2020年1月16日木曜日

加曽利E式土器細分の実年代

縄文土器学習 312

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で配布されている資料「考古学を勉強する皆様へ 本展示における加曽利E式土器の細分と表記について」に加曽利E式土器細分・表記について研究者による違いと加曽利貝塚博物館の考え方(=史跡加曽利貝塚総括報告書の考え方)が整理されています。
この整理一覧表の中に実年代情報が含まれていますので、その年代について検討してみました。

配布資料に掲載されている加曽利E式土器の細分・表記
この表の横軸は実年代の時間幅に正確に対応していないので、エクセルを使ってこの表の横軸を実時間に対応させてみました。

加曽利E式土器細分と実年代幅 ア
加曽利EⅠ式は120年間、EⅡ式は190年間、EⅢ式は120年間、EⅣ式は50年間継続したというおおよそとは言えとても詳しい情報を知ることができました。

ところで、以前私家版データベースから加曽利E式土器細分別の出土遺跡数を調べたことがあります。2019.07.12記事「加曽利E式土器細分毎の遺跡分布


参考 千葉県加曽利E式土器出土遺跡細分情報(EⅠ~Ⅳ)の有無
加曽利E式土器細分情報を伴う出土遺跡は加曽利E式土器出土遺跡の2割に過ぎませんが、これ以外に情報はないので貴重な情報です。この2割の細分情報を伴う遺跡数を整理すると次のようになります。

千葉県 加曽利E式土器細分情報別出土遺跡数 イ
アとイを比べると加曽利E式細分別実年代時間と出土遺跡数の割合がほぼ一致します。
大変興味深い情報です。
アとイを指数化(%)して並べたグラフを作ると次のようになります。

加曽利E式土器細分 指数化した実年代時間と千葉県遺跡数
時間と遺跡数が奇妙に一致することには意味があると考えます。
遺跡数とは村数であると考えると、村の数は時間の関数として残されたから、このように一致する結果になったと把握できそうです。
村の数が時間の関数で表されるということは、村を各地につくって地理的環境資源を開発する活動が時間の関数であったのではないかと考えます。
ただし、遺跡(村)に含まれる竪穴住居数(=人口)は加曽利E式細分別に大いに違っていたのではないかと想像しますので、今後学習を深める予定です。
なお、千葉県遺跡データベースにおける加曽利E式細分と加曽利貝塚博物館が使う加曽利E式土器細分が厳密に一致している保証はありませんが、ここでは地域がほぼ重なる(文化財関係者もほぼ重なる)ことでもあり、大雑把にみて極端に違わないだろう程度に考えました。


0 件のコメント:

コメントを投稿