2024年9月16日月曜日

旧版1万分の1地形図(1917年測量)から地形3Dモデル生成

 A 3D model of the terrain was generated from an old 1:10,000 topographical map (surveyed in 1917).


A 3D model of the terrain near the Kowashimizu ruins in Hanamigawa Ward, Chiba City was generated from an old 1:10,000 topographical map (surveyed in 1917). It's fun to actually create a 3D model of the terrain that I can imagine from the map. This location is now the Chiba Kita Interchange on the Keiyo Road.


千葉市花見川区子和清水遺跡付近の地形3Dモデルを旧版1万分の1地形図(1917年測量)から生成しました。地図からイメージできる地形を実際に3Dモデルにすることは楽しいことです。この場所は現在京葉道路千葉北インタインターチェンジになっています。

1 千葉市花見川区子和清水遺跡付近の地形3Dモデル

千葉市花見川区子和清水遺跡付近の地形3Dモデル

作成方法:旧版1万分の1地形図「三角原」(1917年測量)等高線から3Dモデル化(QGIS、GRASSプラグイン)

等高線間隔:主曲線2.5m間隔、補助曲線1.25m間隔および0.625m間隔(標高15m~26.25)

垂直比:×3.0

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

旧版1万分の1地形図を読んでイメージできる地形を、v.surf.rstツール(QGISのGRASSプラグイン)でそのまま地形3Dモデルにできることを確認しました。

地図からイメージできる地形を実際に3Dモデルにすることは楽しいことです。

なお、100年以上前の旧版1万分の1地形図では等高線間隔が現代地図等高線と異なっています。


等高線の分布

3 参考

この場所に泉の表示とその名称「コワ清水」表記があります。子和清水名称についで以前検討したことがあります。

2011.07.28記事「子和清水

2012.02.20記事「強(コワ)い理由

泉正面の出っ張った台地面が子和清水遺跡となっていて、旧石器、縄文、弥生、古墳などの遺物、遺構が出土しています。台地のもっとも奥の泉であり、人々が飲み水を求めて好んで生活していた場所です。古墳時代遺構は祭祀の場であったようです。

2011.07.29記事「子和清水遺跡」など多数。


子和清水遺跡

なお、この遺跡から肩パット土偶が出土していていて、注目されています。


子和清水遺跡出土土偶実測図

子和清水遺跡発掘調査報告書から引用

2022.03.20記事「加曽利貝塚博物館の土偶研究講座の聴講

2024年9月15日日曜日

紙等高線地図から地形3Dモデルを作成する方法

 How to create a 3D terrain model from a paper contour map


This article summarizes how to create a 3D terrain model from a paper contour map. 3D models of past terrain that were lost in developments more than half a century ago can only be constructed from paper contour maps. Use QGIS (GRASS plugin). Note that the latest QGIS (3.38) cannot be used due to a bug.


紙等高線地図から地形3Dモデルを作成する方法をまとめました。半世紀以上前の開発で失われた過去地形の3Dモデルは紙等高線地図から構築するしかありません。QGIS(GRASSプラグイン)を使います。なお、バグにより最新QGIS(3.38)は利用できません。

1 紙等高線地図から地形3Dモデルを作成する方法

1-1 4年前の方法

4年前に紙等高線地図から地形3Dモデル作成方法をまとめたことがあります。

2020.12.19記事「紙地図等高線から地形3Dモデルを作成する方法

4年前の方法と今回の方法は基本は同じです。しかし、今回はGRASSGIS本体を使わないでQGIS(GRASSプラグインが導入されているもの)だけで済むようになりました。

1-2 【重要】最新QGIS(3.38)はバグでこの作業はできない

この作業はQGISでGRASSプラグインのv.surf.rstツールを使用します。このv.surf.rstツールは最新のWindows版QGIS(3.38)ではバグにより正常に動作しません。

このバグに気が付かなくて、丸1日無駄な作業を繰り返しました。海外サイトを翻訳で読んでいて、バグがあることを知りました。Linux版QGIS(3.38)では正常とのことです。

仕方がないので、私は旧版のWindows版QGIS(3.12)を利用して、作業しました。

1-3 紙等高線地図の等高線shapeファイル作成

紙等高線地図から等高線shapeファイルを作成する必要があります。

紙等高線地図を画像にして、その画像から直に等高線shapeファイルを作成する方法を私はまだ知りません。(現在開発中です。)

残念ながら次の作業を事前に行う必要があります。

・紙等高線地図を画像にしてQGISにジオリファレンスします。QGISの座標系は直角座標系。

・QGISでジオリファレンスした地図の等高線を1本1本ラインとしてトレースして、標高(Z座標)もそれを書き込めるフィールドを用意して書き込みます。このデータをshapeファイルとして保存します。

1-4 GRASS GISプロジェクトの作成

● GRASS GIS プロジェクトのセットアップ

・QGISを起動し、GRASSプラグインを有効化します。

・「処理」メニューの「GRASSツールボックス」を開きます。

・新しいGRASSプロジェクトを作成します。

  ・「場所」(Location) と「マップセット」(Mapset)を設定する必要があります。これはGRASSが使用する空間データベースで、データの管理に使用します。

  ・「GRASS新しい場所を作成」から座標系を指定します。等高線データの座標系(例:EPSGコード)を設定してください。

1-5 データのインポート

● 等高線のインポート

・GRASS GISにshapefileをインポートする必要があります。

・QGISのGRASSツールボックスから「v.in.ogr」ツールを使用して、等高線shapefileをインポートします。

  ・パラメータ:

    ・input: 等高線のshapefileのパス

    ・output: インポート後のGRASS内部でのベクトルマップ名

    ・レイヤーを確認して正しいベクトルデータがインポートされたかを確認してください。

1-6 等高線データからDEMの作成

1-6-1 v.surf.rst(スプライン補間)を使用したDEM作成

・GRASS GISで等高線データから補間を行い、DEMを作成します。補間にはv.surf.rstツールを使用します。これは、張力付き正則化スプライン補間を行い、点や等高線データから表面を推定するものです。

 手順:

・QGISの「GRASSツールボックス」から、v.surf.rstを検索し実行します。

  ・input:インポートした等高線のベクトルマップを選択します。

  ・zcolumn:等高線のZ値(標高)が格納されている属性フィールドを選択します。

  ・elevation:出力するDEMのラスター名を指定します。

  ・その他オプション:

    ・tension: スプラインの張力(通常はデフォルト値で問題ありませんが、必要に応じて調整します)。

    ・smooth: スムージングパラメータ(データが非常にノイズが多い場合に使用することがあります)。

・実行をクリックして、補間処理を実行します。

1-6-2 出力DEMの確認

・補間処理が完了すると、GRASSデータベース内にラスター形式でDEMが作成されます。

・QGISのメインウィンドウにDEMを表示し、正しく作成されているか確認します。これは浮動小数点形式の標高データとして表示されます。

1-7 DEMのエクスポート

・GRASS GIS内部で作成されたDEMをshapefileやGeoTIFF形式にエクスポートするには、r.out.gdalを使用します。これはGRASS GIS内のラスターを外部フォーマットに変換するためのツールです。

手順:

1-7-1 QGISの「GRASSツールボックス」から、r.out.gdalを検索し実行します。

  ・input:作成したDEMラスターを選択します。

  ・output:エクスポートするファイルのパスを指定します(例:GeoTIFF形式で保存する場合、output.tifと指定)。

  ・format:GeoTIFFなど、必要なフォーマットを指定します。

1-7-2 実行をクリックしてDEMをエクスポートします。

1-8 DEMの可視化と解析

・QGISの「ラスタ」メニューや「3D表示」ツールを使用して、生成されたDEMの可視化や地形解析(例:斜度、方位の計算など)を行うことができます。

(1-4~1-8はChatGPT説明です。私が作業で確かめています。)

2 感想

2-1 等高線画像からラインのshapeファイルを作成する方法

等高線画像からラインのshapeファイルを作成する方法の開発に取組んでいます。現状では等高線画像の等高線は必ず幅がありますから、これをラインとして読みとることに成功していません。幅のある線を幅の無い線に変換する方法は世の中には必ずやあると思うのですが。紙地図から等高線shapeファイルが簡単につくれるようになると、この作業は恐ろしいほど効率化が進みます。

2-2 紙等高線地図から地形3Dモデルを作成するニーズは小さい

紙等高線地図から地形3Dモデルを作成するニーズはとても小さいので、QGISにバグがあっても日本ではそのバグに気が付く人はいないようです。QGISでv.surf.rstツールが使えないという質問が幾つかのサイトにありますが、その解決策となる回答はありません。開発前地形、失われた地形の3Dモデル作成に関心のある人は大変少ないようです。このような状況なので、私が丸1日の時間を無駄にし、イライラし、自信喪失したことは、支払わなければならなかった必要経費として納得しなければならないようです。


等高線から作成した地形3Dモデル(QGISプラグインQgis2threejs画面)


2024年9月14日土曜日

千葉市人形塚古墳付近の開発前地形3Dモデル

 3D model of the terrain before development near Ningyozuka Tomb in Chiba City


I created a 3D model of the terrain before development near Ningyozuka Tomb, which once existed in Oyumino, Chiba City. The tomb is located on a narrow ridge with a dead end.


千葉市おゆみ野にかつて存在した人形塚古墳付近の開発前地形3Dモデルを作成しました。古墳は行きどまりの狭い尾根を利用して立地しています。

1 千葉市人形塚古墳付近の開発前地形3Dモデル

千葉市人形塚古墳付近の開発前地形3Dモデル

作成方法:1960年代千葉市都市図等高線からDEM作成、3Dモデル化(QGIS、GRASSプラグイン)

等高線間隔:2m(標高14m~38m)

垂直比:×3.0

人形塚古墳・円墳全体図(発掘調査報告書掲載)貼付

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 開発前地形3Dモデル作成の意義

2-1 初見としての意義

千葉市おゆみ野にかつて存在した人形塚古墳付近の開発前地形3Dモデルはこれまでつくられたことが無かったので、今回作成は初見としての意義があります。

2-2 人形塚古墳立地検討材料としての意義

開発前地形を3Dモデルにすることによって、それを材料に人形塚古墳立地に関する検討を推し進めることができます。詳しくは改めて検討しますが、3Dモデルを観察していると、次のような感想を持つことができました。


3Dモデルを一瞥して浮かんだ感想

・狭い行き止まりの尾根に古墳が立地していて、使い勝手の悪い土地の有効活用となっています。

・古墳を見せる視点場が存在しています。(古墳立体シルエットと埴輪列を見せる)

・既存集落(椎名崎、刈田子)が直ぐ近くにあり、労働力確保や維持管理に有利です。

・台地面道路網に直結していて、交通に便利です。


2024年9月11日水曜日

顔の考古学切手

 Facial archaeological stamps


I got six stamps commemorating the 250th anniversary of the British Museum (October 2003) and enjoyed the images. These are facial archaeological stamps. ChatGPT wrote a detailed explanation for me, which was very helpful. It would be impossible to research this much on my own.


大英博物館250周年記念切手(2003.10)6点を入手しその画像を楽しみました。顔の考古学切手です。ChatGPTに詳しい説明を書いてもらい、とても参考になりました。ここまで自分で調べることは不可能です。

1 古代エジプトの棺のマスク


古代エジプトの棺のマスク

[ChatGPT説明]

●デザイン:

 この切手には、古代エジプトの棺のマスクが描かれています。おそらく、非常に保存状態の良いミイラの棺の一部です。

●題材:

切手のテキストによると、この棺は紀元前909年の「デンティネアムン(Denytenamun)の棺」を描いています。

古代エジプトに由来するもので、エジプト文明の末期に関連するものです。

**大英博物館(The British Museum)**がクレジットされており、これはそのコレクションに含まれていることを示しています。

●芸術的要素:

切手には棺の顔の部分が大きく描かれており、特に頭飾りの部分が精緻に装飾されています。

金色と暗い色調で彩られており、エジプトの葬儀用品に特有の優雅さと職人技を表現しています。

●文字要素:

切手の価格は「2nd(2等級)」と表示されており、これは第2種郵便切手であることを意味しています。

左上には、イギリスのエリザベス2世のシルエットがあり、これはイギリスの切手によく見られる特徴で、この切手が彼女の治世中に発行されたことを示しています。

●文化的意義:

古代エジプトでは、棺は死者を敬い、来世に備えるために精緻に装飾されることが一般的でした。これは、エジプトの埋葬習慣における中心的なテーマです。

デンティネアムンという人物は重要な役割を果たしたと考えられますが、歴史的な詳細がわからないため、彼がどのような人物だったのかは不明です。

●コレクションと記念:

この切手は、おそらく大英博物館の有名な遺物や展示に関連する記念切手シリーズの一部だと考えられます。

2 アレクサンドロス大王(Alexander the Great)の胸像


アレクサンドロス大王(Alexander the Great)の胸像

[ChatGPT説明]

●デザイン:

切手には、ギリシャの彫刻であるアレクサンドロス大王(Alexander the Great)の胸像が描かれています。この彫刻は大英博物館に所蔵されているもので、ギリシャ美術の象徴的な作品の一つです。

●題材:

切手に記されている通り、この彫像はアレクサンドロス大王を描写しています。彼は古代ギリシャの紀元前200年頃の時代に関連する人物です。

この切手はギリシャ文化に関連しており、大英博物館の所蔵品であることが明示されています。

●価格:

この切手は「1st(第1種郵便)」として表示されており、通常は国内での最優先郵便や重要な郵送物に使用される切手です。

●文化的意義:

アレクサンドロス大王は、紀元前4世紀に古代マケドニア王国の王として東西を結ぶ広大な帝国を築き、世界史に大きな影響を与えた人物です。

彼の胸像は、ギリシャの彫刻技術の高さを示し、その肖像は歴史的にも文化的にも重要な存在です。

●アートの特徴:

この切手に描かれているアレクサンドロスの胸像は、非常に写実的で、当時のギリシャ彫刻のスタイルである細かいディテールと力強さが表現されています。彼の特徴的な髪型や顔の輪郭が彫刻の技術によって際立っています。

●その他の情報:

左上には、エリザベス2世のシルエットがあり、これはイギリスの切手の標準的な要素です。このことから、この切手が彼女の治世中に発行されたことがわかります。

この切手はおそらく、大英博物館の有名な収蔵品を記念する一連の切手の一部です。

この切手は、ギリシャ文化とその歴史的重要性を反映しており、特にアレクサンドロス大王という歴史上の偉大な人物を称えるデザインになっています。

3 ヒンドゥー教の女神像


ヒンドゥー教の女神像

[ChatGPT説明]

●デザイン:

切手には、南インドの彫刻であるパールヴァティ(Parvati)の像が描かれています。パールヴァティは、ヒンドゥー教の女神で、シヴァ神の妻として知られています。

彫像の右側が大きく描かれ、非常にリアルな表現が特徴的です。金属の質感と細部まで再現された装飾が目を引きます。

●題材:

切手のテキストにあるように、この彫刻は南インドのもので、AD 1150頃の時代に作られたものです。

大英博物館に所蔵されているこの彫像は、ヒンドゥー教の信仰と美術において重要な役割を果たしています。

●価格:

この切手には「42」の数字が表示されており、これは42ペンスの切手であることを示しています。エリザベス2世のシルエットが左上にあることから、イギリスの郵便切手であることがわかります。

●文化的意義:

パールヴァティは、シヴァ神との神聖な結びつきと、愛や献身の象徴です。彼女はインドの多くの地域で非常に尊敬されており、この彫像はその宗教的および文化的価値を体現しています。

彫刻の時代である1150年ごろは、南インドの芸術と文化が栄えた時期であり、この時代に制作された彫刻は、精緻で宗教的なモチーフが強調されていました。

●アートの特徴:

切手に描かれたパールヴァティ像は、金属彫刻の技術が発達していたことを示しており、彼女の表情や衣装の装飾が非常に細かく描かれています。特に彼女の優雅な顔立ちと頭飾りが目を引きます。

●その他の情報:

彫刻は「南インド / 大英博物館」の所蔵品であると明示されており、大英博物館の収蔵品シリーズの一つであると考えられます。

この切手は、インドの宗教芸術を称えるものであり、パールヴァティ女神の象徴的な存在を反映しています。大英博物館が所蔵する文化的に重要なアートを紹介するためのシリーズの一部と考えられます。

4 モアイ像


モアイ像

[ChatGPT説明]

●デザイン:

切手には、イースター島(ラパ・ヌイ)にある有名なモアイ像が描かれています。このモアイ像は、**ホア・ハカナナイア(Hoa Hakananai'a)**と呼ばれる石像です。

彫像は横から捉えられており、その力強い彫刻が際立っています。粗い石の質感や彫刻の陰影がリアルに表現されています。

●題材:

テキストには「ホア・ハカナナイア」という名前が記されており、これはイースター島の代表的なモアイ像の一つです。AD 1000年頃に作られたものであり、非常に古い歴史を持っています。

この像はイースター島のものであり、大英博物館に収蔵されていることが明記されています。

●価格:

切手には「68」の数字が記されており、これは68ペンスの切手であることを示しています。左上には、イギリスのエリザベス2世のシルエットがあり、これは標準的な要素です。

●文化的意義:

モアイ像は、イースター島の先住民であるラパ・ヌイの文化に深く根ざした象徴的な彫刻です。これらの像は、先祖の力や霊的な存在を表現しているとされており、ラパ・ヌイの宗教的、社会的生活において重要な役割を果たしていました。

ホア・ハカナナイアは特に有名なモアイ像で、大英博物館に展示されているため、世界的に知られています。

●アートの特徴:

モアイ像は、そのシンプルでありながら力強いデザインで知られており、この切手に描かれている像も無表情で力強い顔が特徴的です。

石のテクスチャーや彫刻の滑らかさが、切手デザインによって強調されています。

●その他の情報:

大英博物館に収蔵されているモアイ像の中でも、ホア・ハカナナイアは特に有名です。この切手はおそらく、大英博物館の有名な遺物をテーマにしたシリーズの一部です。

この切手は、イースター島の文化的遺産であるモアイ像を称えるものであり、特にホア・ハカナナイア像の重要性を反映しています。

5 アステカ文明の仮面


アステカ文明の仮面

[ChatGPT説明]

●デザイン:

切手には、アステカ文明やミシュテカ文明に関連する仮面が描かれています。この仮面は、鮮やかな緑色のモザイクで覆われており、特徴的なデザインです。

仮面の目や歯が目立ち、異国情緒に溢れた表情が印象的です。特に目の部分は強調され、細かなモザイクが緻密に描写されています。

●題材:

切手のテキストには「XUIHTE-CUHTLI(シュイテクウトリ)の仮面」と記されており、これはメキシコに関連するミシュテカ-アステカ文明の遺物です。制作時期はAD 1500年頃とされており、16世紀の作品です。

この仮面は、大英博物館に所蔵されています。

●価格:

切手には「47」の数字が記されており、これは47ペンスの切手であることを示しています。左上には、エリザベス2世のシルエットがあり、これは標準的なイギリスの切手デザインです。

●文化的意義:

この仮面は、古代メキシコのアステカやミシュテカ文化における宗教的な儀式や象徴に関連しています。特に、シュイテクウトリは重要な神であり、火や若さを象徴する存在です。この仮面は、その神に対する信仰や儀式の一環として使用された可能性があります。

モザイク技術は、当時のメソアメリカ文明で高度に発展した工芸技術の一つであり、特にこの仮面は貴重な装飾品とされています。

●アートの特徴:

仮面は、青緑色のトルコ石やその他の貴石で覆われたモザイクデザインが特徴です。この色彩とデザインは、メソアメリカの美術において非常に重要な要素です。

彫刻の精密さや細部までのモザイクの配置が、切手のデザインにも表れています。

●その他の情報:

この仮面は、大英博物館の著名なコレクションの一部であり、メキシコの文化と歴史を物語る重要な遺物です。

おそらく、大英博物館の有名な遺物をテーマにしたシリーズの一環として、この切手が発行されたと考えられます。

この切手は、アステカおよびミシュテカ文明の美術と宗教的な象徴を反映しており、特にその高度なモザイク技術を称えるものとなっています。

6 アングロ・サクソン時代の兜


アングロ・サクソン時代の兜

[ChatGPT説明]

●デザイン:

切手には、アングロ・サクソン時代の有名なサットン・フーの兜(Sutton Hoo Helmet)が描かれています。この兜は、イギリスの考古学的発見の中で最も重要なものの一つであり、その精巧な装飾と歴史的価値が高く評価されています。

兜は、金属と銅で作られており、切手にはその損傷や錆びの痕跡がリアルに再現されています。

●題材:

この切手に描かれている「サットン・フーの兜」は、紀元600年頃に作られたとされています。サットン・フーは、アングロ・サクソン時代の船葬墓地で、この兜はその遺跡から発見されたものの一つです。

大英博物館に所蔵されているこの兜は、アングロ・サクソン時代の工芸技術や戦士文化を象徴する重要な遺物です。

●価格:

切手には「1£」と記されており、これは1ポンドの価値がある切手です。エリザベス2世のシルエットが左上にあり、彼女の治世中に発行されたことを示しています。

●文化的意義:

サットン・フーの兜は、イギリスの初期中世史において重要な象徴であり、その発見はイングランドの歴史や文化に関する理解を深めるきっかけとなりました。

アングロ・サクソン文化の中で、戦士階級の権力と地位を示す象徴として、兜は非常に重要な役割を果たしていました。この兜は、装飾や機能面で非常に高度な技術を示しています。

●アートの特徴:

兜には、金属の表面に施された装飾やデザインが精巧に施されています。この切手では、その細部が忠実に再現され、時間の経過による損傷や腐食の様子もリアルに描かれています。

兜の独特な顔の部分が切手の焦点となっており、アングロ・サクソンの美的感覚や工芸の精密さが強調されています。

●その他の情報:

サットン・フーは、1939年に発見されたイギリスの代表的な考古学的遺跡で、アングロ・サクソン時代の重要な宝物が多数見つかりました。この兜は、その中でも特に有名な遺物です。

この切手は、おそらく大英博物館の有名な収蔵品シリーズの一部として発行されたものです。

この切手は、イギリスの初期中世の歴史と文化を象徴するサットン・フーの兜を称えるものであり、その考古学的な重要性を強調しています。

7 参考 ChatGPT質問風景


ChatGPT質問風景

入手した大英博物館250周年記念切手(2003.10)6点の画像をChatGPTに投入して、詳しい説明を書いてもらいました。とても参考になりました。ここまで自分で調べることは不可能です。考古学切手収集の楽しみ方の新しいスタイルが生まれつつあります。

切手の図像は興味深いけれども、それ以上の情報をweb検索で得られる内容は少ないです。とても満足できません。しかし、ChatGPTでこの壁を乗り越えることができました。西欧の切手や西欧が植民地とした諸国の切手はChatGPTで詳しい情報を得られることが期待できます。(日本の切手はChatGPTは通用しないと確かめる前にたかをくくります。日本の切手の特徴をChatGPTに質問することは、ChatGPTの西欧中心路線を考えると恥ずかしいことです。)

有吉北貝塚北斜面貝層 石鏃分布

 Distribution of stone arrowheads in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita shell mound


I created a distribution map of the stone arrowheads excavated from the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita shell mound. The stone arrowheads are distributed in two zones like islands, and I imagine that there were strict spatial restrictions on disposal. Some of the stone arrowheads are nearly complete, so I think they were disposed of ceremonially.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した石鏃の分布図を作成しました。石鏃は2つのゾーンに島のように分かれて分布していて、廃棄に関する空間規制が強かったと想像します。完形に近い石鏃もあり、儀礼的廃棄が行われていたと考えます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 石鏃分布

有吉北貝塚北斜面貝層 石鏃分布

データ:発掘調査報告書

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3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 検討メモ

2-1 分布特性

石鏃分布図から次のような特性を観察できます。

・石鏃の分布が2つのゾーンに分かれている。(Aゾーン、Bゾーンと仮称)

・石鏃がほとんど出土しない空間が2つのゾーンの間に存在する。

・出土数の多いグリッドが台地面近くの貝層縁辺に存在する。


石鏃分布のゾーン区分

2-2 検討その1 空間的規制

・石鏃の廃棄は勝手気ままに北斜面貝層に投棄されたのではなく、集落継続期間に存在した空間的規制のもとに行われたと考えます。

・石鏃分布で観察できる空間規制が他の石器器種にも同様におよんでいたのかどうか、今後逐次データを作成して検討します。

2-3 検討その2 AゾーンとBゾーンの違い

・Aゾーンは散乱人骨集中域と一致していて、石鏃廃棄が埋葬儀礼と関連している可能性が濃厚です。出土土器は加曽利EⅡ式土器が多く、有吉北貝塚集落末期に該当します。

・Bゾーンは他の遺物出土状況から儀礼空間であったと想定します。しかし、散乱人骨は少なく、この場所は主要な埋葬空間ではなかったと想定しています。出土土器は加曽利EⅠ式土器や中峠式土器が多く、Aゾーンより古い時期に利用された場所の可能性があります。

2-4 検討その3 完形に近い石鏃出土の意義


出土石鏃の例(完形に近いもの)

出土石鏃には完形に近いものがあります。実用的には使えるものと考えられます。しかし、北斜面貝層に廃棄されています。完形に近い石鏃の廃棄は、その利用者(所有者)が死亡して埋葬されたとき、一緒に儀礼的に廃棄されたものと考えます。

「埋葬により、故人はあの世に往きます。あの世でも石鏃を使って猟をして沢山の獲物を捕まえ、豊かで幸福な生活をおくります。従って、故人が使っていた石鏃は儀礼的に廃棄し、「石鏃の魂」が「故人の魂」と一緒にあの世に行きます。」

このように考えると石鏃は儀礼的に破壊される(この世での命を絶たれ、魂があの世に行く)必要があったと考えます。

出土した石鏃には「完形」(発掘調査報告書の遺存分類で13)のものは一つもありません。「完形に近いもの」(発掘調査報告書の遺存分類で14)はあります。

従って、出土した完形に近い石鏃とは儀礼的に破壊された石鏃のうち、破壊の程度がたまたま軽微だったものを指しているのかもしれません。

北斜面貝層から出土する石鏃は利用者が死亡したため、儀礼的に破壊されたものと、それ以外の、通常破損石鏃が混在している可能性があります。


2024年9月9日月曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 石器分布

 Stone tool distribution on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


I compared the stone tool distribution and pottery distribution of the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound synoptically. The distribution patterns are very similar. I will continue to investigate further whether this means that the dumping (discarding) activities of stone tools and the dumping (discarding) activities of pottery are similar.


有吉北貝塚北斜面貝層の石器分布と土器分布を並べて、総観的に比較してみました。分布パターンはよく似ています。これをもって石器の投棄(廃棄)活動と土器の投棄(廃棄)活動が似ていると言えるのかどうか、今後検討を深めます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 石器分布

有吉北貝塚北斜面貝層 石器分布

データ:遺物台帳(石器・石出土件数2415)

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3Dモデルの画像

2 有吉北貝塚北斜面貝層 石器分布と土器分布

有吉北貝塚北斜面貝層 石器分布と土器分布

データ:遺物台帳(石器・石出土件数2415、土器・土製品出土件数19950)

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3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

3 メモ

石器分布と土器分布を並べて、総観的に比較してみました。ガリー谷谷頭部付近と下流域の2箇所にピークを持つ分布パターンはよく似ています。この結果から、石器の投棄(廃棄)活動と土器の投棄(廃棄)活動は良く似ていると言えるのかどうか、これから検討を深めます。


2024年9月7日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 イヌ骨分布

 Distribution of dog bones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of dog bones excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound has been created. They are distributed in two separate locations, which are assumed to be ritual sites based on the distribution of other remains. The dogs are thought to have been buried.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土したイヌ骨分布図を作成しました。2箇所に分かれて分布していて、それらの場所は他の遺物分布から儀礼の場であると想定される場所です。イヌは埋葬されたものと考えます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 イヌ骨分布

有吉北貝塚北斜面貝層 イヌ骨分布

データ:体高測定用イヌ骨出土グリッド(体高測定用イヌ骨データ(発掘調査報告書)から作成)

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3Dモデルの画像

2 イヌ骨データ

イヌ骨は発掘調査報告書によると同定資料数183、最小個体数10となっている。

イヌ骨のうち出土グリッドの把握は体高測定用イヌ骨データ(発掘調査報告書)から可能であり、それがイヌ骨分布である。

遺物台帳を検索すると、330グリッドからイヌ骨94、324グリッドからイヌ骨1出土が確認できる。このグリッドはイヌ骨分布に含まれている。

3 イヌ骨分布の特徴

ガリー谷上流部と下流部の2箇所に分かれて分布しているように観察できます。この2箇所は他の遺物が集中的に出土する場所であり、儀礼的利用が行われていたと想定される場所です。イヌは全て埋葬されたものと考えます。

4 イヌ埋葬

330グリッドのイヌ骨はイヌ埋葬として発掘調査報告書で記述されています。


埋葬犬 発掘調査報告書から引用


イヌ埋葬地点(Ⅲ-30グリッド)

以前、この埋葬イヌの出土層位、イヌ埋葬頃の地形推測、出土土器について検討しています。その時の検討ではイヌ埋葬は加曽利EⅠ式土器の時期であると想定しました。


埋葬犬出土層位


犬を埋葬した頃の地形推測


第10断面のK層上面付近から加曽利EⅠ式土器が出土している様子。

2023.07.26記事「有吉北貝塚北斜面貝層 犬埋葬

現在、遺物台帳電子化、遺物分布図電子化、セクション図電子化により3D遺物データベースを作成中です。それが完成すると、出土遺物と出土土器型式の対応分析から、イヌ埋葬分析のような検討が精緻にできるようになります。


2024年9月6日金曜日

山形土偶2点(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

 Two Yamagata clay figurines (Uchino Site No. 1, Chiba City) Observation record 3D model


I had fun creating a 3D model of the observation record of two Yamagata clay figurines excavated from the Uchino Site No. 1, Chiba City. These are rare clay figurines that are nearly complete, with only the foot and hands missing.


千葉市内野第1遺跡出土の山形土偶2点の観察記録3Dモデルを作成して楽しみました。足だけ、手だけ欠損している形状で完形に近い珍しい土偶です。

1 山形土偶2点(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

山形土偶2点(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.08.27


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 115 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ


展示説明

土偶2点は、足だけ、手だけ欠損している形状で、完形に近い珍しい土偶です。


谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年)学習

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 18


Studying "Circular Settlements and Tribal Society"  (2002) by Yasuhiro Taniguchi


Study 18 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I studied "Circular Settlements and Tribal Society" (2002) by Yasuhiro Taniguchi. It was very interesting and I read it all the way to the end in one go. It made me think a lot about why Jomon circular settlements were based on two large groups. I understood that the two groups were in a joint guarantee alliance from the perspective of securing mutual interests.


谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年)を学習しました。とても興味深く、最後まで一気に読みました。縄文環状集落がなぜ二大群を基本とするのか、大いに考えさせられました。二大群は相互権益確保観点からの連帯保証的同盟関係にあると理解しました。

谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年、「縄文社会論(上)」、同成社)は谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」の引用文献に掲載されています。

1 環状集落の分節構造

「一、環状集落には対向する二大群が存在する。もっとも基本的な分節単位はこの大群である。墓域における埋葬区や住居の配置場所は大群ごとに規制され決定されている。

二、環状墓群の分節構造がしばしば勝坂式期あるいは加曽利E式期を通じて踏襲されていることなどからみると、大群への帰属は世代を超えて継承されていたと推定される。

三、二大群を対比すると相互に異質性を発揮している場合が認められる。それは墓坑数・住居数などの数量的な不均衡や、住居型式・炉形態・埋甕の相異などに顕著に表れる。

四、墓坑に副葬された玉類などの装身具の保有量を比較すると、二大群の間に明確な格差は認められず、むしろ平均的になっている。三で指摘した二大群の異質性は、ただし優劣・主従のような階層的な区分とは考えられない。

五、集落の変遷過程で二人群は足並みを揃えた変化をするとは限らず、片方の一大群のみが住居型式を刷新したり戸数を増加させるケースなど、 一大群が独自の動きや変化を見せる場合がある。二大群が必ずしも同質でないことがここにも表れている。

六、二大群の片方が単独に存在する半分構造がある。墓群や住居群が半環状を呈するのは、各大群がもつ独自性の半面を表し、他の半分の使用が留保されている状態を表す。

七、大群内部にさらに複数の分節が入子状に内在する場合がある。とくに二大群のそれぞれに二小群が内在し、全体が四群に分節化している構造が明確である。さらに多数の小群が含まれる場合も見られる。

八、分節構造は墓群や住居群に表れるばかりでなく、廃棄帯にも認められる。分節構造は埋葬区や居住区の区分であるだけでなく、環状集落の空間全体を区分する空間のシンボリズムと見なした方がよい。」「谷口康浩著「環状集落と部族社会」(2002年)」から引用

2 分節単位と出自集団

二大群の分節を出自集団の区別と仮説する解釈は妥当である。仮説は環状墓群人骨から血縁関係を確認して証明できる見通しが生まれている。

3 出自集団の機能

出自集団による環状集落の出現は、領域や資源に対する利権の問題と深く関係する。

4 人口密度と環状集落

環状集落分布は遺跡分布密度と強く相関する。

遺跡分布密度の増減に即応して環状集落が発達したり逆に解消したりする運動が繰り返されている。これを環状集落の「点滅」と呼ぶ。

5 環状集落の解体

後期中葉から後葉には不平等化の拡大により環状集落構造の基本原理が変化する。社会内部の変化が暗示される。

6 感想

・環状集落の基本が何故二大群なのか考えました。一大群や三大群でないのは何故かということです。この考えをあれこれこねくり回している中で、環状集落二大群の意義を次のように考えました。

・領域・資源の権益を自分で(家族で、身内集団で)確保するのは、「しんどい」。動物集団が縄張り争いをするのと同じである。

・領域・資源の権益を隣接する2人で(2家族で、2集団で)同盟関係を結んで確保するのは、「しやすい」。権益に侵入する外来者(集団)は通常1人(1家族、1集団)であるから、それに対抗するに2人(2家族、2集団)なら必ず優越できる。

・同盟関係を結んだ2人(2家族、2集団)の権益が複数存在し、それが広域空間的に配置されれば、広域空間の権益が安定する。外部からの侵入を広域的に予防できるようになる。

・つまり、二大群同盟とその同盟関係の空間連続配置は、社会全体を俯瞰的に統制する組織が発明されていない状況下で、縄文社会が発明した最良の社会安定継続装置である。

・三大群の同盟関係は不安定であり、実現しない。

・二大群の同盟関係とは、すなわち権益面における対侵入者対策での相互連帯保証同盟関係(契約関係)である。

・侵入者からみると、二大群の同盟関係は単なる力の同盟関係ではなく、現代風に言えば、法的な契約が支配する風景が存在することになり、侵入を諦めざるをえない状況だったと考えられる。

・二大群契約による環状集落発達区域、時期とは、狭い範囲にひしめき合って生活しても、食っていけるだけの資源が存在していたことの証である。あるいは資源利用の効率を高める制度的発明であるために、より多くの人口を養えた区域、時期である。

・環状集落を構成する二大群の後背地(領域、資源)は隣接して区画されていたと考えられる。

・以上のような感想(環状集落理解のための思考)がどれだけ適切であるのかどうか、今後の学習で確かめて行くことにします。


千葉市大膳野南貝塚後期集落の様子


千葉市人形塚古墳全体図を標準地図にジオリファレンス

 Georeferencing the whole map of Ningyozuka Kofun in Chiba City to a standard map


The Ningyozuka Kofun, located in Oyumino, Chiba City, is the only kofun in Japan where the mound filling guide lines from the time of construction have been excavated as remains. I decided to re-study this kofun using 3D technology. To start with, I georeferenced the whole map of the kofun to a standard map using QGIS.


千葉市おゆみ野に存在した人形塚古墳は、築造時の墳丘盛土指示線が遺構として出土した全国唯一の古墳です。この古墳を3D技術を使って再学習することになりました。手始めに古墳全体図をQGISで標準地図にジオリファレンスしました。

1 人形塚古墳の概要


人形塚古墳の場所

・村田川下流北岸台地上に形成された椎名崎古墳群中の前方後円墳で、明治年間に武人埴輪が出土しています。

・1986年度に発掘が行われ、顎ひげのある人物埴輪など多数の埴輪が出土しています。埋葬施設は2基あり、銀装飾り太刀1振りを含む14振りの太刀・50本以上の鉄鏃・玉類などが出土しています。

・墳丘の形態は二段築成の前方後円墳で、墳丘全長41m、後円部径25m、前方部幅30m、後円部高2.8m、前方部高3.2mで長方形の二重周溝を巡らしています。

・古墳墳丘下の旧地表面から幅約20cm、深さ3~7cmの断面「U」字形の溝状遺構が検出されました。

・溝状遺構は墳丘工事における盛土指示線(墳丘工事計画線)と考えられ、全国で唯一の事例です。


人形塚古墳全景と墳丘下旧地表面の溝状遺構

人形塚古墳全景は「千葉県の歴史 資料編 考古2(弥生・古墳時代)」(千葉県発行)から引用

溝状遺構は「平成20年度出土遺物巡回展 房総発掘ものがたり-おゆみ野編-」(財団法人千葉県教育振興財団)から引用

20215.03.29記事「古墳築造時の構造物法線(現場指示地割線)が出土したという事実を知る

2 人形塚古墳の学習

人形塚古墳は墳丘工事計画線が出土するなどとても興味深い古墳です。過去にも学習したことがありますが、この度3Dモデル技術を投入して再学習することになりました。次のような項目について学習するつもりです。

……………………………………………………………………

1 人形塚古墳3Dモデルの作成

・発掘調査報告書掲載等高線図から古墳3Dモデルを作成する。

・古墳3Dモデルを主要な検討ツール・表現ツールとして活用して、以下の検討を行う。

2 人形塚古墳に関する検討

・発掘調査報告書を熟読して次の検討を行い、理解できたこと、論点、課題等をまとめる。

2-1 墳丘の構造・埋葬施設、埴輪等出土物の詳細把握(3Dモデルにプロットする)

2-2 墳丘計画線と墳丘築造方法に関する検討

2-3 墳丘に表現された他界世界の再現(3Dモデルに埴輪群を再現する、明治発掘の影響考慮)

2-4 墳丘を舞台に行われた儀礼活動考察(墳丘利用史)

……………………………………………………………………

期間を限定して学習します。

3 人形塚古墳全体図のQGISジオリファレンス

この記事では最初の取り組みとして、人形塚古墳全体図をQGISで標準地図などにジオリファレンス(プロット)しました。これまで人形塚古墳位置を地図に正確にプロットしたものは無かったので、ささやかながら一つの成果になると考えます。

3-1 QGISジオリファレンスの手順

座標がわかる資料がないためステップの数は増えましたが、精度の高いジオリファレンスに到達できる方法を見つけることができました。

1 QGIS(座標参照系 EPSG6677 JGD2011/Japan Plane Rectangular CS IX)に1961年~1969年空中写真を表示する。(開発前地形地物が表示される)

2 人形塚古墳付近地域の1960年代千葉市都市図(昭和38年測量)を1961年~1969年空中写真を使って、QGISにジオリファレンスする。(1960年代千葉市都市図は不明の独自座標系を使っているため、座標系からQGISに直接プロットできませんでした。)

3 人形塚古墳測量図(発掘調査報告書掲載、発掘前地形)を1960年代千葉市都市図を使ってQGISにジオリファレンスする。

4 人形塚古墳全体図(発掘調査報告書掲載、表土除去後の墳丘地形)を人形塚古墳測量図を使ってQGISにジオリファレンスする。

4 QGISジオリファレンス結果


1960年代千葉市都市図に人形塚古墳全体図をプロットした様子


標準地図に1960年代千葉市都市図と人形塚古墳全体図をプロットした様子


標準地図に人形塚古墳全体図をプロットした様子


Google Map Satelliteに人形塚古墳全体図をプロットした様子


2024年9月5日木曜日

人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

 Clay tablet with human face (Uchino No. 1 Site, Chiba City) Observation record 3D model


I created a 3D model of the observation record of the clay tablet with human face (Uchino No. 1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "Faces of Clay Figurines from the Jomon Period." Based on the principles of cognitive archaeology, I believe that this human face expresses cuteness and youth. From the pattern of two strings tied together on the back, I imagined that this clay tablet was a marriage prayer tool for women to hold in their hands.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。認知考古学原理からこの人面はかわいらしさ、幼さを表現していると考えます。裏面の2つの紐が結ばれる文様から、この土版は手で握る女性用結婚祈願具と想像しました。

1 人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.08.27


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 141 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 参考 土偶人面


ミミズク土偶の人面 加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

同時期ミミズク土偶の人面は目や口がしっかりと造形されていて、人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の人面と比べると、「わいらしさ」、「幼さ」という印象はあまり持てません。「びっくり」の印象はうけます。

3 人面の可愛さ(幼さ)

この土版の人面から受ける印象は可愛さ(幼さ)です。この印象は現代人の多くが受ける印象であると考えます。認知考古学原理から、縄文人がこの人面をつくるときに可愛さ(幼さ)を表現したものと考えます。


認知考古学原理による顔表情の理解

参考 2021.12.15記事「認知考古学の意義について気が付く cognitive archeology

4 人面付土版の理解(想像)

人面付土版の人面表情と、展示裏面の文様(二つの紐(アイテム)が結ばれる文様)から、この土版は手で握る女性用結婚祈願具であると想像します。


人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の理解(想像)

土版本来の表面、裏面は展示と逆であると考えます。人面(赤ん坊)は女性が渇望するものですが、あくまでも結婚の副産物であり、この土版の主題は「二つの紐(アイテム)が結ばれる文様」=結婚であり、その文様面が表面と考えます。

表面を右手で握った時にできる擦り跡(微細な欠損)が観察できます。

今風に言えば、千葉市内野第1遺跡に結婚式場があり、その結婚式場にこの儀器が備えられていて、近在人々の結婚がある時に、この結婚式場が使われ、花嫁がこの人面付土版を右手で握ってふりながら結婚の誓いを述べた…、というような情景で使われたと夢想します。


2024年9月2日月曜日

萩原恭一先生講演「ハニワの顔と工人集団」聴講記

 A lecture by Professor Hagiwara Kyoichi titled "Haniwa Faces and Craftsmen Groups"


I attended the lecture by Professor Hagiwara Kyoichi titled "Haniwa Faces and Craftsmen Groups". It was a very easy-to-understand lecture with a clear argument. I was drawn in by the talk about the production areas and supply areas of haniwa, and my interest deepened and broadened. Although the kiln for the bearded haniwa at Ningyozuka Tomb in Chiba City has not been found, it seems highly likely that it was located in Ibaraki Prefecture.


萩原恭一先生講演「ハニワの顔と工人集団」を聴講しました。とても分かりやすく、論旨明解な講演でした。埴輪生産地と供給圏の話しに引き込まれて、興味が深まり広がりました。千葉市人形塚古墳のヒゲの埴輪の窯は見つかっていないけれども、茨城県にあった可能性が濃厚のようです。

1 講座の演目

2024年8月31日開催の令和6年度加曽利貝塚博物館・市原歴史博物館連携講座「造形の考古学-土偶と埴輪-」を聴講しました。

次の3つの講演がありました。

安井健一先生(千葉県教育振興財団)講演「千葉県の土偶-顔面に着目して-」

飯島史尊先生(千葉市教育委員会)講演「縄文時代の動物形土製品について」

萩原恭一先生(千葉県立房総のむら)講演「ハニワの顔と工人集団」

この記事では、萩原恭一先生(千葉県立房総のむら)講演「ハニワの顔と工人集団」を聴講して気が付いたことや感想をメモします。

2 わかりやすく論旨明解なお話

講演の内容は、最初に基礎知識としてハニワの起源、ハニワ配列の変遷の話しがあり、次いで本題のハニワ生産地と供給圏、人物埴輪の型紹介、ヒゲの人物埴輪の分布などに進みました。とてもわかりやすく、論旨明解な講演でした。


講演の様子

3 ハニワ生産地と供給圏


関東地方のハニワ生産地と供給圏


生出塚埴輪窯と製品供給範囲

ハニワ生産地と供給圏の話しはとても興味深いものでした。特に埼玉県鴻巣市生出塚埴輪窯の埴輪製品が千葉県市原市山倉1号墳に供給されていることは驚愕するような事象です。

なお、この驚くべき事象をテーマとして、今年10月からの市原歴史博物館企画展「旅する埴輪展」が開催され、当該埴輪が展示されるとのことです。


市原歴史博物館企画展「旅する埴輪展」開催予告画面

埴輪は重量物であるため水運で運ばれたと考えられていて、生出塚埴輪窯から荒川筋を下り、東京湾沿岸航路で市原まで運ばれたと考えられています。

4 ヒゲの人物埴輪の分布

ヒゲの人物埴輪は千葉市人形塚古墳からも出土していて、そのエキゾチックな風貌が印象的です。そのヒゲの人物埴輪の分布図が掲載されました。自分ははじめてみる分布図です。


ヒゲの人物埴輪分布図

何と茨城県の6古墳、千葉県3古墳、福島県1古墳から出土しています。

このヒゲの人物埴輪の窯はまだ見つかっていませんが、茨城県にあると考えられているようです。

もし窯が茨城県にあり、そこから千葉県3古墳に埴輪が運ばれたとすると、どのような水運路になるのか、とても面白い学習テーマになりそうです。九十九里平野には砂洲の間に縦横無尽に水路があったので、香取の海から船越(短区間陸路)を経てルートが通じそうです。

人形塚古墳(東京湾岸)は香取の海から印旛沼-新川-船越-花見川-東京湾-村田川河口という大廻ルートでしょうか?それとも別ルートでしょうか?

なお、ヒゲの人物埴輪はユダヤ人説があり、本を書いている人もいるが、考古学の立場から言えば、ぜひとも証明してほしいとの「挑発」がありました。ユダヤ人説は論外ですが、なぜ異国人のような風貌に見えるのか、講演者からの説明一言がほしかったです。

5 渡来系の人々の古墳

渡来系の人々の古墳には埴輪が無いものもあるが、埴輪がある古墳もあり、王権と渡来系の人々の個別関係で決まったようだとの説明がありました。古墳の形式や大きさ、埴輪設置の是非は王権が決定していたとの説明がありました。

6 参考良書

最後に参考良書として和田晴吾著「古墳と埴輪」(岩波新書)が紹介されました。自分は最近この図書を読んで、感想を記事にしました。

2024.08.20記事「和田晴吾著「古墳と埴輪」(岩波新書)読後感



飯島史尊先生講演「縄文時代の動物形土製品について」聴講記

 I attended a lecture by Professor Iijima Fumitaka titled "About Animal-shaped Earthenware Products from the Jomon Period."


I attended a lecture by Professor Iijima Fumitaka titled "About Animal-shaped Earthenware Products from the Jomon Period." Bird-shaped earthenware products are one of the few ritual objects excavated nationwide, but they have been collected and their shapes are being studied. I was surprised to learn that three of them have been excavated in Chiba City. It is said that they may be flutes.


飯島史尊先生講演「縄文時代の動物形土製品について」を聴講しました。トリ形土製品は全国でも数少ない儀器出土物ですが、集成されてその形状が研究されているようです。千葉市から3点出土していることを知り驚きました。笛の可能性もあるとのこと。

1 講座の演目

2024年8月31日開催の令和6年度加曽利貝塚博物館・市原歴史博物館連携講座「造形の考古学-土偶と埴輪-」を聴講しました。

次の3つの講演がありました。

安井健一先生(千葉県教育振興財団)講演「千葉県の土偶-顔面に着目して-」

飯島史尊先生(千葉市教育委員会)講演「縄文時代の動物形土製品について」

萩原恭一先生(千葉県立房総のむら)講演「ハニワの顔と工人集団」

この記事では、飯島史尊先生(千葉市教育委員会)講演「縄文時代の動物形土製品について」を聴講して気が付いたことや感想をメモします。飯島史尊先生は今年の3月まで大学で動物形土製品の研究をされ、4月から千葉市教育委員会職員になったとのことです。

2 縄文人と動物との関わりの説明

縄文人と動物との関わりについて、代表事例を示しながら網羅的・包括的な説明がありました。数少ない動物形土製品の集成作業が進んでいて、考古学的研究が進んでいるようです。

動物形土製品を動物土偶と呼ばないのは、偶の字に人に意味が含まれているからだとの説明があり、納得しました。

講演の様子

3 トリ形土製品について

3-1 分布

長野県から北海道まで分布している。

千葉県では次の3遺跡から出土している。

・千葉市六通貝塚

・千葉市加曽利貝塚

・千葉市内野第一遺跡

千葉市から3点ものトリ形土製品が出土しているということになります。そういう状況があるとは理解していませんでした。


千葉市のトリ形土製品 1


千葉市のトリ形土製品 2

3-2 形状

かつては海獣形あるいは亀形などとして扱われたこともあったが、足が海獣や亀ではないので、現在ではトリ形という認識に収れんしてきている。

中空のものがほとんど。

腹に2箇所大きな孔が空いていている。

手(羽)の先端にギザギザがあり指を表現して可能性があるが、そのギザギザの数をカウントしたところ3つから20以上のものまであり、特段の特性はみつけることができなかった。


トリ形土製品の形状

3-3 用途

儀礼用道具と考えられるが詳しい研究は進んでいない。

中空で孔があるので、吹けば音がでるので、笛として使われたという考えもある。

3-4 人体模型的意義

乳房表現があるものがある。また腹に2箇所ある孔がチューブ状に繋がっている事例もあり、人体模型的意義があると考えられている。

4 感想

現在加曽利貝塚博物館に展示されているトリ形土製品に関する興味から、この講演には特段の興味がありました。次のような自分にとって貴重な情報を得ることができました。

・トリ形土製品は長野県から北海道まで分布している。

・千葉市出土例は3点もある。

・用途として笛の可能性もある。

・人体模型的意義がある。

人体模型的意義とはすなわち半人半獣神話などに関連していく事象であると想像します。

トリ形土製品の集成作業と形状研究が進んでいるのが現状であり、その研究がさらに進めば、次のステップはどのような儀礼で使われたかという用途研究になるに違いないという感想を持ちました。

考古学と無関係の私は、トリ形土製品の形状は死者の魂をあの世(天空界)に連れて行く空想生物であり、用途は葬儀で使う楽器であるとの想像を楽しんでいます。

2024.08.28記事「伝加曽利貝塚出土動物形土製品に関する感想



2024年9月1日日曜日

安井健一先生講演「千葉県の土偶-顔面に着目して-」聴講記

 A lecture by Professor Yasui Kenichi, "Clay figures from Chiba Prefecture - focusing on the faces"


I attended the lecture by Professor Yasui Kenichi, "Clay figures from Chiba Prefecture - focusing on the faces". It was an easy-to-understand and very informative lecture. I was deeply inspired by this lecture. I thought that the explanatory concept of avoiding facial expression and the emergence of late masked clay figures have the same roots.


安井健一先生講演「千葉県の土偶-顔面に着目して-」を聴講しました。わかりやすくとても充実した講演でした。自分はこの講演から強いインスピレーションを受けました。説明中心概念である顔表現忌避観念と後期仮面土偶発生は同根であると考えました。

1 講座の演目

2024年8月31日開催の令和6年度加曽利貝塚博物館・市原歴史博物館連携講座「造形の考古学-土偶と埴輪-」を聴講しました。

次の3つの講演がありました。

安井健一先生(千葉県教育振興財団)講演「千葉県の土偶-顔面に着目して-」

飯島史尊先生(千葉市教育委員会)講演「縄文時代の動物形土製品について」

萩原恭一先生(千葉県立房総のむら)講演「ハニワの顔と工人集団」

この記事では、安井健一先生(千葉県教育振興財団)講演「千葉県の土偶-顔面に着目して-」を聴講して気が付いたことや感想をメモします。

2 講演がわかりやすく、資料が充実している

・全国と千葉県を対照しながら特徴的土偶写真を紹介するスタイルで講演が進み、またその概要が配布資料5ページカラー(多数事例掲載)で確認できますので、とてもわかりやすい講演となりました。

・これまで土偶に関する講演は何回も聴講したことがありますが、今回の講演は最もわかりやすいものでした。


講演の様子

3 千葉県の土偶変遷がよくわかる

・今回の講演では千葉県の土偶変遷がよく整理されて、自分は理解が進みました。早期前葉の撚糸文期は千葉県内出土が全国で最も多くなることや、中期中葉の大規模環状集落がつくられたころ土偶はほとんど出土しないことや、後期中葉後葉に山形土偶やミミズク土偶が大量につくられたことなどの特徴をよく理解できました。


山形土偶変遷説明

4 顔表現に忌避観念が働いているという指摘

・今回の講演で、私が獲得できた最大情報は土偶づくりで顔表現に忌避観念が働いているとの指摘です。

・確かに早期、前期の土偶(三角土偶、バイオリン形土偶など)には顔表現がありません。

・前期出土人頭形土製品は写実的ですから、縄文人が写実的に顔表現できる技術はあるのですが、土偶の顔は抽象的であり、意図的に顔表現が忌避されているとの指摘は、自分にとってとても示唆に富む話しでした。


いろいろな顔表現(非表現)


前期出土人頭形土製品3Dモデル

この土製品は故人の頭部をリアルに表現したモノ(デスマスク)であると想像します。

5 後期ハート形土偶に仮面を思わせるものがあるとの指摘

・後期ハート形土偶に仮面を思わせるものがあるとの指摘がありました。


仮面を思わせるつくり


ハート形土偶の切手

・ハート形土偶は山形土偶に変化します。

・山形土偶に仮面を感じる記事を最近書きました。


仮面タイプの山形土偶か?

2024.08.16記事「全面赤彩の山形土偶は仮面土偶か?

・山形土偶はミミズク土偶に変化します。

・ミミズク土偶に仮面を感じる記事を最近書きました。


ミミズク土偶の仮面

2024.07.23記事「仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

・講演では山形土偶やミミズク土偶の仮面については触れていなかったようですが、ハート形土偶に仮面がみられるとの指摘から、山形土偶一般、ミミズク土偶一般も仮面を表現しているとの作業仮説に対する確からしさを強く感じるようになりました。

6 感想

今回の講演聴講で、4の指摘(顔表現忌避観念)と5の指摘(後期土偶の仮面性)が同根事象である可能性を考えるようになりました。次のような作業仮説をメモします。

[作業仮説]

・縄文人には現代人には理解しにくい、土偶の顔面表現忌避観念があったと考えます。土偶の顔面とはすなわち神様の顔面であると考えます。

・神様の顔面を忌避する背景には、神様の顔面を想像できないという事情も存在していたと考えます。

・神様の顔面を勝手に造形すると災厄が訪れるという思考が、顔面忌避観念の中心にあったと考えます。

・土偶発生時から土偶の顔表現は忌避され、あるいは抽象的でした。

・土偶(祭祀)が発達する中で、顔表現がないと不便なので、(神様の)顔面を(神様を表現した)仮面に置き換えるという発明がありました。この発明により仮面土偶としてのハート形土偶・山形土偶・ミミズク土偶(祭祀)が盛行しました。

・この発明の背景には人が仮面を被り祭祀を実行するというリアルな活動があったからだと考えます。

・仮面を剥ぐとその下にある顔はだれの顔がでてくるのでしょうか?「人」の顔でしょうか?それとも「土偶本人=神様」の顔なのでしょうか?