2020年7月6日月曜日

縄文社会消長分析学習の視点

縄文社会消長分析学習 36

縄文中期の4.3kaイベントが存在しないことや「縄文後晩期の気温低下人口減少論」が間違っていることがわかり、理解不能という悩みが解消されました。それにより来年に目指す縄文社会消長分析学習の主要視点の一つが浮かび上がりましたのでメモします。

1 千葉県 縄文土器形式別出土遺跡数と絶対年代推定との対比

千葉県 縄文土器形式別出土遺跡数と絶対年代推定との対比
土器形式の継続期間と遺跡数の両方を同時にみることができる資料となっています。この資料が千葉県における縄文社会消長を指標する最も詳しい資料であると考えています。

2 学習の視点メモ

学習の視点メモ
遺跡数の包絡線をその炮烙程度の違いによりAとBを作成しました。
包絡線Aはミクロ気候変動とも対応する可能性のある遺跡数変動です。
炮烙線Bは縄文社会変動の大局観を表現しています。
草創期から中期加曽利E式をピークとするまでは成長期ということができる期間です。
加曽利E式のピーク後包絡線Bは安行式までの間下降します。
この下降期は爛熟衰退期とでも表現できる期間になります。堀之内式期と加曽利B式期のピーク、安行式期のピークを含む爛熟衰退期の衰退要因がなにであるのか、その検討を縄文社会消長分析学習の主要テーマにしたいと思います。
縄文晩期後半の短期間が終焉期といえる期間で、おそらく結核が蔓延するなどの特殊な期間(弥生文化の負の影響を先行して受ける期間)であると想定します。

爛熟衰退期の要因検討は成長期との比較の上で行うことが必須です。
例えば次のような自明で顕著な違いが、千葉ではすでに判明しており、その比較対比学習が楽しみです。

成長期(加曽利E式まで)
・土偶極めて少ない
・装身具少ない
・祭祀用土器・石器少ない
・特殊な建物少ない
・抜歯大変すくない
・製塩(なし?)


爛熟衰退期(堀之内式、加曽利B式、安行式)
・土偶極めて多い
・装身具多く充実
・祭祀用土器・石器多い
・特殊な建物多い(大型住居など)
・抜歯大変多い
・製塩盛ん

印象的には成長期は質素で質実剛健社会、爛熟衰退期は富裕で豪華絢爛社会です。
その時期の縄文人がそのような社会風土を自ら選択していたといえます。

0 件のコメント:

コメントを投稿