2019年3月4日月曜日

加曽利EⅢ式渦巻文深鉢の観察

縄文土器学習 56 加曽利貝塚博物館企画展展示土器の観察 31

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(終了)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事では加曽利EⅢ式渦巻文深鉢No.28の観察をメモします。

加曽利EⅢ式渦巻文深鉢 No.28
大膳野北遺跡出土

加曽利EⅢ式渦巻文深鉢 No.28
大膳野北遺跡出土

・口縁部独自の模様はありません。
・胴部がくびれで2分され、口縁部と胴部上部に沈線と隆帯で巨大な渦巻文が描かれています。胴部下部も同じ渦巻文のように推察できますが、詳しく観察できる部分が見つかりません。
・土器の上半分だけが特に大きくなっていますが、その部分が火焔を受ける場所であり、火焔の熱を効率よく吸収するための工夫のようです。
・この土器を平面に置くと重心が上になり著しく不安定です。液体を一杯に入れるとなおさら不安定です。土器下部のかなりの部分を炉の中に埋めて料理に使っていたと推察できます。
・土器下部に激しい横走擦過痕があり、この土器が炉の中に半ば埋められて使われていた(あるいは固定具[土器リサイクル品]に挟まって使われていた)ことを土器自体が物語っています。

土器下部の横走する顕著な擦過痕

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企画展会場

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