2020年6月5日金曜日

加曽利B3式期石棒2点(千葉市加曽利貝塚112号住居跡) 観察記録3Dモデル

縄文石器学習 17

ペア異形台付土器が出土して特殊遺構といわれた大型住居112号住居跡から2本ならんで出土した石棒の観察記録3Dモデルを作成しました。

1 加曽利B3式期石棒2点(千葉市加曽利貝塚112号住居跡) 観察記録3Dモデル

加曽利B3式期石棒2点(千葉市加曽利貝塚112号住居跡) 観察記録3Dモデル
東斜面北東部112号住居跡からペア異形台付土器(加曽利B3式土器)などと共伴して2本並んで出土。
長さ双方とも32~33㎝、緑泥片岩製。当該期の石棒の形態の基準となるものとして「加曽利型」という型式名が提唱されている。右は先端と亀頭冠部分に隆帯をもち、浅い印刻による玉抱対向三叉文を施す。赤色顔料が付着し、朱が検出されている。左は頭部先端と亀頭冠に2本の隆帯をもつ。先端部に摩滅・平滑化、体部の一部にやや平坦な二次加工(?)がある。被熱痕跡もある。(「史跡加曽利貝塚総括報告書」(2017、千葉市教育委員会))
撮影場所:加曽利貝塚博物館
撮影月日:2020.06.02
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 93 images

展示の様子

石棒の挿図
貝塚博物館紀要第8号から引用

3Dモデルの動画

2 観察と感想
ア 感謝
5月26日から再開した加曽利貝塚博物館で特設ショーケースで新たに展示されたものです。112号住居について検討して以来この石棒2点現物をどうしても観察したいと希望していました。いつか博物館に閲覧を頼もうかとまで考えていたのですが、突然実現したのでうれしい限りです。加曽利貝塚博物館に感謝します。
2020.04.08記事「大小ペア異形台付土器出土遺構のゾーニング

イ 3Dモデルの出来具合
3Dモデルの出来具合が全体として良いものになりました。床面と石器が融合してしまうようなこともなく、自分の学習用には使えるものになりました。左石棒の側面敲打跡もよくわかります。

カメラ配置の様子

ただ、右石棒亀頭部の模様が表現できませんでした。強い照明にカメラ設定が合っていないためです。暗い色の多い土器撮影用カメラ設定を石器撮影用設定に変更する必要がありそうです。

右石棒亀頭部模様を浮かびあがらせる画像解析(結果は十分に浮かび上がりませんでした)

右石棒亀頭部模様を浮かびあがらせる画像解析(結果は十分に浮かび上がりませんでした)

ウ 今後の検討
この3Dモデル観察を踏まえて、今後112号住居の意義について学習を進めることにします。まず、どのような状況が存在したので、この石棒や異形台付土器がその住居床面にあたかも使っている状況そのままの様子で残置したのかという点から考察する必要がありそうです。
112号住居跡の他の出土物や住居の様子などについても考察する予定です。

0 件のコメント:

コメントを投稿