2019年5月13日月曜日

阿玉台式土器 加曽利貝塚など

縄文土器学習 119

縄文土器を形式別に観察しています。
この記事では加曽利貝塚博物館に展示されている縄文中期阿玉台式土器(加曽利貝塚出土)と八千代市立郷土博物館に展示されている同(ヲサル山遺跡出土)を観察します。

1 阿玉台式土器(加曽利貝塚出土)の観察

阿玉台式土器(加曽利貝塚出土) 加曽利貝塚博物館展示

2 阿玉台式土器(ヲサル山遺跡出土)の観察

阿玉台式土器(ヲサル山遺跡出土) 八千代市立郷土博物館展示

八千代市立郷土博物館には別に次の2点の阿玉台式土器が展示されています。
・浅鉢(ヲサル山南遺跡出土)
・注口付舟形鉢形土器(ヲサル山遺跡)
この2点は3Dモデルを作成しましたので、別記事で紹介します。

3 「日本土器事典」の阿玉台式土器に関する記述抜粋
「阿玉台式土器は、主に関東地方東部に分布し、中部地方から関東地方西部に分布する勝坂式土器とともに、縄文時代中期前半期に大きな編年的位置を占めている。
阿玉台式土器の研究には二つの流れがある。一つは、高橋良治らを中心とした阿玉台式土器の3期区分案で、第1段階に阿玉台式土器が単独で出土する段階、第2段階に勝坂式土器と伴出する段階、第3段階に加曽利E式土器と伴出する段階とし、A~Cの3型式を設定した。これに対して、西村正衛は、利根川下流域を中心とする一連の貝塚調査で得られた資料を型式学的に分析するなかで、阿玉台式の発生から終末までの様相を詳しく論じた。これによれば、阿玉台式土器は第Ⅰ類から第Ⅳ類に分かれ、第Ⅰ類はa、b種に細分される。この分類はそのまま型式名称として用いられ、現在Ia、Ib、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ式の細分案が普及している。
阿玉台式土器の特徴を一言でいい表わすのは困難であるが、Ib式に代表されるように扇状あるいは山形板状の発達した把手をもつ口縁部と、頸部無文帯を挟んで簡素な隆線文をもつ胴部からなる深鉢形土器が特徴で、同時期に展開する勝坂式土器の、重畳する文様帯や発達した隆帯装飾文と比較して、対照的な土器と言えよう。」
「日本土器事典」から引用

4 感想
「日本土器事典」や「千葉県の歴史」あるいはWEBをみると阿玉台式の異様な把手土器等多様な事例が掲載されています。それらの事例を多数見なければ阿玉台式土器のイメージを持つことが困難であると実感しました。しかし阿玉台式土器を多数集めて展示している博物館等が近隣には無いようです。したがって実物を見ながら土器学習をすることの実務上の限界を感じました。
とりあえず縄文土器全形式を「通り一遍」のラフな通し学習で行い、次のステップで写真集や図録等の積極的活用と結びつけた2巡目の実物観察活動をしたいと思います。

5 阿玉台式土器の較正年代

阿玉台式土器の較正年代
小澤政彦先生講演「東関東(千葉県域)の加曽利E式」資料(2019.02.24)では阿玉台式土器の較正年代は掲載されていませんが、併行している勝坂式土器の較正年代が5310~4950年前calBPとなっています。

6 参考 加曽利貝塚、ヲサル山遺跡の場所と情報

加曽利貝塚 ちば情報マップ 埋蔵文化財包蔵地より

ヲサル山遺跡 ちば情報マップ 埋蔵文化財包蔵地より

阿玉台式土器出土遺跡の分布図は勝坂式分布図と比較しましたので別記事で掲載します。

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