2019年12月23日月曜日

17匹のヘビが出てくる縄文土器

縄文土器学習 294

尖石縄文考古館に展示されている縄文中期深鉢形土器(茅野市中ッ原遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

縄文中期深鉢形土器(茅野市中ッ原遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2019.09.13
4面ガラス張りショーケース越しに撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 73 images

撮影写真の一枚

感想と観察
まるで二つの土器を重ねたような鋭いくびれと嘴・三角・丸穴等による立体装飾が異様な雰囲気を醸し出している土器です。
この土器についてサイト「縄文記号の世界」(武居竜生先生)では嘴状の部分について
「蛇の口部分の特徴」であると指摘しています。
この指摘を念頭に3Dモデルをじっくり観察したところ、ヘビの口が17あることが分かりました。また三角形の意味がヘビの大きく開いた口の上あご(牙があるところ)であると直感することができました。

三角形は牙のある開いた上あごであると想定する
頭が三角形ですから毒蛇のマムシが描かれていると考えます。
さらに頸部下端がギザギザしていてヘビが這っている様子を表現していて、それが小さなヘビの口につながってていることもわかります。描かれている隆起線はすべてヘビの胴体であり、その端の渦はとぐろを表現しているようです。
つまり、この土器は全部で17匹のヘビ(の口)と胴、とぐろが装飾のほとんどである特殊な土器であると考えました。

4つの立体装飾
Aに大きな把手(欠損)があることなどから、Aが土器正面として作られたと想定します。

A付近の立体装飾

B付近の立体装飾

C付近の立体装飾
CとDの間の胴部には意図的に開けられた孔が開いています。土器内の液体を外に注ぐための孔かもしれません。

D付近の立体装飾

孔の様子、上からの画像

毒蛇17匹が登場し、そのうち7匹は牙をむき出しにして口を大きく開けて威嚇しています。
マムシが表現されている土器はほかにもありそうですから、それらと比較しながら祭祀のなかでマムシがどのような役割をもっていたのか、学習を深めたいと思います。

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