2020年7月21日火曜日

ひょうきんでかわいいアイドル「地母神」

縄文土器学習 429

加曽利貝塚博物館で開催中の夏休み企画展「調べて発見!わたしのまちの縄文時代」に展示されている人面付土版(千葉市犢橋貝塚)を3Dモデルを作成して観察しました。

1 人面付土版(千葉市犢橋貝塚) 観察記録3Dモデル

人面付土版(千葉市犢橋貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文晩期前葉安行3a式
撮影場所:加曽利貝塚博物館 夏休み企画展「調べて発見!わたしのまちの縄文時代」 
撮影月日:2020.07.14 
展示説明:人面付の土版 おまじないで使用? 縄文人はこんな立派なまゆ毛だったのかな。土版(どばん)は何に使われたんだろう。スマートフォンぐらいの大きさで握りやすそうだね。
ガラス越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.001 processing 25 images

展示の様子

特殊モード写真

動画

2 考察
ア デザインは地母神
この土版のデザインの原義は次のように怖い神話(地母神殺害再生神話)にあることは明白です。

ひょうきんでかわいいアイドル「地母神」
デザインの原義をほじくり出せば、怖い話(凄惨な話)になります。

イ 「ひょうきんでかわいい」ことについて
この土版は現代人が見て「ひょうきんでかわいい」ものとして感得できます。それだからこそ子供向き展示「夏休み企画展」で使われています。
「ひょうきんでかわいい」ことは縄文晩期人も同じであったと想定します。「地母神」が怖い神話の主人公であることは百も承知で、それが世俗化、アイドル化、キャラクター化(ゆるキャラ化)して人々に親しまれていたのだと想像します。
土版はお守りみたいなもので、作られてからある期間は使われ、祈願成就の際に壊されたのでしょうか?

縄文人と現代人が「ひょうきんでかわいい」と感じる感性の様子が似ていると推測できたように感じます。なにかうれしくなります。

ウ 最下段の復元図像について
土版にある3つの〇のうち最上段は凹んでいて口であることは明白です。真ん中の〇は喉に開けられてあ穴であると考えます。土偶にはこのようなデザインがかなりあります。
最下段は復元されたデザインです。自信を持って復元されているのでおそらく類似デザイン土版の例から復元されたもので、信頼に足る復元であると想像します。その意味は妊娠腹を割いた状況、妊娠腹に開いた穴であると空想します。神話における怖い話です。

エ 眉毛と鼻をイメージするカモメ模様について
半円弧を二つ連ねて、眉毛と鼻をイメージするカモメ模様が隆線で描かれ、顔の輪郭をなしています。
このカモメ模様は産道から頭と顔が出てきた嬰児の頭のうぶ毛模様に由来するデザインであると仮説しています。子ども-女の顔のイメージに多用される縄文時代の一般的模様であると仮説しています。いつか詳しく検討したいと考えています。縄文人の顔の彫の深さに由来するものではないと考えています。

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