Shell layer divisions and artifact distribution in 3D space
The shell layer divisions and artifact distribution in the study space (3D space) of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound were observed using a 3D model. The artifacts excavated from the slope shell layer are prominent. The artifacts excavated from the collapsed layer indicate the existence of a shell layer containing artifacts from a previous era that was lost due to gully erosion.
有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における貝層大区分と遺物分布の様子を3Dモデルで観察しました。斜面貝層からの遺物出土が突出します。崩落層から遺物が出土している様子から、ガリー浸食で失われた前代の遺物含有貝層の存在を知ることができます。
1 貝層大区分と遺物3D分布モデル
貝層大区分と遺物3D分布モデル場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)
貝層大区分境界:青平面メッシュ
遺物:赤CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)
10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m
参考 貝層大区分
3DF Zephyr v8.003でアップロード
3Dモデルの動画
3Dモデルの画像
2 検討
検討メモ図
・崩落層から遺物(ほとんど土器)が出土していることから、ガリー浸食でその本体が失われた前代の土器含有貝層が存在していたことを知ることができます。崩落層からはブロックとなって崩落した貝層が数多く観察されています。
・崩落層の中央部からの遺物出土がないことから、ガリー浸食で前代の貝層が浸食流出し、さらに台地構成層(成田層)の浸食が続いたことが想定できます。この事実からガリー浸食発生以前に貝層が存在していたことがわかります。
・発掘調査報告書では崩落が始まった頃から土器投棄が始まった旨記述していますが、土器を含む貝層がガリー浸食以前に存在していたことが遺物3D分布から確認できます。
・崩落層から出土した土器の型式がわかれば、この付近のガリー浸食がいつ頃生起したのか、おおよその見当がつきそうです。
・二次堆積崩落層A(現場ではK層)からの遺物出土がとても少なくなっています。二次堆積崩落層Aの連続層を剥取断面(千葉県立中央博物館展示)で現物観察すると、水成堆積の様子を確認できます。現状では二次堆積崩落層Aは湖成堆積層の可能性が濃厚であると考えています。(ガリー侵食空間における一時的ダムアップ現象の想定。)
・二次堆積貝層(ガリー流路の運搬による堆積層)は遺物分布の粗密から、基底層(崩落層に連続)、遺物出土の少ない堆積層(二次堆積崩落層Aに連続)、遺物出土の多い堆積層(S2とS3の間の時期の堆積層)に3区分出来そうです。
・斜面貝層の遺物は貝層の細区分(S1、S2、S3)3Dモデルを作成して、別途詳しく観察します。