2020年7月23日木曜日

君津市三直貝塚出土の有孔円板形土製品

縄文土器学習 432

2020.07.21記事「天球観測装置のような不思議な土版」で加曽利貝塚博物館展示の君津市三直貝塚出土「土版」を観察しました。
この「土版」の意義は判らなかったのですが、天球観測装置のような印象を夢想しました。
この記事をTwitterでつぶやいたところ古代人?さんからコメントをいただき、図書「日々の考古学3」(東海大学文学部考古学研究室編)所収論文「宮原俊一著「重たい紡錘車-縄文晩期の有孔円板形土製品について-」」を教えていただき、紡錘車である可能性を指摘していただきました。

図書「日々の考古学3」

早速この論文を入手して読んでみました。
まずこの製品が土版ではなく、有孔円板形土製品と呼ぶことがふさわしいことを知りました。
次にその出土分布図が掲載されていて、前浦式土器分布域と重なる様子が示されています。

有孔円板形土製品出土遺跡
宮原俊一著「重たい紡錘車-縄文晩期の有孔円板形土製品について-」(「日々の考古学3」(東海大学文学部考古学研究室編)から引用
出土数をみると主な遺跡では数十単位になっています。
この出土数からこの製品が生業に関係するものであり、天球観測装置のような特殊なものでないことが直観できます。

三直貝塚出土有孔円板形土製品の実測図
宮原俊一著「重たい紡錘車-縄文晩期の有孔円板形土製品について-」(「日々の考古学3」(東海大学文学部考古学研究室編)から引用

この論文では幅広い論考を重ね、民俗資料も駆使して、有孔円板形土製品が漁網あるいは釣り糸を撚るための吊り下げ使用回転錘であることを明らかにしています。
夢「天球観測装置」は2日間のはかない命で終わりましたが、かなり濃厚で充実した学習をすることができました。
Twitter古代人?さんに感謝します。
宮原俊一著「重たい紡錘車-縄文晩期の有孔円板形土製品について-」(「日々の考古学3」(東海大学文学部考古学研究室編)はとても素晴らしいおすすめ論文です。

加曽利貝塚博物館で観覧し、3Dモデルを作成して子細に観察すると擦れ等の使用感があまりなく、小孔の機能もわかりませんでした。
この論文で、この製品の中央に棒を通し、その棒が空回りしないように小孔にヒモを通して棒と結ぶことを知りました。またこの製品自体に撚り糸が絡まることはないことを知りました。吊り下げ型の回転錘であるので、擦れ等の使用感があまり生まれないことを納得できました。

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