment distribution model in the study space (density color expression version)


I created a density color expression version of the 3D pottery fragment distribution model in the study space set in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound. It is a pseudo heat map expression in 3D space. I was able to visualize the 3D distribution structure of the pottery fragments.


有吉北貝塚北斜面貝層で設定した検討空間における土器片3D分布モデルの密集度色表現バージョンを作成しました。3次元空間における疑似的ヒートマップ表現です。土器片3D分布構造を可視化できました。

1 検討空間における土器片3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

検討空間における土器片3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

検討空間:有吉北貝塚北斜面貝層の10断面と11断面に挟まれた幅2m×高さ8m×長さ14mの空間

出土土器片:検討空間から1015土器片が出土し、そのうちXYZ座標を取得できた803土器片の3D分布を図化

遺物をCUBE(5㎝×5㎝×5㎝)で表示

土器片密集度:

赤 当該土器片から20㎝範囲内空間に3個以上の土器片が出土しているもの

ピンク 当該土器片から20㎝範囲内空間に2個以上の土器片が出土しているもの

薄ピンク 当該土器片から20㎝範囲内空間に1個以上の土器片が出土しているもの

白 当該土器片から20㎝範囲内空間に土器片出土がないもの

11断面を表示(描画されているグリッドは1m×1m)

3DF Zephyr v8.002でアップロード


検討空間における土器片3D分布モデル(密集度色表現バージョン)の動画


検討空間における土器片3D分布モデル(密集度色表現バージョン)

2 メモ

当該土器片から20㎝範囲内空間(当該土器片を中心とする半径20㎝球体範囲内)に存在する他の土器片の数の分布は次の通りです。


土器片の20㎝範囲内に出土する他の土器片の数

赤(当該土器片から20㎝範囲内空間に3個以上の土器片が出土しているもの)を細分して密集度の高い場所をさらに浮き彫りにしたいところですが、色数が増えると逆に全体の様子を把握しづらくなるので、妥協的に赤としてまとめました。

密集度色表現バージョンは、3次元空間における疑似的ヒートマップ表現です。土器片3D分布構造を可視化できました。

土器片密集度の高い空間(赤やピンク)がゾーンとして分布している場所は、そのゾーンがある時期に集中的に土器が投棄された場所(あるいは土器が結果として集まった場所)を表現していると考えることができます。今後、検討を深めますが、斜面貝層では、全体の様子から、土器片のほとんどが長距離を移動することは考えづらいので、土器が密集する場所は、その場所かその近くの場所で土器が実際に集中的に投棄されたことを指標していると考えます。

赤やピンクが塊状に分布する場所は、1回か小数回の土器投棄がその付近であったことを指標していると考えます。