2019年3月1日金曜日

船橋市海老ケ作貝塚出土器台の観察

縄文土器学習 50

船橋市の飛ノ台史跡公園博物館に海老ケ作貝塚出土器台が展示されていますので観察しました。

1 海老ケ作貝塚出土器台

海老ケ作貝塚出土器台
船橋市飛ノ台史跡公園博物館展示

海老ケ作貝塚出土器台
船橋市飛ノ台史跡公園博物館展示

海老ケ作貝塚出土器台
船橋市飛ノ台史跡公園博物館展示

加曽利E式期のものであると考えられます。

2 観察

海老ケ作貝塚出土器台の観察
・全体の概形は加曽利貝塚博物館企画展展示器台2種と似ていて、お椀を伏せたような形で孔があいています。海老ケ作貝塚出土器台は大きな楕円孔が4つ開いています。
・器台上面付近が黒くなっていて、器台の利用に関わる色であるのかどうか知りたいところです。
・上面の中央付近の凹んだ部分が白っぽくなっています。この色もこの器台の利用(液体の蒸発気化装置)に関わるものであるかどうか知りたいところです。
・上面と側面がなす角の部分が他の部分と比べて摩耗が進んでいます。器台の利用により「何か」が擦れることが多く、摩耗したものと考えられます。その「何か」は摩耗の様子から土器のような固いものではないと直観します。
・側面上部の黒くなっている部分とそうでない部分の境目付近に同じ形状のキズが連続します。キズは円周方向に細長くなっています。器台作成時にできたキズではなく、利用時にできたキズのように観察できます。
・孔を通して器台内部の様子を見ようとしましたが、設置位置の関係で観察できませんでした。
・孔を通して「海老ケ作2次」の文字が見えました。
・観察結果は器台の利用が単純な少量液体蒸発ではなく、他の「何か」を使ってその機能を実現しているように暗示されます。

3 別の海老ケ作貝塚出土器台
文献をみると海老ケ作貝塚から展示器台とは別に3点の器台が出土していますので紙上観察してみます。

3-1 海老ケ作貝塚出土器台 ア

海老ケ作貝塚出土器台 ア
「船橋市の遺跡 船橋市史資料(二)」(船橋市発行)から引用
展示器台と形状が大きく異なります。お椀型ではありません。また孔も大きなものが2つとなっています。

3-2 海老ケ作貝塚出土器台 イ

海老ケ作貝塚出土器台 イ
「船橋市の遺跡 船橋市史資料(二)」(船橋市発行)から引用
写真を見る限り器台下部が丸ごと欠損しているようです。引用図書には「脚部が山状に連続するもので、穴を穿った器台とは異なるものである。」(第2次)と書いてありますが間違いだと思います。

3-3 海老ケ作貝塚出土器台 ウ

海老ケ作貝塚出土器台 ウ
「船橋市の遺跡 船橋市史資料(二)」(船橋市発行)から引用

海老ケ作貝塚出土器台 実測図 ウ
「船橋市の遺跡 船橋市史資料(二)」(船橋市発行)から引用
器台内面に弧状模様が沈線で描かれています。
「半円状のマドは全部で5コと推測」されています。
器台内面が一般土器外面に該当するという自分の作業仮説を支持する遺物です。

参考 器台に関する作業仮説

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