縄文土器学習 330
●加曽利E式土器観察学習方法の微調整
記事の最後に書いたとおり、学習方法を微調整します。
この記事では今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企22」について観察します。(注 「企22」はこのブログにおける整理番号です。)
23 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企22
23-1 展示状況写真
加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企22
23-2 3Dモデル
加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企22 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2020.01.07
整理番号:企22
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 51 images
23-3 展開写真
加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企22
23-4 観察
器形観察
・キャリパー形です。
・胴部くびれとその下のふくらみがわずかに観察できます。
・口唇部がかすかに波状になっていますが、それが意図したものかどうか判断できません。とりあえず平であると概括的に捉えておきます。
・口唇部と口縁部は連続し、口唇部の独立性はゼロです。
段構成観察
・口縁部、頸部、胴部の3段構成です。
・口縁部と頸部、頸部と胴部の区分はいずれも3本沈線・磨消帯の周回により行われています。
文様観察
・口縁部は上半分が無紋、下半分が2列の円形刺突文です。
・頸部は縄文を切って3本沈線が大きく波状を描いて周回します。確認できませんが波状は4単位のようです。
・胴部は3Dモデルにできた部分で、4本の懸垂磨消帯と1本のカーブして垂下する磨消帯が観察できます。カーブして垂下する磨消帯の意味づけを考え付きません。
感想
・口縁部の刺突文と頸部(胴部)の沈線波状文は連弧文土器の特徴です。一方懸垂磨消帯は加曽利EⅡ式土器の特徴です。したがってこの土器は連弧文土器と加曽利EⅡ式土器の折衷土器、ハーフであると素人考えします。
・この土器と同じ趣旨の文様構成土器を既に「17 H30年度加曽利E式企画展(千葉市内編) No.15 2段構成連弧文土器(有吉北貝塚)」として観察しました。
No.15 2段構成連弧文土器(有吉北貝塚)
実測図
発掘調査報告書から引用
2020.01.29記事「加曽利EⅡ式土器の観察 その2」
・連弧文土器と加曽利EⅡ式土器及びその折衷土器が存在することの意味を今後興味を持って学習することにします。
・2つの土器文化の潮流が同一人に影響を与えているということではなく、同一集落に連弧文系の外来系住民と加曽利EⅡ式系在来住民が共存していて、その関係が良好であった証左であると空想します。
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参考 加曽利E式土器観察の視点
加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準
加曽利E式土器の移り変わり
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●加曽利E式土器観察学習方法の微調整
加曽利貝塚博物館のE式土器企画展(昨年度及び今年度)展示土器の学習をしています。主にEⅠ~EⅣという専門家が行った細分判定の根拠を自分なりに確認・追体験する作業を行っています。注口土器や器台を除いて全部で74器あり、それを1記事5土器程度のペースで学習してきました。
ところが清瀬市郷土博物館学芸員内田裕治先生から内田裕治式土器展開写真作成法を授かり、さらにGigaMeshによる超時短土器展開写真作成法を知り、状況が急変しました。
今年度企画展展示土器について土器展開写真作成に手間が全くかからなくなりました。
土器模様を3Dモデルで回して見ていただかなくとも、土器模様全部を平面写真で示すことができるようになりました。観察結果を言葉で説明するもどかしさが急減します。同時に土器模様に関する観察を深めることが可能となりました。
このような技術進歩により、土器1点1点の観察をより深めて行うことが可能となりました。
土器の細分判定を追体験するという目的は変わりませんが、学習方法を土器1点1点についてより深く、詳細に検討する方法に変更することにします。
具体的には1記事につき5土器程度を扱うというテンポを1記事につき1~2土器程度を扱うテンポに変更します。
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