2020年7月7日火曜日

縄文社会の選択

縄文社会消長分析学習 37

1 縄文社会消長(=人口増減)
縄文社会消長(=人口増減)が次の遺跡数グラフ(千葉県)で表現されていると仮定します。

千葉県 縄文土器形式別出土遺跡数と絶対年代推定との対比

このグラフに炮烙線を描くとAとBを描くことができます。

千葉県 遺跡数の包絡線
縄文社会消長(=人口増減)包絡線は全体大局的にB、少し詳しく見るとAで表現されるということができます。

2 縄文社会消長(=人口増減)包絡線の解釈見立て(学習仮説)メモ
炮烙線AとBの解釈見立てを、今後本格学習していくために学習仮説(作業仮説)としてメモします。
学習を円滑に進め、学習意欲を掻き立てるための仮説です。学習を進めて生まれる不都合は順次改訂し、より緻密で蓋然性の高い仮説に育てることにします。

包絡線A・Bに関わる解釈見立て
ピーク(加曽利E式期)までを成長期、その後(称名寺式期以降安行式期まで)を爛熟衰退期として機械的に区分して対比解釈します。

【包絡線Bに関わる解釈見立て】
●成長期における縄文社会の選択…生業技術開発を進め食糧獲得量を増大させ、人口を増やす。人口は順次増加する。
社会成長の基本要因は縄文社会の選択であり、気候変動(気温の上昇)ではない。(このような気温上昇カーブはない。)
●爛熟衰退期における縄文社会の選択…奢侈品・祭祀用品生産と利用に関わる時間・エネルギーの増大を指向する。豊かな社会の実現を目指す。その分食糧獲得量を減らす。文化は発展するが、人口は順次減少する。
社会衰退の基本要因は縄文社会の選択であり、気候変動(気温の低下)ではない。(このような気温低下カーブはない。)

【炮烙線Aに関わる解釈見立て】
●成長期における縄文社会の選択…気候温暖期、漁場環境良好期等の好機をとらえて生業技術・社会組織体制を改良して食糧増産に励み人口を増やす。気候寒冷期、漁場環境劣悪化等の生活環境劣悪化時期には人口を減らして雌伏し、次の好機到来まで待つ。
●爛熟衰退期における縄文社会の選択…気候温暖期等の好機をとらえて生業技術開発・社会組織体制整備(分業や階層化、ネットワーク化)により食糧獲得量増大と奢侈品・祭祀用品生産利用を増大させる。豊かな社会実現をめざす。生活環境劣悪時期や社会内部矛盾増大期には人口を減らして雌伏し、次の好機到来まで待つ。
加曽利E式期ピーク→加曽利B式期ピーク→安行式期ピークとピークが低くなる(ピークの人口が少なくなる)のは[奢侈品・祭祀用品生産利用に投入する時間エネルギー]/[社会全体の総時間エネルギー]が増大して食糧獲得力が弱まっているからだと想定します。

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余分な一言
加曽利EⅡ式期に縄文社会はその絶頂期を迎えそれが崩壊します。その後の選択で縄文社会は文化的豊かさを最高の目標にしました。しかし別の選択もあり得たと空想します。文化的豊かさの基盤となりうる生産性の高い社会を目指す(=農業社会を目指す)という選択もあり得たと考えます。その時縄文人が農業を導入していたら列島の歴史は全く変わっていたに違いありません。

このような空想をしてみると、縄文後期に文化的豊かさを求めるという選択をした背景に、大陸農業文明社会の影響があったと考えることが可能かもしれません。大陸文明の文化的豊かさを真似するが、農業の真似はしなかったのが縄文人だったということです。それだけ列島の気候が温暖で住みやすく、外敵がいなかったということです。

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