2019年3月17日日曜日

顔面付釣手形土器の解釈

縄文土器学習 66 顔面付釣手形土器 2

伊那市創造館所蔵顔面付釣手形土器(国重要文化財、伊那市富県御殿場遺跡出土 縄文中期 4700年前竪穴住居跡)の学習をしています。
顔面付釣手形土器の写真を多数眺めているうちに徐々にこの土器の特徴がわかり、「実感」が湧いてきました。その「実感」を作業仮説としてまとめておきます。

1 顔面付釣手形土器の特徴

顔面付釣手形土器の特徴

1 顔面が正面であると考えられる。
2 顔面は女性を想起させる。耳飾りがある。背後は頭で結髪している模様と考えられる。
3 顔面下に谷状模様をはさんで大きな穴のあるかすかに内湾した平面がある。
4 平面の両側には5つのくぼみがあり、背後から平面に伸びる5つの指状アーチと対応している。
5 指状アーチが指であり、くぼみが爪であるとすれば、両手がこの平面をつかんでいるように見える。  
6 平面には穴の回りをめぐる沈線が描かれている。
7 背後には2つの小穴が開き、その周りを隆帯が巡る。
8 背後中央部上下に太い紐が折り重なっている。
9 背後中央部上に欠けている内湾部分が付いている。背中背後に何かを背負っているように見える。

2 顔面付釣手形土器の解釈(作業仮説)

顔面付釣手形土器の解釈(作業仮説)

1 顔面は出産時の苦しむ妊婦の顔である。
2 正面の大きな穴は産道である。穴をめぐる沈線は女性器外陰部を描写している。
3 外陰部を両側から出産介助者が両手で広げている様子が描写されている。
4 背後2つの小穴は妊婦の足を表現していて、紐で足を広げている様子が描写されている。
5 小穴には草木の束などを差し込んでリアルな足(もも)を表現していたかもしれない。  
6 背後の折り重なる紐は、幾重にも束ねた紐を表現している。
7 背後欠けた内湾部分は妊婦の足や体につけた紐をまとめて縛った瘤を表現している。
8 この土器は、妊婦を紐でつるし重力を利用する出産場面で、介助者が両手で産道を開いている場面も表現している。妊婦の両手はつるし紐を握っていると想像できる。
9 この土器は安産のイコン(アイコン)である。安産祈願祭具である。

3 感想
・自分が予期していなかった方向に思考が進みわれながら驚いています。
・展示館展示パネル以外の専門的知識所持がゼロですから、今後この土器に関する既存知識を吸収することにします。
・この土器に関する知識が増えた時、この記事作業仮説がたとえトンチンカンなものであったとしても、このような思考をした体験は学習上血肉になると考えます。

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追記 2019.03.18
顔面を「出産に苦しむ妊婦の顔」と書きましたが、もだえ苦しんでいる様子ではなく安らかに出産の瞬間を食いしばっていて、声を出している様子が読み取れます。出産瞬間の理想的な妊婦の顔を表現しているのだと思います。
追記 2019.03.20
2019.03.18記事「安産直後を描写した顔面付釣手形土器」に書いた通り、顔面は「出産女性が喜びのため息をついている様子である」と考えます。出産中の苦しみを表現していると考えたことは間違いでした。

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