2020年1月16日木曜日

加曽利E式土器の移り変わり反芻学習

縄文土器学習 313

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)の展示観覧や関連講演会聴講をよきツールとして加曽利E式土器の器形や模様の変遷、出土遺跡の地理的分布、加曽利E式期前後の社会変遷の様子などについて集中学習をすることにします。
この記事では昨年E式企画展のパンフレットと展示写真から、加曽利E式土器の器形・模様の変遷について反芻学習しました。

1 加曽利E式土器の移り変わり

加曽利E式土器の移り変わり
昨年企画展パンフレット「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」から引用
器形・模様の変化についてとても分かりやすい資料です。
昨年企画展展示はこの移り変わりを現物で確認することができました。

2 昨年企画展展示土器の反芻学習
2-1 加曽利EⅠ式土器

加曽利EⅠ式土器5点の様子 (写真サイズは不定)
大把手が付いているものを含めて小突起を含めると全ての展示土器に把手が付いていました。獣面把手が付く勝坂式土器などの影響が残ると理解しました。
また土器底面の大きさが大きく、どっしりと平面に置くことができる感じがします。
加曽利EⅠ式土器がどのように成立したのか興味あるテーマです。

2-2 加曽利EⅡ式土器

加曽利EⅡ式土器15点の様子 (写真サイズは不定)
加曽利E式土器を使う社会の最盛期にあたる時期の土器です。
口縁部に把手が付いたり波状になるものが少なく、多くの土器の口縁部が水平になります。
渦巻文と垂下磨消文が文様状の特徴です。
人口急増期であり、社会が効率性を指向した時期であり、それらが土器器形や模様の定型化に表れているのではないかと想像しています。その想像がどれほど蓋然性があるか、学習を進める中で明らかになると期待しています。

2-3 加曽利EⅢ式土器

加曽利EⅢ式土器10点の様子 (写真サイズは不定)
口縁部が波状になるものが多く口縁部と胴部の模様が融合します。この器形と模様変化は社会崩壊過程と関係するに違いないと考察しました。
加曽利EⅡ式期とEⅢ式期の間には社会変動(背景に環境変動)があったと想像しています。その想像を確かめたと希望しています。

2-4 加曽利EⅣ式土器

器形が4単位波状口縁土器に収斂する様相のようです。
土器底面の大きさが異様に小さくなり、自立が困難のように観察できます。おそらく炉における設置具(廃土器リサイクル品)普及が伴ったと想像します。
小型土器展示が多く、社会衰退と関連しているのかもしれません。また祭祀等が盛んになる社会状況を暗示しているような印象を受けました。
加曽利EⅣ式土器がどのように終焉して次の土器形式称名寺式土器に引き継がれるか、土器の器形・模様だけでなく、社会変遷そのものを詳しく知りたいと希望しています。

3 今年度企画展展示土器の学習方法
今年度企画展展示土器は自治体別に展示されていますが、この展示をEⅠ~EⅣの細分別に紙上で再整理して、上記昨年細分別展示にそれが加わったようにイメージして、細分別に器形・模様やその他の項目を学習することにします。

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