2020年1月31日金曜日

加曽利EⅡ式土器観察 企21 円錐体形土器

縄文土器学習 331

この記事では今年度企画展展示土器「加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企21」について観察します。(注 「企21」はこのブログにおける整理番号です。)

24 R元年度加曽利E式企画展(印旛地域編) 加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企21
24-1 展示状況写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企21

24-2 3Dモデル

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企21 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2020.01.07
整理番号:企21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 49 images

24-3 参考 3Dモデルの土器底面を水平にした時のオルソグラフィック投影

3Dモデルの土器底面を水平にした時のオルソグラフィック投影
(大片をオルソ投影して器形を見るための資料)

24-4 展開写真

加曽利EⅡ式深鉢(四街道市中山遺跡)企21
2つのピースの位置関係は任意ですが、沈線の連続性から沈線の波動状況が判明します。

参考 土器小破片展開写真を作成するための近似円錐体設定状況

24-5 観察
器形観察
・円錐体の一部を切り取った器形をしています。キャリパー形ではなく、胴部ふくらみやそれにともなうくびれはありません。
・口唇部は平のようです。
段構成観察
・2本沈線とその間の磨消帯3条で土器が4つのゾーンに段構成されています。
・段を区分する2本沈線磨消帯は中段と下段で波動します。下段の波動は激しいものになります。
文様観察
・最上段は口縁部(口唇部)2列の大きな丸い刺突文です。
・その下3段はくし状道具を使った縦方向の密な沈線列です。
・最下段では2本沈線磨消帯の垂下が1つ観察できます。懸垂磨消帯の存在は加曽利EⅡ式土器の特徴ですから着目できます。
感想
・口縁部刺突文と土器を周廻する波状沈線は連弧文土器の特徴ですから、この土器はほとんど連弧文土器であると感じます。キャリパー形でもないのでなおさらそのように感じます。ただ垂下する磨消帯が観察できるので加曽利EⅡ式土器の仲間として判別されているのだと思います。
・垂下する沈線、垂下する磨消帯がそれほど土器判定に重要であるということは、逆に発想すれば、それが当時の社会変動の特徴的な側面を指標しているからに違いないと想像します。

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参考 加曽利E式土器観察の視点

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準

加曽利E式土器の移り変わり


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