2020年8月16日日曜日

サンダル状土製品観察から推察する革製サンダル原品の様子

 縄文土器学習 449

千葉市埋蔵文化財調査センター展示「サンダル状土製品(千葉市内野第1遺跡)」の巨大意義について突然気がつき、2020.08.14記事「サンダル状土製品の巨大意義に突然気がつく」でメモしました。

その後、発掘調査報告書実測図と展示物写真をよく観察したところ、この土製品が表現している革製サンダルがただものならいないモノであることが、素人ながらわかってきましたのでメモします。

1 サンダル状土製品に存在する3つの貫通孔

サンダル状土製品に存在する3つの貫通孔

つま先底部(a)とつま先立ち上がり部(bc)に合計3つの貫通孔があります。鼻緒兼用縛りヒモを設置する孔が表現されていると考えます。

2 鼻緒兼用縛りヒモの使い方

鼻緒兼用縛りヒモの使い方

鼻緒兼用縛りヒモを甲押さえバンドで結ぶと鼻緒が足にフィットし、つま先がめくりあがらなくなります。足の大きさが違っても縛り方で調節できますから、サイズフリーの製品です。

3 3つの貫通孔の存在から革製品であることが確定する

3つの貫通孔を使って鼻緒縛りヒモ構造を作れる強度は草や樹皮では不可能です。この土製品が表現する原品サンダルは革製品であることが確定します。

4 ただものならぬデザイン

ただものならぬデザイン

サンダル両脇に2つの波状突起が設けられていて、おしゃれを意識したデザインになっています。

サンダル脇が凹み、足にフィットしやすい構造になっています。

サンダル全体が湾曲していて、歩きやすさを追求しています。

これらのデザインから、土製品が表現する原品サンダルが現代サンダル・靴に匹敵しても遜色のない工夫が凝らされているように感じます。

5 高度な皮なめし技術存在の暗示

これだけ使いやすさや見栄えを追求した革製サンダルを作るのですから、高度な皮なめし技術の存在が暗示されます。柔らかい革が作られていたに違いありません。

また人足型(木型)を利用して革製サンダルをつくるなどの革製品製造技術も高度であったことが暗示されます。


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